11月の半分を名古屋で過ごしました。 今回ムキになって追及したのがもうとっくに体得したハズだったどて煮の味で、名店の味を毎日通って店で飲み、かぶりで持ち帰り、その味を舌に覚えこませたのでした。
夕方五時前、ボロボロの赤ちょうちんを目印に店へ向かえば、すでに短い行列ができています。
中には割烹着姿で空の大鍋を提げ並んでいるお母さんもおります。
すごいですよ。
その鍋一杯にどてを買って帰るんです。 注文を聞いて思わず耳を疑いました、70本のお買い上げです。 「孫が大好きなのよ。 この味は家ではできないし」との事でした。
豚のもつをたんまり買ってきてまず湯に通します。 余分な油気を抜くのと串に刺しやすくするためそうします。
もつが大きければ程よいサイズに切り分けて、焼き鳥よろしく串に刺してまいります。
鍋になにかしらの出汁を張り、ちなみに今回たまたま幸運にも入手できた名古屋コーチンのガラから抽出した黄金スープなのですが、やはりコーチンは凄いですね、単なる鶏でとったスープよりも格段にコクがありました。 しかも十分煮た後のダシガラ肉でさえ、ボロボロになるのではなくプリンと弾力するんです、恐るべし肉質……。
さて、出汁へ八丁味噌をたっぷりと加えたら、砂糖をウソみたいに沢山加えて煮はじめます。 甘味はみりんでなく砂糖でなければならんのです。
底深い甘味がなければどては美味しくないのであります。
実際作っていただくとお分かりのように、ちっともクドい甘さになりません。 これは八丁味噌が大豆と塩だけで作られており、その他の味噌よりも塩気が強いからそう収まります。
味噌と砂糖が完全に溶けた所でもつ串をズラリと入れていきます。 どてだからと何時間も煮ては串の旨味が抜けちゃいますから、一時間を目安に引きあげてカブりつきましょう。
何もどてはモツだけではありません。 串カツをザブンと浸して食べてもめっぽう旨いのです。
さらに食べ切った後に残る煮汁に何かしらを入れてしばらく煮、ご飯にかけて食べたらこれぞどてめしで、もうテキストでは言い尽くせない妙味にあふれます。
さらにあらかじめ柔らかく茹でておいた大根を沈めて煮たらみそおでん。 「もう早く熱燗ください!」 コンニャクや茹で卵もオススメです。
19/12/12