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栄養について:食のIQ
栄養について:食のIQ

栄養について:食のIQ

食品偽装や異物混入など食についての安全が懸念される昨今、食そのものについて各個人がもう少し知っておくべきことが多いような気がしてきます。 食のIQという感じでしょうか。  栄養その他の大事な事柄をこのページに集めてみたいと思います。

よい食事の3大条件

よい食事の3大条件
  1. 必須栄養素が腹八分目くらい食べて過不足なく摂取できること。  体内で合成できないために食事でとらなくてはならない栄養素のことを、必須栄養素といい、50種程度ある。 正しい料理の知識も必要だが、なによりもまず食品自体に力がなくてはならない。
  2. 体にストレスを与える物質(有害物質)をできるだけ取り込まない。 防腐剤のことを食品衛生法では保存料と呼ぶが、これによって利益が得られるのは食品メーカーである。
  3. 燃料となる栄養素の比率が人間の体に適していること。 食事で摂取した栄養素のうち、からだのなかで燃料となりうるのは、炭水化物、脂肪、たんぱく質の3つである。  車にたとえると、その三種類の混合燃料で我々は走っているわけだ。 では、どういう混合比率が体によいのかというと、実はそれがよくわかっていない。

食育基本法

食育基本法

2005年に制定。 食に関する知識を深め、健全な心身を培うことを目的としている。 「食育」とは、生きる上での基本であり、 知育、徳育、体育の基礎となるもの。 食を選択する力を得、健全な食生活ができる人間をそだてること。


主食

主食

日常的に多量に摂取し、エネルギー源の中心となる食物を主食という。 土地の気候風土が反映される。


世界の主食的な食品

  • :日本、朝鮮半島南部、中国中、南部、東南アジア、インド
  • 雑穀類(トウモロコシ、あわ、きび等):アフリカ、インドの雑穀地帯、サハラ砂漠以南のアフリカ、中国東部、メキシコ
  • 根栽作物類(ヤムイモ等):オーストラリア、ニュージーランドを除くオセアニア地方、西アフリカ
  • 麦類(パン、パスタ):アメリカ、ロシア、ヨーロッパ
  • 麦類(練って焼いたもの):北アフリカ、西アジアのイスラム地域
  • 麦類(ナン、チャパティー):西、中央アジア、インド北部
  • 麦類(ツァンパ):チベットの高原地帯
  • 麦類(饅頭、麺):中国北部

栄養

栄養

生物は、食物を食べることで体に必要な物質、すなわち栄養素を消化吸収しています。  このような生命活動を維持していく現象を栄養と呼ぶ。


栄養素の種類

食物に含まれる栄養素には、炭水化物(糖質、繊維)脂質たんぱく質ビタミン無機質の五つがあり、五大栄養素と呼ばれれる。 このうち炭水化物、脂質、たんぱく質の三つを三大栄養素と呼びます。

水は体内で栄養素の運搬や消化、吸収、排泄、浸透圧の調節、体温の調節など大切な役割を担っている。  このことから水を栄養素に含め、六大栄養素とする考え方もあります。  人間は生命を維持するために、成人で一日2〜3リットルの水を摂取する必要があります。 人体を構成する成分で、最も多いのは水分である。


五大栄養素の働き

  • 活動するエネルギーを生み、体温を保つ(熱量素):炭水化物、脂質、たんぱく質
  • 体の組織を作り、成長を促す(構成素):たんぱく質、無機質、脂質
  • 体の機能を調整する(調整素):無機質、ビタミン

炭水化物

炭水化物

人が取り入れる栄養素の中で最も多い成分。 炭素、水素、酸素からなる有機化合物で、糖質と繊維の総称。

糖質は穀類、いも類、砂糖類に多く含まれ、消化吸収が早く、燃焼しやすいため、エネルギー源として重要な役割を果たす。

繊維は体内で消化吸収されないが、便秘、血中コレステロールの低下などに効果がある。

炭水化物のうち、糖質の不足は、成長の妨げになります。 しかし摂取しすぎると、皮下脂肪や筋肉の中に蓄えられて肥満の原因になります(特に砂糖、果糖)。 炭水化物の分解には、ビタミンB1が大量に使われるので、ビタミンB1を十分に補給することが重要になる。


