かんころもちをご存じでしょうか。 カンコロもちとは、サツマイモともち米、砂糖を混ぜて作ったオモチのことで、 長崎では古くから親しまれる冬の風物詩でもあります。
そんなカンコロもちを、どうやって作っているのか?というのが、オイの長年の疑問でもあったわけですが、 今回運良くその製作現場に潜入することに成功しました。 作り方もイチイチメモってきましたので、忘れないようにここに記します。
11月前後の少し寒くなり始めた頃、サツマイモを掘り出します。 そしてきれいに水洗をします。
綺麗になったサツマイモの皮をむき、薄くスライスしたのちサッと茹でます。
※スライス後、茹でる工程の記述がスッポリ抜けておりましたところを、下記コメント欄にて『かんころ』さんより教えていただきました、感謝!!!(2015/01/06追記)
茹でたイモを、天日に干します。 干す期間は作る人によってマチマチなのだそうですが、 カラカラになるまで干すのが一般的です。 かんころもちのシーズンになると、こうして干されているサツマイモをよく見かけます。
充分干したサツマイモを蒸します。 この蒸し器は自家製なのだそうで、蒸篭(セイロ)を3段積むことができます。 カンコロモチ作りの最終工程である成型までは、基本的に野外で作業します。
寒い中でもこの蒸し器の回りはポカポカであります。
一年分のカンコロモチを、たった一日で作りあげてしまうので、作業は早朝から始められます。 今回取材させていただいた家庭は、カンコロモチを作るようになってから数十年のキャリアを持つベテランというか、 もはやプロです。
ですから自家用のほかにもご近所さんに注文されている分もあるとのことで、 作るカンコロモチの量といったらもうハンパではありませんでした。
蒸し器の燃料は廃材です。 湯の入った大釜の下では廃材がパチパチと燃えています。 次から次に廃材を供給しないと火力が落ちてしまうので、蒸し器の近くに廃材を配備しています。
蒸し器の横にはもうひとつ大釜があり、お湯がグラグラと沸いています。 蒸し器の湯が少なくなってくると、この大釜の湯をその都度足していくわけです。
さて。 セイロの中に、干しておいたサツマイモのチップを満遍なく敷き詰めます。 3段それぞれ同じように作業をします。
サツマイモを敷き詰めた上に、もち米を適量加えます。 サツマイモともち米の割合は、大体8:2ぐらいなのだそうですが、作る人の好みによりマチマチです。
蒸しあがると容器にうつし、ざっくりと混ぜ合わせます。 手早く行うのがモットーです。
混ぜ合わされたサツマイモともち米は、専用の機械により練られます。 この機械は元々味噌作りなどに使われるモノらしいです。 一度に沢山入れずに、 様子を見ながら少しずつというのがひとつのポイントだとか。
こんな感じに「ニュルニュ」とカンコロモチの生地がでてくるわけです。 上から原料を入れる人が1人いて、出てきたものを束ねる作業は2人で行います。
一度機械を通されたカンコロモチのベースは容器に移され、 今度は砂糖で味付けを行います。 砂糖の分量はお好みです。
砂糖を加えてよく混ぜ合わせたあと、再び機械に通します。 2度挽きすることによって、カンコロモチにキメの細かさがでてくるわけです。
はじめよりもよりキメの細かくなったものがニュルリとでてきます。 出てきたハナからカンコロモチ特有の延べ棒形に手で成型していきます。
ある程度成型されたものは次の人の手に渡り、打ち粉をふるってさらに成型されていきます。 表面をなでながら「おいしくなーれ、おいしくなーれ」と心を込めて形を作るのだそうです。
カンコロモチ、ついに完成! 作りたてはまだ柔らかく、温かいです。 これを袋に入れて冷凍保存しておくと、来年作り始める頃まで充分保存可能なのだとか。
あらかじめスライスしておいて、ストーブの上に銀紙を敷き、 その上で両面こんがりと焼き上げます。 しかし、ストーブではくっついてしまう恐れがあるので、 オーブンで焼き上げるのがオススメなのだとか。
※焼かずにそのまま食べることもできます。
カンは甘い、コロはころころ丸めたもの、という意味です。
少しだけ余ったカンコロモチの生地は、中にあんこをいれてカンコロまんじゅうを作ります。 生地を広げて中にアンを詰めて、丸めます。
カンコロモチと同じように焼いて食べます。 少しアンコが変な形になっているけどこれはご愛嬌。 小学3年生のお孫さんが作りました。
06/12/24