「焼酎の取り扱い銘柄が常時千以上ある酒屋さんが鹿児島に存在している」
という情報を聞きつけて、のり弁片手に新幹線へ乗り込み行ってきましたその土地へ。
都内の銘酒酒場なんかでよく「常時500銘柄をストックしています」なんて謳う所もありますが「この店内にそんなキャパ無いでしょ」と感じる事がままあって、だから半信半疑で伺ったのですがさすがは焼酎王国、本物でした。
店の中にベラーッと一升瓶が並んでいるのです。 そしてこれまで四百数十銘柄飲んできた私ですら見たこともない焼酎が散見されます。
もちろん鼻息荒く段ボールに詰め込んでは会計をし、送りましたよ自宅まで。 今それを少しずつ開封して飲みながら、これを書いているワケではありません後で飲みます文章バラバラになっちゃいますから。
気をよくした私はお店の主人に聞いてみました。 「地元の方はもっぱら、焼酎にどんな肴を合わせて楽しんでおられますか?」
と。
すると開口一番返ってきたのが「突っきゃげです」との事でした。
さつま揚げですね。 やはりコレにカブりつきながらガブガブ呑むのが最高だとおっしゃいました。
所であなたはさつま揚げ好きですか?
実は私、さつま揚げに対してあまり良い印象を持っていなかったのです実は。
これまで何度も口にした事ありますもちろん。 そしていつも同じ感想を抱くのでした…「甘すぎない?」と。
かまぼこ王国長崎の人間からすると、どうもカマボコが甘い、という現象に違和感を抱かざるを得ないのでして。
おかずにするにもチョット、おやつにするにはなんかこう、つまみにするならもうチッと塩気が欲しい…。
というようなやや後ろ向きなイメージを持っているのです。
そのように伝えてみたらこう教えてくれました。
料理屋さんに行ってそこで手作りしているものを食べてごらんなさい、と。
早速お店を聞いて向かい「さつま揚げください!」と注文して待つこと5分で目の前に差し出されたさつま揚げは、何の変哲もない姿をしていましたが、ひとかじりして目ウロ、かすかに甘いだけでキチンと魚の旨味にあふれるかまぼこだったのです。
なんてもアチラコチラのお店や家庭で手作りされているそうですさつま揚げ。
だから作り手の数だけ味があるという事ですね、郷土料理のそこが好きです。 魚種は問いませんができれば白身が良いそうです。 家でいちばん大きなあたり鉢にすり身を入れて卵、塩、おろした生姜、隠し味の赤味噌、お酒にみりん、片栗粉を合わせてテレビでも見ながらじっくり丹念に練り合わせます。
最初はなかなかまとまらなかったのが、ある時を境に急にもったり一体感を見せるでしょう。 そうなったらささがきしたゴボウとせん切り人参を加えて混ぜ合わせます。
後は掌に油を塗り、小判型に整えるだけです。
油温は低めです。 タネを入れたらじっくり4分揚げるんです。
眺めていると底に沈んでいたのがユラリと浮き上がってくるでしょう。 しかしその姿は、なじみあるさつま揚げのものではありませんので少々不安になってきます。
薫り付けにごま油をたらした後引き上げれば、パンパンに張ったその揚げ物を「さつま揚げ」と呼ぶ事がはばかられる外見をしておりますが、
ものの15秒もすると空気が抜けてシナッとし、見慣れた質感になってくれるから面白いです。
20/12/31