油辞典
油辞典

油辞典

「使いすぎはよくない」だとか「とりすぎに注意」とかマイナス面ばかり強調されがちな油ですが、 体にとっては貴重なエネルギーとビタミンの供給源です。

油

油の分類

油には液体状のものと固体状のものがある。

液体油

  • 「乾性油」

    あまに油・桐油・麻の実油・サフラー油・かや油・くるみ油・けし油・ひまわり油等々。
  • 「半乾性油」

    綿実油・なたね油・大豆油・からし油・カポック油・米ぬか油・ごま油・とうもろこし油等々。
  • 「不乾性油」

    落花生油・オリーブ油・椿油・茶油・ひまし油等々。

ヘット

固体油

  • やし油・パーム油・パーム核油・ババスウ油・カカオ脂・シア脂・ボルネオ脂・モーラ脂・木ロウ・ラード・ヘット・バター・マーガリン等々。

※ヘット(牛脂)は溶け出す温度が40〜46℃と人間の体温よりも高く、口の中に入れても溶けないので、冷たい料理には向かない。  ラード(豚脂)は溶け出す温度が27℃〜40℃と低いため、冷たい料理やハム、ソーセージ、ベーコンなど加熱せずそのまま口にするものに利用できる。


液体、固体は脂肪酸の種類による。 飽和脂肪酸が多いものは個体、不飽和脂肪酸が多いものは液体。

不飽和脂肪酸のうち、リノール酸やリノレン酸の多い油は、血管についたコレステロースを除去する働きがみられる。


バター

バター

料理に使う際は無塩のものが便利。 たっぷり使っても塩辛くならない。 保存の際、バターは匂いを吸収しやすいので、空気に触れないよう密閉する事。

バターを溶かして上澄みだけを料理に用いる事もあるが、それはバターが純粋に牛乳の脂肪だけで作られているのではなく、水分と塩が含まれているから。 溶かすと油は上にたまり、その下に不純物がたまるので純粋なバターを使うには上澄みだけを用いる。


油の特徴

  • 大豆油:世界で最も生産量が多い。 油切れがよく特有の旨味がある。
  • なたね油:アブラナの種子からとる。 淡白な風味で熱に強い。
  • ベニバナ油:油臭くなくビタミンEが豊富。 熱に弱いのでマリネ、ドレッシングなどに。
  • ひまわり油:ひまわりの種から作る。 淡白な風味で生食用。
  • 綿実油:まろやかな風味で油の王様といわれる。
  • 米油:米ヌカから作る。 耐熱性、保存性に優れる。
  • コーン油:熱を加えると香ばしい風味。
  • グレープシード油:ブドウの種から作る。 生食用でリノール酸を多く含む。
  • オリーブ油:特有の風味、旨味。 血液中の悪玉コレステロールを減らし、善玉をふやすらしい。 バルサミコ酢をたらしたオリーブ油をパンにつけて食べると美味。
  • ゴマ油:香ばしい風味。 天然の酸化しにくい成分を含む。

油の取り扱いについて

揚げ物に使用した油はすぐにこして、揚げカスを取り除き、冷暗所で保管する。 なるべく空気にふれないように保管する。

どんな油でも酸化すると人体に有害なものになる。

健康におよぼす影響

脂肪の多い食品をとりすぎると、脂肪にふくまれるコレステロールの血中濃度が高くなり、血管内にコレステロールが沈着するようになる。

これが悪化すると、動脈の弾力性が失われる動脈硬化の症状がひきおこされる。  コレステロールが血管内に沈着する過程はよく解明されていないが、コレステロールは飽和性の脂肪を体内にとりいれると増加し、 不飽和性の脂肪をとりいれることで減少することが知られている。


油の表記

油の表記

醤油などの容器には、内容量がミリリットル単位で書かれてあるのに、食用油だけグラム単位なのはどうしてなのか?

答えは、油は水より温度による体積の変化が大きいから。

たとえば、油の容器に「内容量500ミリリットル」と書かれてあっても、買って帰り、涼しい場所に置いておくと、それより減ってしまうことがある。 そこで油は、体積ではなく、重さで表示するようになった。

江戸時代、ズルい油商人がいて、油を入れた大カメを日当たりのよい場所に置いておいた。 油は温められて、体積が増える。 それをマスではかって売り、大もうけした。 重さではなく、 体積で売って、あくどく稼いだというわけ。(以上表記について「読むクスリ31」より)


揚げ物を作る際の注意

揚げ物を作る際の注意

油の沸騰点は高く、熱すれば300℃以上にもなるが、揚げる際にあまりにも油が高温だと味がそこなわれ、油もいたむため、130〜200℃の範囲で使用する。

素材の大きさなどにより、揚げる温度、時間は異なる。 又、一度に大量の食材を油の中へ入れてしまっては、油の温度が下がってしまい、カラリと揚げることができなくなってしまう。

一度に多くの材料を入れると、水が蒸発する時、空気中に熱を持ち去るので3分以上温度が回復しない事もある。 揚げ物は長くても6分程度の揚げ時間なので、低温状態が3分も続けばその揚げ物は絶望的である。


油の変敗

油の変敗

油を酷使したり長時間置いておくと、しだいに粘りが出て色や味が悪くなる。 これを油が疲れると表現し、さらにこれが進むと変敗という状態になり使えない状態となる。


揚げ物の温度と時間の目安

紫色の煙が上がったら揚げはじめる、等言われる。

  • ポテトチップス:130〜140℃で8〜10分揚げる
  • ドーナツ:160℃で3分揚げる
  • トンカツ:180℃で3〜4分揚げる
  • 唐揚げ:180℃で2〜3分揚げる
  • 魚のフライ:180℃で2〜3分揚げる
  • てんぷら:180〜190℃で1〜2分揚げる
  • コロッケ:190〜200℃で1〜1.5分揚げる

油の温度の見分け方

  • 160℃:衣が鍋底まで沈み、ゆっくりと浮いてくる。 分厚いトンカツ等。
  • 170℃:衣が鍋の中ほどまで沈み、すっと浮く。 醤油みりんで下味をつけたもの、唐揚げ等。
  • 180℃:衣が少し沈み、すぐに浮く。 天ぷら等。
  • 200℃:衣が沈まず表面に散る。

脂肪は貴重なエネルギー源

かつて脂肪は貴重なエネルギー源でした。 ハンガリーでは賃金の一部が豚の脂肪で支払われることもありました。 成功を祈る時の言いまわしとして、「彼の豚に脂肪がつきますように」という表現が今でも使われています。


油のツボ

  • 揚げ物に使用後の油は熱いうちにこすとよい。
  • 重さは水よりも軽い。
  • 揚げ物の際、油の温度が高すぎると表面がすぐに色づくのであわててすぐに取り出してしまう。 すると水分が十分に抜けるヒマがないのでボッテリとした仕上がりになる。
  • 油は新しいほどよいといわれる。 使いすぎた油はもちろんよくないが、数回使った程度の油ならば、かえって味に深みがでると言われる。
  • 揚げ物をした油で、最後にジャガイモの皮を揚げると、油の臭みがとれる。
  • 『油断大敵、油をとらなかったら健康に修行できないという精進料理から出た言葉。』

おさらい

油を賢く有効に活用する。

05/07/19


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