脂質

脂質

脂質には動物性油脂、植物性油脂等があり、脂肪と総称される。 たんぱく質、糖質の2倍以上のエネルギーを発生させるので、効率的なエネルギー源。

脂質は肉、魚、牛乳、豆類に多く含まれ、水に溶けずに有機溶剤に溶ける性質を持つ。 常温で固体のものを脂、液体のものを油という。

脂質は、代謝の際にビタミンB1を必要とせず、胃の中に停滞する時間が長いので、腹持ちがよい。

脂質の主な構成成分である脂肪酸には飽和脂肪酸不飽和脂肪酸があり、不飽和脂肪酸のうち、 必須脂肪酸であるリノール酸、リノレン酸、アラキドン酸は体内で十分に合成されないために、食物から取り入れる必要がある。


たんぱく質

たんぱく質

体の組織(皮膚、筋肉、内臓、血液、毛、爪)を作る栄養素であり、成長期には十分な摂取が必要。  アミノ酸が結合してできた化合物で、炭素、水素、酸素、窒素で構成されている。

たんぱく質が不足すると、貧血、抵抗力、活力の低下、月経異常、母乳分泌不良、むくみなどの症状が現れる。  しかし過剰に摂取しすぎると、消化不良、動脈硬化、腎臓病の原因になるので、高齢になるほど過剰摂取に注意しなければならない。

たんぱく質は摂取後アミノ酸に分解されたあと小腸で吸収される。

たんぱく質は約20種類のアミノ酸が結びついて作られており、組成により単純たんぱく質、 複合たんぱく質、誘導たんぱく質に分けられる。 アミノ酸のうち、体内で合成できないもの、合成される量が少ないものは、食品から摂取しなければならない。  これを必須アミノ酸(9種)という。 必須アミノ酸は鶏卵、牛乳、肉、魚などの動物性食品に多く含まれている。


ビタミン

ビタミン

代謝を円滑に進める大切な栄養素。

ビタミン自体はエネルギーや体の組織のもとにはならないが、体の機能を調節する役目を持つ。  体内で合成されるものもあるが、ほとんどを食品から摂取しなければならない。

ビタミンには熱、酸、アルカリ、酸素の影響を受けやすいものが多いため、調理に際してはその性質を知っておく必要がある。

ビタミンは性質により2つに分けられる。

  • 水溶性ビタミン:ビタミンB1、B2、B6、B12、C1、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン
  • 脂溶性ビタミン:A、D、E、K

※カルシウムとビタミンDをともに多く摂取すると、大腸がんにかかるリスクを下げる可能性があることが、九州大などの調査でわかった。 カルシウムが豊富な食品は、 切干大根、木綿豆腐、サクラエビ等。 ビタミンDはサンマ、サケ、キクラゲ、シイタケ等。(2008/09/23朝日新聞より)


脂溶性ビタミンの働き

  • A:皮膚、粘膜、視力を保ち、成長促進、抗がん作用がある。 レバー、うなぎ、牛乳、バター、チーズ、緑色野菜に含まれる。
  • D:小腸内でカルシウムとリンの吸収を促進し、骨の形成に関係する。 紫外線にあたると皮膚に生成される。 レバー、いわし、鰹、マグロ、キノコに含まれる。
  • E:必須脂肪酸、ビタミンA、カロテンの酸化を防ぐ。 生殖、老化に役立つ。 穀物、綿実油、緑黄色野菜、豆類、卵黄に含まれる。
  • K:血液凝固に関係し、骨の形成を促進する。 緑黄色野菜、海藻類、豆類に含まれる。

水溶性ビタミンの働き

  • B1:炭水化物の代謝、消化液の分泌促進、神経作用の調整など。 豚肉、胚芽、レバー、豆類、緑黄色野菜に含まれる。
  • B2:アミノ酸、脂質、炭水化物の代謝に関係。 発育に不可欠。 レバー、卵、牛乳、緑黄色野菜、胚芽、肉類に含まれる。
  • B6:アミノ酸の代謝に関係。 皮膚を健康に保つ。 レバー、肉類、魚介類、卵、牛乳に含まれる。
  • B12:造血作用、たんぱく質や核酸の生成に必要。 レバー、肉類、魚介類、チーズ、卵に含まれる。
  • C:コラーゲンの生成、毛細血管や歯、軟骨、結合組織を健全に保つ。 果実、野菜、イモ類に含まれる。
  • ナイアシン:炭水化物の代謝に関係。 レバー、肉類、魚介類、豆類に含まれる。
  • パントテン酸:炭水化物、脂質、たんぱく質の代謝に関係。 肉類、魚介類、酵母、レバーに含まれる。
  • 葉酸:アミノ酸の生成や造血作用に必要。 レバー、卵黄、肉類、牛乳、豆類、酵母、緑黄色野菜に含まれる。
  • ビオチン:脂質の合成、アミノ酸や糖質の代謝に関係している。 レバー、牛乳、豆類、酵母に含まれる。

