刺身を食べるならワサビは欠かせないものです。 ワサビといっても市販のチューブ入りと本わさびでは風味に雲泥の差があります。
本わさびを鮫皮おろしですりこむと、ねっとり風味よく仕上がります。
鮫皮おろしはワサビをおろすのにうってつけのおろし具です。 それでは早速ワサビをおろしてみます。
まずはわさび本体をよく水洗いします。 タワシなんかを使うとデコボコの表面をきれいに洗うことができます。
次に、わさびの茎を、鉛筆けずりの要領で削り取ります。 茎をばっさりと切り取ってしまってはムダになります。
※表面のイボイボを削ぎおとしておいたり、ワサビの皮をむいてからする、という方法もあります。 でもワサビの命である香り、色は皮周辺にあるそうです。
削り取った茎のほうを鮫皮おろしにあてて、円を描くようにすりこみます。
どうして茎のほうからおろすのかというと、そこが一番風味がいいからです。 一番いいところから使ってしまおう、というわけです。
円運動により空気とわさびが混じり合い、香りが際立ちます。
※茎からおろす別の理由として、わさびが減ってきたときにすりやすいため、という話もあります。
わさびはきめ細かくおろすほど、細胞が分断されて風味、辛味が増します。 だからこそ、きめ細かくおろすことのできる鮫皮おろしが、わさびにはうってつけなのです。
鮫皮おろしでおろしたあと、さらに包丁で細かく叩いておくとよりいっそうきめ細かくなります。
包丁で叩いたすりわさびをお猪口にでもなでつけまして・・・
5分ぐらいふせておけば、辛味がおちついてまろやかになります。
余談ではありますが、わさびをおろさずに皮をむいてせん切りにし、鰹節をふりかけてから醤油でつまむといい酒の肴になります。
ワサビの辛味の主体は硫化アリルという硫黄を含む化合物です。
これはそのままの形でワサビに含まれているのではなく配糖体という姿で存在します。
配糖体自体には辛味はなく、同じくワサビに含まれるミロシナーゼという酵素の力で分解された時に辛味が生じるようになっています。
ワサビをおろすと組織が壊れミロシナーゼが配糖体に作用するようになり、配糖体が分解されるにつれて辛味が強まります。
おろした直後は分解が進んでいない為辛味をうまく発揮できないのでしばらく置いておくのです。
わさびの細胞に含まれる成分はそのままでは辛味を発揮しません。 細胞を破り、空気の酵素に触れるとアリルゼンフォイルという辛味、香味を放つ物質となります。 ※本ページコメント欄にて「ワサビ農家 」さんが貴重なお話をされていますのでご一読を。
山葵の辛味成分は揮発性なので、わさびを醤油に溶いてしまうと辛味や香りが飛んでしまいます。 刺身の上にワサビを乗せて、わさびに醤油がつかないように食べるのがベストなのです。
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09/04/02