以前ウチの嫁さんに、「ブイヤベースの美味しいお店」というのに連れて行かれたことがあります。 「何?ブイヤベース? ブゥイィヤァーベェースゥだあぁコラ?」と、 今まで自分が食ったことのない未知の料理に対する期待と不安が交錯して、どのようなリアクションをとってイイのかもわからずに、思わず2度ブイヤベースという言葉を 意味無く繰り返してしまったオイでありましたが、いざ肝腎のお店に到着しても、ブイヤベースが看板メニューなお店に入ったにもかかわらず、意地でもブイヤベースは注文 しなかった保守的なオイであります。
しかし横目でヨメさんのブイヤベースをチョコット見ながら、「魚が入っているんだな。 ふーん。 なんか赤いな。」とか分析しながら、 「魚はね、煮込むんなら、味噌で煮込むんだオラ! オイは日本人だオラ。」とそそくさと店を出て、居心地の良いいつもの一杯飲み屋へと直行し、 鳥皮でコップ酒をあおったわけであります。
そんなオイが、まさか自分でブイヤベースを作ることになるなんて、夢にも思わなかったぞということで料理開始。
1、まずはスープ作りから。 タマネギ一個と長ネギ1、2本を薄くスライスして、オリーブオイルで炒めます。 丁寧に炒めます。
2、タマネギ、長ネギが十分炒められたら、水を一升ぐらい注ぎます。
3、水を一升入れると同時に、米を一握り入れておくと、スープに僅かなネバリがでて、いい感じになります。 さらに酒をコップ一杯くらい入れておきましょう。
4、セロリやパセリの茎、タイム、月桂樹、クローブなんかを放り込んでおきます。
5、ここで肝腎な魚のアラですが今回、具に使った魚、スズキとシロサバフグのアラをよく叩いて入れました。
6、そしてニンニクを潰して2,3個入れ、トマト一個をバラバラに切って入れます。 胡椒を少々、サフランを一つまみ入れて2、30分中火で煮ます。
7、スープを煮出している間に具の準備を。 小さめのハマグリを用意したいところですが、今回はアサリを使います。 よく洗っておきましょう。
8、メインの具となる魚ですが、今回はキンプグという河豚の一種と、スズキを用意しました。 どちらも新鮮で安かったです。 とにかく自分好みの魚を入れてみましょう。
9、これがスズキ。 けっこう大きかったので、沢山作れそうです。
10、用意した魚の内臓を取ってキレイにして、ブツ切りにします。 かるく塩をふって30分くらい置いておきましょう。 あとは海老なんかもあれば、食べやすい大きさに切っておきます。
11、様々な具を鍋に加えていきます。 下のほうに身の固い魚を入れ、上に崩れやすい魚、アサリ、海老を敷き詰めます。
12、具材の上から煮出したスープをよくこして、注ぎ入れます。 全体が沈むくらいの分量です。 点火後、オリーブ油を大さじ3杯くらい入れて、 15分程度煮上げます。 味付けにはショッツルがあればベストですが、塩と薄口醤油で調整してみました。
13、スープ皿にパンのから揚げを敷きます。 これは食パンを適当に切って揚げただけです。
14、好みの具材をスープごとすくって、パンの上にかけ、パセリを散らすとブイヤベースの完成!
以上ブイヤベースでした。 いや美味いですね。 なんだかスカした食い物だと思っていたらウマイんですよブイヤベース。 今回使用したキンプグは、よくダシが取れるので、味噌汁なんかによく使うのですが、 魚のダシが効いていて、サフランの香りが良く、非常に満足なスープになりました。 次回はアラカブと鯛で作ってみようかと計画中であります。
檀さんが、仕上げの味付けに使うと書いてるショッツルなのですが、売ってませんでした。 しょうがないので薄口醤油と塩で味付けしましたが、全然美味しかったです。 あとで気付いたのですが、醤油だれを使えばもっと美味しかったハズです。
スープを濾すときに使用した平ザルですが、いつもながら素朴でイイ仕事をするお気に入りの道具であります。
アイヨリを隠し味として用いたり、ルイユを食べる際に混ぜると絶品!ブイヤベースとなります。
伊丹十三著「女たちよ!」にこうありました。 ブイヤベースの発祥を、少し意地悪な目で考えるならばマルセイユは漁師町であろうと。 魚の取引が行われた後には雑多な魚が落ちていて、それをマルセイユのおかみさん方がスープにぶち込み、 少々傷んでいる魚もあるだろうから、サフランなんかを入れてその臭いを消した、と。
なるほどそうなのかもしれませんね。
南フランスが発祥のこの料理はつまり「魚のゴッタ煮」です。 できるだけ多くの魚介を用いる事で味に複雑さが生まれ、得も言われぬ旨味を醸します。
肝心なのがサフランで、よく乾かしたもののほうが、より良い香りが立ちます。
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