無機質

骨や歯を構成し、体の機能を調節する働きがある。  体内に2〜5%以上含まれ、そのほとんどは骨や歯などの硬い組織の中に存在する。 体内で生成できないため、食品から摂取する必要がある。

無機質の働き

  • カルシウム:骨や歯を作り、血液を凝固させる。 筋肉の収縮も調整。 牛乳、乳製品、小魚、海草類に含まれる。
  • リン:骨や歯を作る。 血液中の酸やアルカリを中和する。 穀類、肉類、魚介類、卵黄に含まれる。
  • :たんぱく質と結合してヘモグロビンを作り、酸素を体内に運搬する。 レバー、卵黄、緑黄色野菜に含まれる。
  • ナトリウム:神経興奮の伝達、筋肉の収縮に関係する。 体液の浸透圧も調節する。 塩、味噌、醤油に含まれる。
  • カリウム:細胞内の水分を一定にし、心臓、筋肉の機能を調整する。 野菜、果物、イモ類に含まれる。
  • ヨウ素:成長期には発育を促進し、成人では基礎代謝を盛んにする。 海藻類に含まれる。
  • マグネシウム:筋肉の収縮や神経伝達、血圧の調整に関係する。 緑黄色野菜、穀類、肉類に含まれる。
  • 亜鉛:核酸やたんぱく質の合成に関係する。 魚介類、肉類、牛乳、卵黄に含まれる。
  • :ヘモグロビンが作られるときに鉄の利用率をよくする。 牛レバー、牡蠣等の魚介類に含まれる。
  • マンガン:骨の生成を促進する。 牛乳、肉類、豆類に含まれる。

エネルギー代謝

エネルギー代謝

炭水化物、たんぱく質、脂質は体内に入ると酸素と結合して燃焼し、エネルギーとして活用されます。 これをエネルギー代謝という。

  • 基礎代謝:生命の維持に必要な最小限のエネルギー量。 一日の基礎代謝量(kcal)=体重×基礎代謝基準値
  • 活動代謝:安静代謝と活動による代謝の高まりを合わせたもの。  ある活動に要する代謝の高まりが基礎代謝量の何倍にあたるかという数値を、エネルギー代謝率(RMR)という。 安静代謝とは、いつでも活動できる状態で待機している時のエネルギー。
  • 特異動的作用:食物を消化、吸収するときに、代謝が通常より多くなる作用(約10%)。 活動代謝に含まれる。

基礎代謝基準値

  • 18〜29歳:男性24.0 女性22.1
  • 30〜49歳:男性22.3 女性21.7
  • 50〜69歳:男性21.5 女性20.7

基礎代謝量が多くなる時

  • 年齢が低い
  • 栄養状態がよい
  • 身体活動レベルが高い
  • 女性よりも男性
  • 太っているよりやせている
  • 体温が高い
  • 妊娠している
  • 筋肉質
  • 夏よりも冬

肉
  • 料理に当てる時間が短くなれば料理の数が減るのは当然として、極端な場合には、カレーライスだけというようないわゆる一皿料理になってしまう。 そして一皿料理になった場合のカレーの 中身は肉が占めているに違いない。 そうでないと、一回の食事としての充実感を得ることができないからだ。
  • 肉は料理の時間を短縮してくれる便利な食品である。
  • 肉を食べると多量の脂肪をとることになる。 脂肪のところを切り取ったとしても、組織の中に、取り除けない脂肪がまだ多く含まれる。
  • 肉に含まれる脂肪の多くが飽和脂肪酸で、しかも、飽和脂肪酸の中でも融点が高く44℃以上というものが高い比率を占めている。 36〜37℃という人体の体温下では、当然それらは固体状を なしており、多量に摂取された場合にはさまざまなトラブルをもたらすことになる。
  • 固体状をなしている脂肪は、基本が水でできている血液には合わないので、体は微小な粒に砕いて循環させるが、脂肪の粒同士は、くっつきやすい性質を持ち、血液中では赤血球同士をくっつき あわせる糊のような働きもする。 赤血球は折り曲げたように自分自身を変形しないと小さな血管を通れないという大きなもので、それがくっついて団子状になっては通れなくなる。
  • 牛肉を1ポンド得るには、穀類あるいは大豆を16ポンド食べさせなくてはならない。
  • むやみに豆腐を食べる人がいないことからもわかるように、豆中心の食事は、食欲によって適量にコントロールされる。 肉中心の食事は、食べ過ぎることのできる食事だ。 食欲が正常に 働かなくなる食事といってもよい。

