油には液体状のものと固体状のものがある。
※ヘット(牛脂)は溶け出す温度が40〜46℃と人間の体温よりも高く、口の中に入れても溶けないので、冷たい料理には向かない。 ラード(豚脂)は溶け出す温度が27℃〜40℃と低いため、冷たい料理やハム、ソーセージ、ベーコンなど加熱せずそのまま口にするものに利用できる。
液体、固体は脂肪酸の種類による。 飽和脂肪酸が多いものは個体、不飽和脂肪酸が多いものは液体。
不飽和脂肪酸のうち、リノール酸やリノレン酸の多い油は、血管についたコレステロースを除去する働きがみられる。
料理に使う際は無塩のものが便利。 たっぷり使っても塩辛くならない。 保存の際、バターは匂いを吸収しやすいので、空気に触れないよう密閉する事。
バターを溶かして上澄みだけを料理に用いる事もあるが、それはバターが純粋に牛乳の脂肪だけで作られているのではなく、水分と塩が含まれているから。 溶かすと油は上にたまり、その下に不純物がたまるので純粋なバターを使うには上澄みだけを用いる。
揚げ物に使用した油はすぐにこして、揚げカスを取り除き、冷暗所で保管する。 なるべく空気にふれないように保管する。
どんな油でも酸化すると人体に有害なものになる。
脂肪の多い食品をとりすぎると、脂肪にふくまれるコレステロールの血中濃度が高くなり、血管内にコレステロールが沈着するようになる。
これが悪化すると、動脈の弾力性が失われる動脈硬化の症状がひきおこされる。 コレステロールが血管内に沈着する過程はよく解明されていないが、コレステロールは飽和性の脂肪を体内にとりいれると増加し、 不飽和性の脂肪をとりいれることで減少することが知られている。
醤油などの容器には、内容量がミリリットル単位で書かれてあるのに、食用油だけグラム単位なのはどうしてなのか?
答えは、油は水より温度による体積の変化が大きいから。
たとえば、油の容器に「内容量500ミリリットル」と書かれてあっても、買って帰り、涼しい場所に置いておくと、それより減ってしまうことがある。 そこで油は、体積ではなく、重さで表示するようになった。
江戸時代、ズルい油商人がいて、油を入れた大カメを日当たりのよい場所に置いておいた。 油は温められて、体積が増える。 それをマスではかって売り、大もうけした。 重さではなく、 体積で売って、あくどく稼いだというわけ。(以上表記について「読むクスリ31」より)
油の沸騰点は高く、熱すれば300℃以上にもなるが、揚げる際にあまりにも油が高温だと味がそこなわれ、油もいたむため、130〜200℃の範囲で使用する。
素材の大きさなどにより、揚げる温度、時間は異なる。 又、一度に大量の食材を油の中へ入れてしまっては、油の温度が下がってしまい、カラリと揚げることができなくなってしまう。
一度に多くの材料を入れると、水が蒸発する時、空気中に熱を持ち去るので3分以上温度が回復しない事もある。 揚げ物は長くても6分程度の揚げ時間なので、低温状態が3分も続けばその揚げ物は絶望的である。
油を酷使したり長時間置いておくと、しだいに粘りが出て色や味が悪くなる。 これを油が疲れると表現し、さらにこれが進むと変敗という状態になり使えない状態となる。
紫色の煙が上がったら揚げはじめる、等言われる。
かつて脂肪は貴重なエネルギー源でした。 ハンガリーでは賃金の一部が豚の脂肪で支払われることもありました。 成功を祈る時の言いまわしとして、「彼の豚に脂肪がつきますように」という表現が今でも使われています。
05/07/19