「春先になるとですね、オイはよくカメノテを食べるんです」
こう言うとたいてい皆さんギョッとされますが、何も本当に「亀の手」を食べているわけでなく、そんな名前の貝がいるんです。
とはいっても、カメノテを自分で採集した経験はなく、ご近所の爺ちゃん婆ちゃんが差し入れてくれるんです。 そういえば魚屋の店先では見たことがありませんね。
これがカメノテです。 いくつかがひとまとまりになっている状態なのでちょっとわかりにくですが、
こんな風にひとつずつバラすと「おー、確かに亀の手!」と納得していただけるかと思います。 その姿から、初めて口にする時は辟易しましたが、 磯の薫りあふれるすばらしい風味を持ちます (以前ブログにも書きました→カメノテ)。
まずは塩茹でにしていただきます。 フタのキッチリ閉まる鍋を用意しまして、カメノテを入れて火にかけます。
すかさず塩をひとつまみと、酒をお猪口一杯流し入れまして、
フタをして中火で2分間蒸し煮します。
塩を入れた湯でグラグラ煮ると簡単ですが、旨味が湯の中に逃げちゃうのでこんな風に煮るのです。
ちなみにこの煮方は何もカメノテのみにあらず、エビやカニ等「殻付の魚介」を美味しくいただく方法でもありますので、 存分にご活用ください。 この際ウチでは無水鍋を用いておりますが、なにフタがキッチリ閉まる鍋なら何でもイケます。
さて、2分間煮たカメノテは、火を止めてフタをしたままさらに2分間置いてからいただきます。
熱々をつまむのが最良です。 カメノテの鎖帷子状の表皮をクイッとやれば、まるであらかじめ切れ目でも入れてあるかのように、すんなり桃色の肉が露出します。
肉汁をこぼさぬよう口に運べばもう止まらなくなります。
続いてカメノテを味噌汁の実にしていただきます。 人によっては、「カメノテはダシとして活用してなんぼたい」といいます。
昆布を浸しておいた水を火にかけて、沸騰寸前に昆布を引き上げます。 そこへカメノテをドサーッと加え、弱火で20分ぐらい煮ていきます。
仕上げに味噌を溶きいれると味噌汁のできあがりです。
五臓六腑に染み渡るコクがあります。 よく一緒に使われる実としては、ジャガイモ、アオサ等ですねこちらでは。
カメノテを味噌汁と、塩茹でにして楽しむ。
13/05/01