しいたけのぬか漬け

ぬか漬け

行きつけの鮨屋があります。 ネタが新鮮なのはもちろんのこと、一品料理に珍しいものが多くてお気に入りです。

なかでも、おかみさんが作る「自家製ぬか漬け」が好きです。

そもそも日頃ぬか漬け自体をあまり食べることがないのでものめずらしくもあり、おいしくもあり、おもわず作り方を伝授していただきました。

毎日かき混ぜなきゃイカンし、なんだか作り方もヨクワカランしとお思いの方も多いでしょうけど、美味しくもあり健康にもよく、なおかつ意外とカンタンに作れます! 先人の知恵が凝縮されたぬか漬けを作りこんで、晩酌に、ごはんのお供に活用しましょう。

※上の画像は最近お気に入りのシイタケのぬか漬けです。


ヌカ

ヌカ床作り

我が家は毎朝精米機にかけてからごはんを炊くので、ヌカだけは山ほどあります。 これも今回ぬか漬けを作ろうと思い立った理由のひとつです。 普通にスーパーにも売っていますよ。 今回1kg程度用意しています。


乾燥大豆

乾燥大豆

乾燥大豆を入れることにより、たんぱく質を補うのです。 なければないでかまいません。


湯

鍋に湯1リットルを沸かし、100gを投入します。


大豆、ヌカ投入

ヌカ、大豆投入

そして乾燥大豆を少し入れて、ヌカを徐々に溶かし込んでいきます。 ヘラでかき混ぜながらなじませていくとよいでしょう。


ぬかを耳たぶの固さに 固さ調整

耳たぶより固め程度の柔らかさになるように調節します。 固い場合は水を足して混ぜましょう。 火加減弱火でお願いします。


ヌカに唐辛子を

固さが決まったら、火を止めて、粗熱を取ります。 そして赤唐辛子を腐敗防止のために入れておきましょう。 山椒の実を入れてもよいそうです。


捨て漬けキャベツ

捨て漬け

さて、ぬか床を完成させるには捨て漬けが必要になります。 残り野菜(今回はキャベツ)に塩を少々まぶします。


容器にキャベツ

容器の底にヌカを敷き、捨て漬けキャベツを入れて、出し昆布をチョット入れます。


ぬか床完成

ぬか床完成へ

そして上から残りのぬかを入れて、きれいにならして捨て漬けの準備完了です。 10日ほど常温にて、日のあたらない場所に安置し、毎日底からかき混ぜて空気を送り込みます。 非常に大事な作業ですので必ず行ってください。

10日間して、捨て付けの野菜を取り除くとぬか床の完成です。

本漬け開始

本漬け

さあ、色んな野菜を漬けてみましょう。

基本は野菜をぬか床容器に入る大きさに切り分けて、振り塩をしてからぬかに埋没させます。  たったこれだけ。 ヌカ床は冷蔵庫に保管してもよいです。 漬け時間は環境によるので体で覚えましょう。


ニンジンのぬか漬け

ニンジンのぬか漬けです。 一日だけ漬け、「浅漬け」といった感じです。


キュウリ キュウリのヌカ漬け

きゅうりもこんな感じに切って塩を振ってヌカ床に入れます。


キュウリのヌカ漬け キュウリのヌカ漬け完成。

ヌカ床を冷蔵庫で保管する場合は、毎日かき混ぜなくてもよいのでカンタンです。 2〜3日ごとでも結構です。 とにかく常温の場合は毎日かき混ぜること!

どうしてぬか床はかき混ぜなきゃならないの?

ぬか床で育まれる微生物はおもに乳酸菌で、酵母等と協力して美味しさを生んでいます。 これらの微生物は空気があってもなくても生存できる「半嫌気性菌」です。 ということは混ぜなくても良さそうですよね。

でも、混ぜないでおくと、酪酸菌が繁殖しはじめます。 このバクテリアは、炭水化物を分解して酪酸という異臭を放つ物質を作ります。 酪酸菌は超嫌気性の菌で、酸素に触れると数分で逝きます。 つまりぬか床を混ぜる事は、酪酸菌の繁殖を防ぐという事なのです。


パプリカのぬか漬け

パプリカのヌカ漬けお気に入りのひとつです。 ウマイし仕上がりもキレイです。

作ったばかりのヌカ床はまだ若いのです。 色んな野菜を漬け込んでいくうちに、ヌカ床は成長していくわけであります。  立派なぬか床に育てあげて、近所に子孫をおすそ分けしてあげたりします。


ぬか床の上手な手入れ法

  • 野菜を出し入れする際かならず上下よく混ぜる事。
  • 野菜から出た水分で床がゆるくなったらザルを押し当てて上がってきた水を捨て、新しいヌカと塩を足してちょうど良い固さに戻す事。
  • 時々ビールなど酒の飲み残し、酒かすや昆布等を入れて風味良くする事。

であります! マイぬか床と、長いお付き合いをしていきましょう。


暮らしとぬか漬け

今回のレシピを作るにあたり鮨屋の女将さんの技を大いに参考にさせていただきました。 ありがとうございます!


ぬか床を眠らせる

白菜が八百屋の店先に並ぶ頃になると、ぬか床は手入れをして春先まで眠らせるのが古き良き昭和の生活でした。 床の野菜を全て出し、表面に塩を厚く振り封をします。 再度使う際は、上の部分を取り除いてよく混ぜ復活させます。


古漬けのぬか漬けは

水に浸して塩抜きをし、かつおぶしを散らして食べます。 このおこうこ、を「かくや」と呼びます。 ぬか味噌が少なくなったらぬかと、唐辛子を足して混ぜます。


レシピのまとめ

  • ナスを漬ける際にはヌカ床に鉄を忍ばせましょう。 発色が良くなります。 これはナスの色素、ナスニンが鉄イオンと結びついて鮮やかに発色するからです。
  • かき混ぜるのを忘れて、なんだかヌカ床が悪くなったら、その部分だけごっそり捨ててしまおう。 そして捨て漬けまで行ったヌカを補充すればよいのです。
  • ヌカは「いりぬか」でもよいよ。
  • ヌカに和からしなんかをまぜてもよいよ。
  • ぬかづけの旨味は酵母と乳酸の発酵によって生まれる。
  • 漬ける野菜は新鮮なものを。
  • ヌカ床に話しかけながら漬け込むとおいしくなるという話もある。
  • ぬかと乾燥大豆を塩を入れた湯に溶かし、耳たぶ程度の固さにする。 赤唐辛子、昆布を入れ、捨て漬けを10日行う。 捨て漬けの野菜を取り出し、本漬けに移る。 漬け込む時間は、好み、環境にもよるので、ベストの漬け込みを体で覚えよう!

更新日:23/04/23

公開日:05/11/20


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