日頃世話になっている人を、貝料理専門店に招待しました。 酒豪で知られる氏にとっては天国のような店で、喜んでもらえたようです。
ではそろそろお開きにというところで、氏が「まだ飲み足りん」と言い出したので、 仕方なく近くにある行きつけの居酒屋へ移動しました。
この店は極めて大衆的でありながらも酒肴のレベルが高く、連日常連客でごった返しているのですが、 あいにく空いてる席が見つかってしまいました。
「何かおすすめのつまみを」というリクエストだったので、店の名物「チョリソー」を注文しました。
間髪入れず運ばれてきたチョリソーを前に「これ飲めますよ」と勧めると、氏の顔色は急変しました。 石のように四角く厳粛な顔に、 急に石のような冷たさが現れてきたのです。
そして木の株のような頭をふりながら、壊れた弁当箱のように顔を歪めて「なんでこれがチョリソーなん?」とため息をついたのでした。
氏いわく、チョリソーとは丸々一本のソーセージが運ばれてきて然るべきであり、 それに胡椒でもふりかけながら、かじると肉汁あふれ、辛くてホットなるものなんだと言います。
ちなみにこの店のチョリソーは、つまみやすいように刻まれておりまして、 「こんなのナポリタンの具じゃないか!」と、氏はご立腹なんです。
結局いくら勧めても、ひとかけらも口にしてくれませんでした。
「然るべき」なんて言わずにその店の名物は食べてみるべきだと思うんです。
後日チョリソーの定義を知るべく辞書を引くと、こうありました。
チョリソーとは
一、スペインの豚肉粗挽きソーセージ。 唐辛子、香辛料などをきかせる。
二、パプリカ風味のスペインの代表的ソーセージ。
※そもそもチョリソーではなくチョリソ(chorizo)だそうです。
とありました。 なるほどイメージ通りです。 念のためにウィキペディアを見てみたところ、面白い事がわかりました。
なんでも本場のチョリソーは、そう辛いものではないそうです。 日本におけるチョリソーは辛いソーセージとして知られていますが、 これはメキシコ経由でチョリソが日本に入ってきたからなのだそうです、へぇー。 辛さは必須ではないわけですね。
そうしましたらですね、まずはソーセージを食べやすい大きさに切り分けまして、
ピーマンとタマネギを刻んで用意します。 以上モロナポリタンの具になりますが、旨いもな旨いんです。
鍋に油を引いて、ピーマンとタマネギを強火でザッと炒めます。
少しシナッとしたところで、ソーセージを加えて炒め合わせまして、
タバスコをビシバシ振りかけます。
続いて唐辛子を全体が赤らむぐらいに散らしまして、塩、胡椒で味を引き締めます。
熱々を器に盛りまして、脇にトマトケチャップを添えて完成です。 えらいメニューですよこれは。 季節は過ぎましたが、ビアガーデンのメニューにこのチョリソがあれば助かったんですけどね。
※甘酢だれを使うのもお勧めです。
日本式解釈の辛いチョリソをこしらえて、ビールやらウイスキーをたらふく飲む。
12/09/03