トマトはなぜまずくなったのか

トマトはなぜまずくなったのか
  • 加工業者は、トマトはもっとかたく、酸味がすくなく、小さくあるべきだと考えた。
  • 技術者たちは、トマトの皮がつぶれないように厚くて、コンベアに乗っても転がりださないように長楕円形であることが望ましいと言い出した。 
  • 遺伝学の研究者たちがこうした要望に沿った品種の開発に力をいれた結果、その他の要素は切り捨てられた。 物理的ショックに強く、酸味が少なく、完熟する時期が一斉であり、長楕円形で、 葉の茂りがよく、多収量。 風味や栄養は二の次だった。
  • エチレンという物質はトマト自体が作り出すもので、完熟してくるとトマトの実を赤くさせる物質だが、これが農薬として開発された。
  • 消費者は昔の本当のトマトの味を忘れてしまうのだ。 そして皮がかたくて厚い、汁気も少ないトマトを買うことになる。

化学物質

化学物質
  • 食品に加えられる化学物質は、医薬品と異なり、日常的に長期間、人によっては毎日取り込むことになるために影響が大きい。 加工食品を毎日何かしら食べている人がいたら、 さまざまな化学物質を実際毎日食事によってとりこんでいるという話になる。
  • 食品添加物は実験動物(ネズミ等)で個々に一般毒性が試験されて使用が許可されているが、多種組み合わせられた場合の毒性は調べられていない。 着色料の赤色2号、 合成甘味料のシクラメート、乳化剤のトウィーン60をそれぞれ単独でネズミに与えたときは異常がみられないが、三つ同時に与えると、2週間以内に一匹残らず死亡したというデータが 報告されている。
  • 日本人は一日平均84種類の食品添加物を摂取していると推定される。 加工食品の中には、一つで数十種の添加物をふくむものもある。
  • 農薬は7年から40年間、環境にとどまり、食物連鎖によって濃縮されていく。  陸では植物から動物に。 海中では小魚から大きな魚に濃縮していく。 農薬の多くは脂溶性なので、 肉のなかでもとくに脂肪組織でその濃度が高まる。 現在の化学物質で汚染した環境から身を守るには、食物連鎖の低いところの食品で食事を構成することがいかに大事かわかる。
  • 熱帯地方で使用されたDDTやBHCは、気温が高いため揮発して空気中に拡散しやすい。 それが大気、雨水、海水などを通じて地球全体に広がっていると考えられる。 南極の大気や 雪、氷、海水からも検出されているのだ。
  • 玄米、ヌカ漬けは残留農薬に気をつける。
  • イワシやサンマの身にグルタミン酸ソーダをかけると旨味と同時に赤みがでる。 これだけだと油分が足りないので、業務用マーガリンを加え、ネギと混ぜる。 こうして作られたネギトロもあるそうだ。

食品添加物

食品添加物
  • 増粘多糖類:ガン発生促進作用があるといわれるカラギナンが使用されているかもしれない。
  • 香料:安全性に信頼がもてないものが多い。
  • かんすい:麺類の製造に用いるアルカリ剤。
  • アミノ酸等:グルタミン酸ナトリウムが使われている場合がほとんど。
  • PH調整剤:日持ちをさせる。
  • 乳化剤:界面活性剤のこと。 これにより、瞬時に水と油が混ざる。
  • 増粘多糖類:粘度を増す。

キャリーオーバー

キャリーオーバーとは原材料からそのまま持ち越される添加物のこと。 たとえばギョーザのタレを作る際、原材料に醤油を使うが、この醤油に含まれる添加物は表示しなくてよい、というもの。


