1、まずは鶏を丸々一匹用意しましょう。 このまま蒸して、鶏の白蒸しを作るというテもありますけれど、今回は焼くのでありました。
2、シャシュリークと川マスのアルミ箔焼きの際に作ったカマドの後ろに穴を掘ります。
深さは鶏が収まる程度で結構です。 穴の底にこぶし大の石を敷き詰めて、その上に流木を積み上げ、どんどん燃やしておきます。 おき火を作るわけです。
3、おき火を作っている間に鶏の下ごしらえを。 檀さんは多摩川の流れで鶏の腹の中まで丁寧に洗い清めたそうですが、あいにくここは海です。
もしや海水で洗えばほどよい塩気がつくのでは、とも考えましたが、食えなくなってはおしまいですから家で洗ってきました。
鶏の表面に、塩、コショウをしてニンニクをなすりつけておきます。
4、腹の中には長ネギと叩き潰したニンニクを放り込み、 酒をたっぷり染み込ませておきます。
5、この鶏を、タロイモの葉っぱでくるみこんでぐるぐる巻いて、焼きたいところですが、見渡すかぎりそんな葉っぱはどこにもないので、 アルミ箔の皿でスッポリとくるみこみました。
6、くるんだ鶏をおき火と焼け石の間にうずめ、さらにその上から焼け石とオキ火を積み、念のためにその上から流木で焚き火をします。
7、1時間ぐらい経過した頃、上の巨大な流木をどかし、鶏を掘り出してみることにしました。
8、ムンムンと熱気が立つ中アルミにくるまれた鶏を見つけ出しました。 焼け石がかなり熱くてうっかり触れてしまうと大変なことになるのでご注意ください。
9、恐る恐るアルミ皿をこじ開けてみると蒸気が立ち上り、ムッチムチの鶏が現れました。 アルミ皿の底には黄金色の肉汁がたまっていて、足をつかんで引っ張ると、 あっけなく肉をちぎりとることができました。 芯まで火が通っています。
タバスコをふりかけてかぶりついてみたところ・・・・・・、これは、うまい!
その他ニンニク、酢醤油、カラシ、ごま油などをつけて食べてみてください。
以上鶏の「穴焼き」でした。 檀さんは1時間焼いて開けてみたところ、焦げ目はついておらず神々しいほどふっくらと焼きあがっていた、とおっしゃいます。
あいにく今回の穴焼きは、表面にしっかりと焦げ目がついてしまっていました。 でも中まで火が通っていて申し分ない仕上がりだったと満足しています。 アルミ皿を開く際に流木の焦げカスが少し表面についてしまったりしましたが、これぞ野外料理の醍醐味だと思います。 手で払いとって、息子と二人かぶりついた次第です。
尚、今回の調理法の書かれた書物を檀さんはしまい忘れてしまったので、どこの島に住むなんという種族が穴焼きをするのか確かめようがなく、記憶をたどって実験した、とおっしゃいます。
2年前から計画中だった野外料理2品を、ようやく終えることができてほっと一息つきました。
※火の後始末には十分ご注意ください。
あまカラに中谷 宇吉郎さんが書いた「西洋の浜焼」という話のなかに、今回の料理法とよく似ているものが載っていました。
南米インディアンの料理でクラントウというもので、作り方は次の通りです。
こうしておいて、お客たちは周囲にたむろして酒を飲んで焼き上がりを待つそうです。 さらにもうひとつ似た調理法がありました。 ニュー・イングランドの浜焼きで、クラムベークという名前です。
貝やロブスター、トウモロコシ、芋などをクラントウのように浜焼きしたものです。 木の葉のかわりに海草を使って作ります。
炉の中に海草を敷き詰め、湯気があがる中、貝やエビを並べます。 その上からすっぽりテント用のキャンバスをかぶせて、しばらく待ちます。
貝を鉢に山盛りし、コップに入れた溶かしバターに浸しながら食べるそうです。
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