その昔中国に「庖丁」という名の料理人がいたそうな。 丁さんの牛刀使いの上手いことといったら、目の前の牛一頭があっという間に解体されていってしまうほどでした。
丁さんのお言葉:
はじめは「牛を切ってる」という感じでしたが、 3年も経つと牛が牛に見えなくなり、 やがて包丁が勝手に肉と骨の間をすり抜けていくようになりました。
並の料理人ならば一年に一回は包丁を取り替えるでしょう。 でも私はこの19年間、何千頭もの牛をさばいてきましたが、 包丁の刃がこぼれたこともございませんし、ましてや研いだこともありません。
こらんください。 この刀は今でもおろしたてのような切れ味でございます。
- 丁 -
と、まあこのようにすごい人物がいたそうです。
そこで丁さんの名にあやかって、料理に使う刀のことを包丁と呼ぶことにしたといいます。
「丁さんの包丁実演販売!」とか当時やれば、それはそれは売れたことでしょう。
さて、我が家のかわいい包丁たちです。 最近研ぐのを少しサボっているせいで所々に刃こぼれや小サビが目立ちますが大事な相棒です。 ザッと紹介しますとまずは、
ページトップ画像の上から2番目の包丁です。 愛用している4つの包丁の中で、一番活用頻度が高い包丁です。 刃に適度な厚みがあって、なおかつそれほど大きくないので小回りがききます。
実家の倉庫から見つけ出したもので、サビに埋め尽くされていたのをクレンザーでこすりながら研ぎ、 やっとのことで使えるようにしました。 やっぱり手塩にかけた分かわいいものです。 聞くところによると、これは昔、ウチの爺ちゃんが使っていた包丁になるそうです。
一番下の長い包丁です。
刺身を切る際使っています。 はじめはとっつきにくかったけれど、 使い慣れたらコレじゃないと刺身は切りたくありません。 よその家で刺身を切る際は、その家にある包丁を使いますが、切れない包丁だと大変で大変で・・・。
使用する際の注意点としては、刃が長いので、 チョット気を抜いた隙に刃先を硬いものにコツンと当ててしまって刃先が折れた! なんていうトラブルもあったりするデリケートな包丁です。
実際そうなり、刃の反対側をむりやり研いで、 刃先を作り直したという経験があります。 料理屋さんでカウンターに座り、よくよく柳刃包丁を観察してみると先がチョット欠けていた、 なんていうこともたまにあります。
※柳刃を菖蒲とも呼びます。
下から2番目の包丁です。 重く、デカイので取り回しづらいのですが良く切れます。 用途としてはブリ等大きい魚をおろす際に用います。 頭をまっぷたつにしたりする時は本領発揮の場です。 刃の薄い包丁で魚の頭をガンッとやったらすぐに刃こぼれしますからね。 もっぱら荒仕事用です。
一番上の包丁です。 刃が極薄なのでヒラメとか薄い魚をおろすときや、 小魚の3枚下ろしに使っています。 でも刃がもろくてボロボロになったりする問題児でもあります。
行きつけの居酒屋さんから貰ったものです。
長崎の蚊焼で作られる蚊焼包丁です。 研ぎやすくもあり、調理には欠かせません。
以上です。 柳刃包丁と出刃包丁は結構高かったのですが、まあ一生モノだろうということで購入しました。 ちなみにカミさんは今回載せた包丁は一本も使いません。 セラミック万能包丁とかいう薄くて穴が開いた洋モノの包丁をマイ包丁にしています。
色んな食材を切るうちに、包丁はどうしても刃先が丸くなってきて、 切れが悪くなってきます。 庖丁さんのようにはいかないワケです。
そこで、たまには庖丁を研いであげないといけません。 まずは庖丁の平(平たい部分)をクレンザーとコルクを使い、水少々をつけてこすります。 庖丁は動かないようにしっかりと固定しておきます。
※柄もよく磨きます。
研石には色んな種類があり、ヤスリのように「荒さ」がちがいます。
本格的に包丁を研ぐならば、下処理から仕上げまでの間に研石を使い分けたほうがイイんですけど、 普段使いには中くらいの荒さの研石(中砥)をひとつ用意しておけば事足ります。