メモ

メモ
  • それにしても、体によくない食事を大多数の人が食べ続けるというようなことが、どうして起きるのだろうか。 自然界にそういう動物がいたとしたら、急激に数を減らすに違いない。 だが、 人類の場合は、病人が増えてはいるけれども、死亡者が激増するというような状況ではない。 しかし、それは医療によって死が遅らされているからであって、われわれはゆっくり衰退への 道を歩き始めているのではないのか?
  • リンゴが重力というただ一つの力で木から落ちてくるように、現代人の食事を変化させているのも、経済的な豊かさというただ一つの力であることがわかったのだ。
  • 現代人がいかに植物油を多く使うようになっているかは、1910年から80年までの70年間に、米国の場合、消費量が12倍にもなったといえば、その凡の程度がわかっていただけるだろう。
  • 加工食品の業者にとっては、砂糖は最も強力な、しかも最も廉価な武器なのである。 砂糖を多く入れたほうが競争に勝ち、シェアを拡大できるという事実を、多くの統計が示す。
  • わが国でも、テイクアウトの寿司店の寿司飯が、売れてチェーン店を増やしているような店ほど甘いことに気づいている人は多いだろう。 それはかつての熟鮨などを食べたときに感じた甘さとは 異質のものである。 熟鮨は噛んでいる間に甘さが出てくるのだが、売れてるテイクアウトの寿司は、多量の砂糖のおかげで口に入れた瞬間にもう甘いのだ。
  • 現在、日本の専業主婦が料理に割いている時間は、平均で一日二時間半にすぎない。(NHK国民生活時間調査)
  • 食事の質は、炊事時間だけでなく、材料を買うために費やされる時間や労力によっても大きく左右される。
  • メソポタミア文明の崩壊のように、われわれは過去に、灌漑による農地の拡大がやがては不毛の土地を生んでいった例を知っているのだが、現代の科学技術はその過程を数倍、数十倍に 加速していると思われる。
  • 昆布のひとりあたりの消費量は沖縄が全国一。
  • 2.5センチの表土が作られるには、100年〜500年かかる。 それが一回の大雨で流されてしまう。
  • 動物は栄養状態がよいと毛づくろいをするけれども、バランスの悪い食事を与えると毛づくろいをしなくなることが知られている。
  • 食間に、カロリーあたりのたんぱく質の少ないものをかなりの量食べると、食事で食べたいものが変わってくる。 高たんぱく食品を要求するのだ。
  • 家族経営の小規模な魚屋、八百屋、豆腐屋があった場合には、住民の栄養の状態が非常によくなる。広域流通によらない、力を持った食品が近くで手に入るようになるからだ。

食品のエネルギー

食品のエネルギー

1gあたりのエネルギーは、炭水化物とたんぱく質が4kcal脂質が9kcal。  食品に含まれる栄養素が燃焼するときに発生する1g当たりのエネルギー量をアウトウォーター係数という。


摂取カロリーに占める脂肪の割合

  • ベーコン:96%
  • クリームチーズ:89%
  • ポークソーセージ:86%
  • アボカド:85%
  • 豚・腰、スペアリブ:74%
  • サラミ:74%
  • カマンベールチーズ:72%
  • サーロインステーキ:69%
  • 卵:63%
  • フライドチキン(もも):61%
  • ポテトチップス:60%
  • ミルクチョコレート:55%
  • 豆腐:53%
  • 牛乳:51%
  • いわし:48%
  • アイスクリーム:47%
  • 鮭:40%
  • 大豆:39%
  • ハンバーガー:38%
  • 牛乳(低脂肪):34%
  • スズキ:20%
  • パン:14%
  • レタス:13%
  • ほうれん草:12%
  • わかめ:11%
  • 昆布:11%
  • ナシ:6%
  • カニ:6%
  • ネギ:4%
  • バナナ:4%
  • ミカン:3%
  • ナス:3%
  • ニンジン:3%
  • 海苔:3%
  • グレープフルーツ:2%
  • オレンジ:2%
  • 米:1%
  • 桃:1%
  • ジャガイモ:1%

