毎朝出汁をひく者として、素材の勉強をせねばと手に取ったのは『昆布と日本人』という一冊でした。 老舗昆布店の四代目が記された本で、昆布の歴史や活用法等、得るものが多々ありました。
さて昆布とごま塩に何の関係があるのかというと、本の中に永平寺のくだりがありまして、 「開山以来、朝ごはんはお粥に漬物、そしてごま塩と決まっている」と記されていたのです。
しかもごま塩は毎日作るそうで、それがまた薄塩だとあったものでかなり気になりまして、恐縮ながら永平寺へ問い合わせてみたところ、快く教えていただきました。
そもそもどうして毎朝ごま塩を作るのかというと、置けば湿気で風味が飛んでしまうから、との事でした。
ごまを320グラム、塩を19グラム用意します。 ごまの白黒どちらでもよく、永平寺ではその日のお粥の種類により使い分けているそうです。
※永平寺の主食は粥で、毎朝このごま塩と香の物が添えられます。
雪平鍋にごまを入れて火にかけます。
その時の温度はというと、夏の砂浜に近いとの事。 時折手を当てながら、こんくらいかなあと丁寧に煎りました。
煎ったごまは紙に広げます。
ウチで一番大きなすり鉢を用意して、そこへ小皿一杯分の煎りごまを加えます。
そしてすりこ木ですりはじめますが、この際重要なのは、ガリガリやらずにすりこ木の重みにまかせて、力を加えずする事です。 ごまを潰さず、油を出さないためです。
じっくり丁寧に少しずつごまをすり、すっては紙に広げ、またすっては広げと繰り返します。
続いて塩を煎ります。 煎るにつれ、塩はサラサラになるでしょう。
煎った塩を、すり鉢ですります。
あとはごまと塩を合わせ、
まんべんなく混ぜると永平寺風ごま塩のできあがりです。 塩分控えめ仕立てになりますが、実際ごまと塩を教えていただいた分量用意したところで「塩少なっ」と思いました。
そして完成した、まだなま温かいごま塩を味見してみたら、やっぱり薄塩に感じました。 でも、しばらく置いてからご飯にかけて食べてみると、絶妙な加減のごま塩に仕上がっておりました。 おけば馴染むんですかね、素晴らしい技と心です。
この度はご丁寧に教えてくださりまして、誠にありがとうございました。
14/01/05