ちなみに我が家の砥石の紹介をしておきますと、左側から順に、荒砥、中砥、仕上げ砥、 そして間があいて、天然の砥石、最後に面直し用の砥石です。
プロは包丁はもちろん、砥石を特に大切にします。
さて。 そんな研石を10分間ぐらい水に浸しておきましょう。
まずは主婦の皆様の支持が多い洋包丁の研ぎ方です(動画)。
「万能包丁」なんて呼ばれたりもする、刃がステンレスでできた諸刃(両面に刃がつく)の包丁です。
包丁を握り、手の甲側にくる面(表)の刃を研石にあて、10円玉4個分程度、峰(包丁の背)を浮かせて研ぎます。
包丁をすべらせて研いでいくわけですが、刃全体を3つのブロックに分けて研いでいきます。
はじめに刃元から研ぎ、中、刃先と、研ぎ進みます。 左手で包丁の柄を持ち、右手は平に添えて(左利きの場合は逆)、慎重に研いでいきましょう。
包丁がうまく研げているかどうかは、「まくれ」の出来具合によって判断します。 まくれとは、右図のように包丁を研いでいくうちにできるかすかなはねっ返りで、目で見てもよくわかりませんが、指の腹で刃をなでるとよくわかります。 これができていればうまく研げたということなので、反対面の研ぎに進みます。
裏を研ぐ場合は、峰を10円玉2枚程度の高さに浮かせ、 表と同じように3ブロックにわけて研ぎ進みます。 また、表を研いだ時間よりも短めに研ぎ終えるのがポイントです。
表裏よく研げたら、最後に木のきれっぱしを持ってきて、その木を数回引き切ります。 こうして刃に残る小さな金属のカエリを取り除くのです。 どうでしょうか? トマトがスコスコ切れますか?
オイが習ったよく研げたかどうかの確認方法は、親指の爪に刃を当ててみて、引っかかるようならば上出来。 ツルツルすべるならばまだまだ、という判断方法です。
さて次はオイが日頃愛用している和包丁の研ぎ方です(動画)。 刃が鋼でできていて、片刃です。 和包丁の切刃(右図)を砥石に密着させて、 それからほんの少し峰を浮かせて洋包丁同様に研ぎ進みます。 裏を研ぐ場合は、裏全体を砥石に密着させて研ぎます。
包丁と砥石のまじわる角度は、表が25〜30度、裏が70〜80度です。
以上が包丁の研ぎ方です。
包丁はあくまでも「研ぐ」のでありまして、ごしごし力をこめて作業するものではありません。
研ぎ終わった後に腕が疲れていたら、力みすぎている恐れがあります。
肩の力を抜いて、リズミカルに体全体を使うような気持ちで研ぎましょう。 尚、危険な作業でもありますので、怪我には細心の注意を払いながら、作業することをお願いしておきます。
より詳しい包丁の研ぎ方を知りたい方には『包丁と砥石』という本をお勧めいたします。
一日の働きを終えた包丁は、コルクや大根の切れ端にクレンザーをつけてくまなく磨きます。 そして水洗いして乾いた布で水気をとります。
長期間保管する場合は、少量の油を布に染みこませてから包丁の刃の表面に擦り込みます。 そして新聞紙でくるんで保管します。
その日の家事が、終わった後がよいでしょう。 研いだばかりの包丁は、砥石の当たった部分に新しい鉄が現れて、どうしてもその匂いが食材に移りがちです。
なので使い終えた後に、研ぐのが良いのです。
包丁には両刃と片刃があります。 両刃では両側に押し分ける力が働くので、カボチャを真ん中から真っ二つに切るような時には便利です。 なので菜切包丁(野菜包丁)は両刃です。
一方刺身のように柔らかいものを切る際は、残った部分に圧力のかからない片刃が適します、つまりさしみ包丁(柳刃包丁)です。
刃ばかりに意識が向かいますが、柄は素手で握る部分なので何よりも清潔に保ちたいところです。 なので刃を研ぐのはたまにでも、柄だけは毎日よく磨きたいところです。
刃と柄の接合部分も汚れがたまりやすいので、注意しましょう。
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05/12/08(土)