天使の衣
天使の衣

天使の衣

早いもので師走です。 先日お歳暮を物色にデパートへ出かけたところ、焼豚の良いのを見つけました。 今年はこれで行きます。

販売員のお姉さんは焼豚について熱く説明してくれまして、それが購入のキッカケになったのですが、彼女曰く、このメーカーは焼豚はもちろんのこと、メンチカツが絶品なのだといいます。

ではそのメンチも送っちゃいます、という自然な流れになりましたが、それはお歳暮用商品としては用意されていないという残念な事実を下唇を噛みながら語ってくれました。

お歳暮にメンチはあきらめるとして、では別の機会に購入してみようと思い、今度はメンチについて話を聞いてみたところ、なにやら衣に秘密があるという事でした。

メンチに限らず、パン粉をつけて揚げる手法といえば小麦粉をはたいて溶き卵をくぐらせ、パン粉をまぶすという流れになると思うのですが、どうやらそうではないらしいのです。

そこんとこを突っ込んで聞きたかったのですが、お姉さんはそれ以上の事は聞かされていないそうでした、無念・・・と、思いきや、 電話で直にメーカーさんへ聞いてくれました。

本当に熱意あふれる販売員さんで、この人ならばたぶんタワシでもドゥカティでも売ることができるのではと思いそのように伝えたところ、 半熟卵のように大きく潤んだ瞳を焼鳥串のように細めて喜んでくれました。

調合液

ずばり秘密を申し上げます。 たとえばコロッケを例にとりますと、タネを丸めて衣をつけますよね。 それを

牛乳1リットルに卵4個を割り落とし、小麦粉300グラムを混ぜた液にくぐらせます。

続いて生パン粉の、できれば中荒をまぶして揚げるだけなんです。

要は、フライを作る際の「タネに小麦粉をはたいて溶き卵にくぐらせる」部分を、「牛乳、卵、小麦粉を混ぜたものにくぐらせる」に置き換えるだけなんです。

実際これでメンチを作ってみたところ、コクあふれる旨いものが作れました。 というよりもこの調理法の実益として個人的に大声を張りあげたいところは、手数が一つ減っているところです。

オイはあらゆるフライの事が大好きですが、いざ作るとなれば気が重くなっていました。 だって、小麦粉をはたいて溶き卵をくぐらせてパン粉をまぶす、という手順が面倒でたまらないんですもの。

「オイ マイナス せっかち イコール ゼロ」とカミサンに揶揄されるほどソッコー頭に血がのぼるオイにとっては、家族が喜んで食べてくれるからフライは仕方なしに仕込むものであり、 もしも自分だけが食べるのならばまず手を出さない調理法なんです。 自分以外の人が作ってくれるならば喜んで喰らいつきますが。

ということで「調合液にくぐらせてパン粉をまぶす」というこの作り方がモロ気に入ってしまったのでした。  お姉さんには各割合を上のように教えてもらいましたが、仕込む際は適当にやってます。 「ボタッ」とする程度に小麦粉と卵を牛乳で溶けばそれで大丈夫です。


牡蠣に衣をつける

カキフライだってこうやって、


牡蠣にパン粉をつける

こうやれば、


カキフライ揚げる前

もうこんなに衣をつけることができました。


ヒレ肉に衣をつける

ヒレカツだってこうやって、


ヒレカツ揚げる前

こんなです。 たぶんこの作り方の理由の一つに量産に向いているという事実も含まれているのではなかろうか、と思います。  さておきフライのわずらわしい手間をオイの人生から金輪際省いてくれたお姉さんに感謝いたします、ありがとうございました!


天使の衣のツボ

  • 調合液の割合は結構適当でもキチンと揚がります。 お好みの食材でお試しください。
  • ハムカツなんかはこのやり方で作れば衣の結着率が高まると思います。

おさらい

フライの煩わしさから解放された喜びを語る。

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12/12/02


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