消費期限

消費期限

消費期限は製造してから5日以内なら消費しても大丈夫なもの。 一度開封したら期限にかかわらず早めに食べる。


賞味期限

賞味期限

品質が落ちずにおいしく食べられる期間。 一度開封したら期限にかかわらず早めに食べる。


産地表示

産地表示

たとえば、「紀州産」と書かれた梅干があったとして、この梅が中国で採れたものであっても、最後の一塩を紀州でふりかければ紀州産ということになる。 ウナギの場合、中国で焼かれたものを 輸入していたとしても、日本でタレをつければ日本産のうなぎということになる。 これは法律できめられたことになる。


生鮮食品と加工食品

生鮮食品と加工食品

スーパなどで売られる刺し盛り(何種類かの魚を盛り合わせひとつのトレイで売られるもの)は、生鮮食品でなく加工食品として扱われる。 加工食品には産地表示の義務はないので、 どこで獲れようが水揚げされていようが消費者に知らせる必要はない。 解凍、養殖の表示もしなくてよい。


菌
  • ブドウ球菌:熱や乾燥に強く、100℃で30分沸騰させても死なない。 塩分濃度の高い食品でも増殖する。 調理する人の手から食品に入り込み「エンテロトキシン」という毒素をだして、 食中毒をひきおこす。
  • O-157:人から人へ2次感染があり、集団発生が多い。 熱に弱いが低温に強く、冷蔵庫内でも繁殖。 潜伏期間は4、5日。
  • 腸炎ビブリオ:塩水を好み、真水、低温、熱に弱い。 海中に潜む。
  • サルモネラ:熱に弱く、低温、乾燥に強い。 卵、肉、ペットから感染。 二次感染の恐れもある。 自然界に広く分布。
  • ボツリヌス菌:酸素がなくても繁殖。 缶詰、瓶詰め、燻製など保存食が感染源として多い。 熱に弱い。

コクと旨味

コクと旨味
  • コクは極めて複雑な要因がからみあい、絶妙なバランスをとったときに発生する。
  • コクは食べ物を口に入れた瞬間に感じるものではない。 砂糖の甘味や塩の味はすぐに感じられるが、丹念に抽出したスープなどのコクは口に入れて一呼吸おいてからジワリと感じられるもの。
  • インドに自生するギムネマ・シルベスタの葉を30秒ほどかむと、それから一時間ぐらい、まったく甘味を感じなくなる。
  • 油にはエネルギーが最高に濃縮されている。 油の多い食物は高エネルギーであり、動物にとって魅力的。 適度な塩味はミネラルが適度に含まれている証。 たんぱく質を構成するアミノ酸は、 強い旨味を感じる。
  • 豆腐に含まれる大豆たんぱく質や、チーズ、ヨーグルトの原料である牛乳に含まれるカゼインたんぱく質は無味。 卵白の主成分であるアルブミンやグロプリン類にもとくに味はない。  リゾチームという酵素や、ソーチマンというたんぱく質には甘味がある。
  • たんぱく質を分解すると、ペプチドが生じる。 ペプチドが分解されてできるアミノ酸のなかで、グリシン、アラニンは砂糖のように甘い味がする。 アミノ酸の一種、グルタミン酸は昆布の旨味成分。
  • 燻製にはコクがあるが、なぜ煙にコクがあるのかは不明。 スモークによって付与される成分は、スモークらしさに重要といわれるフェノール類だけで100種類以上。
  • そばは本来痩せた土地で栽培された。 土から栄養素を吸収する能力が高いので、他の作物が育たない土地でも栽培できた。
  • 牛乳は脂肪の直径が大きいほどコクが感じられる。
  • コクを高めるいちばんカンタンな方法は、粘度をあげること。
  • 吸い物の適切な塩分濃度は0.8〜0.9%程度といわれる。

参考文献

以上の本が大変参考になりました。 随時更新していきます。


栄養のツボ

  • 素材そのものに力のある食品を摂取する。
  • 「おいしい味は舌の奥で味わうものだ」という言い方がフランスにあるらしい。
  • 味を感じるのは舌だけではない。 口の中の天井にあたる軟口蓋も甘い味などを感じる。 食感にも敏感。
  • 動物の血液に含まれている糖分はグルコース。 
  • おいしすぎるものは飽きる。
  • ここ数世代の間に、人々が食事の準備にかける時間は前の世代の半分になってきている。 これをハモンズの法則という。
  • 食に関する価値観は、地域、民族の持つ固有の文化に影響される。
  • 日本の食料自給率は、約40%。 世界の主要国に比べて低い。

おさらい

栄養あふれるものは味も良い逆もまたしかり。

07/11/17


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