「名古屋めし」といえばどて煮やひつまむしが真っ先に思いかびますところ、知りませんでしたねえ台湾ラーメン。
宴席で教えられ、即その足で本家と称される店に向かいました。 席に着くなり「台湾ラーメンをお願いします!」と鼻息荒く注文したところ、「え、ホントに食べるの?」と聞き返されましてね店員さんに。
「台湾ラーメン」とはつまり、激辛ラーメンです。
店員さんが聞き返してきたのは、近頃観光客にもその存在が知れ渡り、店に入るなり「台湾ラーメン!」と注文されてもいざ出したら食べきれない客が続出しているからでした。
結論から申し上げますと、シメにススるラーメンではありませんコチラ。 「辛いから注意してね」とは言われていたものの、辛味には強いという自負がありましたから、臆せず出された丼を持ち上げてレンゲも使わず丼のフチからズイと朱色のスープを飲んだんです。
ところが何でしょうこれ、口にした瞬間辛味が全身に突き抜けます。 これほど即効性のある辛味はかつて経験したことありません、白目です。
さっきまで摂取していたアルコールが全て一瞬で汗へと変わったよう、全身から汗が吹き出ましたとさ。
食べたあとに味を再現するつもりでいましたが、辛味意外の味を感じられません。 「失敗したな」と内心感じはじめたところでおやどうしたことでしょう、ここまで麺には箸をつけておりませんが、もう一度、その凶猛なスープをススりたくなってきたのでした。
結局憑かれたようにスープをひたすらレンゲですくっては呑み続けていて、気づいた時には全身びしょ濡れで麺が露わになっておりました。 これぞ辛味の持つ魔力・・・台湾ラーメン人気のヒケツなのでしょう。
さて再現するとしましたならば、すぐにピンときましたね。 唐辛子の酢漬けです。
刻んだ赤唐辛子を酢漬けして、1週間寝かせば完成です。 辛い上にスープの臭みを消し去る力を持ちますから有用です。
当作以外にも活用できますから、沢山仕込むと暮しに吉兆現る事でしょう。
台湾ラーメンの特徴として、麺上テンコ盛のそぼろが際立ちます。
これはズバリ、じゃーじゃー麺の炸醤(肉みそ)です。
当作以外にも活用できますから、沢山仕込むと日々に瑞兆現る事でしょう。
いざ炸醤を仕込んだら、使う直前に台湾ラーメン用へと炒め直します。 何手順はカンタンで、フライパンに炸醤を入れて弱火にかけ、ニラとニンニクを加えて炒め合わせれば良いだけです。
本気で辛さを追求するならこの際粉唐辛子をドッサリ加えながら仕込むと良いでしょう。
舌が辛さになじんできた頃、目を閉じて味を分析してみました。 豚骨ベースではありません、かといって鶏でもなく・・・。
旨味はあるのにクセのないスープの正体は・・・たぶん業務用のチキンブイヨン顆粒だと思います。 つまり味覇(ウェイパー)等をお湯で溶いて醤油をたらせばカンタンに再現できそうなスープだという事です。 が、 そういう愛の無い調理はタブーが身上ですからキチンとチキンで抽出しますスープを。
そのスープに醤油とみりんで味をつけ、胡椒を振れば、はいスープの完成です。
店では3ミリストレート麺でした、と言いますかこれほどまでに麺の印象が薄いラーメンはそう無いと思います実際。
パスタマシンで打つほどの事もないと考え、いつものマルタイ棒ラーメンを用います。
さて役者は出そろいました。 スープを温めてひき肉を炒めます。
湯を沸かして麺を茹で、よく水切りをしてから丼に入れます。 すかさずスープを張り、ひき肉をテンコ盛りします。
そして仕上げに、唐辛子酢を思い切り回しかけるのです。
自分で作っといてナンですけど、本家より旨いですよこれ。 無論、お店並に辛くしちゃうと「旨い ― 不味い」の判断すらできなくなりますから、まずは今回の分量で仕込んでみてください。
尚、お店では台湾ラーメンが出てきた瞬間「小っちゃ!」と思わず声をあげてしまうほどの小丼で出されますが、これは辛いからそれほど食えないという理由からだと推測しております、ではー!
名古屋良い酒場が少ないです・・・最近お気に入りはもっぱらキリンシティです。
16/06/02