「干男(ほしお)」という異名を持つバーのマスターがいます。 その名の通り、なんでも干しちゃうのです。 その店で酒肴として出されるドス黒い物体は、何かしらを干したものになります。 見るだけでは何を干したものかをいい当てるのは困難です。 旨いマズいはさておき、 これまでに食べさせられたものとしては「ハム、カマボコ、このわた、豚、牛、鶏、羊、魚、たらこ、明太子」などを幾日も干し上げたものです。
いやいやつまんでみても腹をこわさなかったことだけが唯一の救いでしょうか。
さて干男のことはほっときまして、 たらこを毎年のように仕込む自家製からすみの製法を使い燻製にしてみます。 ちゃんと美味しく作りますのでご心配なく。
少々イカれたタラコで結構です。 一腹ご用意ください。
※新鮮な魚の腹から取り出した真子を使うのもオススメです。
タラコに塩を軽く振りまして、冷蔵庫で2、3日寝かせておきます。 この際タラコの容器の片側を上げて坂を作り、カドに水がたまるようにしておいてください。
3日もすると、タラコからは水気がでてきて固くしまっているハズです。
1時間ばかり水に漬けて、塩出しをしてください。
塩出しが済んだタラコの水気をよくとってから、からすみよろしく日本酒に漬けこみます。 漬ける時間はお好みでありまして、今回は丸々一昼夜浸しておきました。
タラコを日本酒から取り出して、2日ばかり干します。 その後温燻で1.5時間燻します。 仕上げに軽く風にさらせば、タラコの燻製のできあがりです。
包丁を入れるとからすみばりにネットリとした手ごたえがあります。 口に入れるとほどよい塩気、スモークの香り、そしてタラコが渾然一体となりすぐに酒を欲しくなります。
10/07/03