婆ちゃんから電話がありました。
なんでもお歳暮にもらった生ハムの「生」という部分にいたく反応しているらしく、「そのまま食べても大丈夫なものじゃろか?」という話です。
こうなると警戒心を解くには骨が折れるので、「じゃあ、焼いて食べてみれば」と提案しました。
鍋に油を引いて、生ハムをとにかくこんがりと焼きます。
焼けたら皿に生ハムを乗せ、今しがた空になったフライパンに、ワインをドボッと注ぎます。
あとはワインをトロリと煮詰めれば、美味しいソースのできあがりです。 焼き生ハムにたらして、カボスでも絞ってつまめば旨いかと。
で、実際婆ちゃんはこのように作らせたらしいのですが、また電話があって「塩辛くて食べれたものではない」という感想でした。
「ホントかなあ」と実際ためしてみたら、婆ちゃんの言うとおり、塩辛くて舌がペッペとなってしまいました。 胡椒振ってもカボス絞っても、生ハムの塩気が焼いたことにより濃縮されてしまってコリャダメレシピです。
ということで次なる提案を。 生ハムを刻んでニンニクと一緒に炒めまして、焼きナスとあえます。
生姜醤油でも良いですし、ポン酢でも絶品です。 どうして焼き茄子とあえたのかといえば、それが合うと思ったからです。
でも本来生で喰って旨いもな生でいくべきなのです。 生ハムで焼きナスを鮨みたいに握り、 柚子胡椒つけて放り込みます。 よく冷やせば口福です。
東方からヨーロッパに攻め込んできたフン族のアッティラとその軍勢は、生きた家畜を糧食として連れてきました。 そして必要に応じて殺し、生肉を切り取っては鞍の下に挟んだのです。
軍勢が進むにつれ、馬の汗の塩が鞍の下にたまり、肉に沁みこみます。 同時に馬の背中に揺られる人間の体重によって、肉汁は絞り出されます。
そして肉は、馬と鞍に挟まれ、潰されていたので空気に触れることはありません。 彼らが馬を止めた時、鞍の下には美味しい生ハムができあがっておりました。
14/02/02