年末にブログで餅をついた話を書きました。 その際つきたての餅を醤油で食べたのですがこれがなんともまあ美味しいこと。
正月に雑煮を作る際でも普段は市販の角モチを使ってますが、オイは自らたったひとりでモチをついてみようではないかと思い立ちました。 そのような暴挙にオイを駆り立てたのは、ここ最近読んだ 3冊の本だったのです。
偶然にもそれらの本には「餅を自分でつく」ということが書かれてあり、これは偶然ではなく必然だったんだ、誰かがオイに餅をつけと言ってるんだ!と勝手に解釈したオイは、急いで米屋にモチゴメを 買いに走ったのでした。
モチをつくには当然のこと、もち米が必要です。 今回お米屋さんにあった1kg入の袋をひとつ買ってきました。
※もちごめが多すぎるとひとりでつくのは大変だし、少なすぎるとついているうちに冷めてしまいますのでご注意を。
モチをつこうと思い立ったからといって、即その日にもちつきを開始することはできません。
まずは購入してきたモチゴメを研いで、たっぷりの水に一晩浸しておくことが必要になります。
一晩水につけておいたモチゴメをザルにあけて、よく水を切るのですが、蒸し始める1時間ほど前にザルにあけておいてください。
その後蒸し器に入れて蒸すのですが、蒸し器の底にスノコを敷いて、その上に蒸しフキンを広げ、そのフキンの中に水気を切ったモチゴメを入れます。
火力は終始強火で、45分〜1時間程度蒸します(ちなみに野外の場合はこんな感じで蒸します→かんころもち)。
蒸しあがったもち米は、もちつきに耐えうる器にあけます。 「え?もちってウスでつくんじゃないの?」そうなんです。 本来は数名がウスの周りに寄り添い、数人で協力しながら ンニャコラペッタンとつくものなのですが、その作業をすべてひとりで行おうという話なのです今回は。
今回すり鉢とすりこぎを使用してひとり餅つきをはじめます。 すり鉢を選んだ理由は無数に刻まれたミゾがもちをまとめあげるのに役立ちそうであり、これまでの乱暴な扱いにも耐え抜いてきた 猛者だからです。 すり鉢に臼の代わりをさせるとなると、杵(キネ)の代わりはすりこ木しかありません。
もちごめをいきなりすりこ木でトントンつきはじめるのではなく、まずは本式にのっとって、すりこ木で蒸したもちごめをこねていきます。 腕先だけでやるとすぐに疲れてしまいますので、体重をかけながら、 根気強くこねてください。 すりこ木をねじるように動かします。
※餅つきは「こね5割、つき5割」といわれております。
モチゴメがほどよくまとまったところで早速つきはじめます。 ダラダラやっているとせっかくの餅が冷めてしまうそうなので、手早くつきあげなければなりません。 さあすりこ木を手に、ペッタンペッタンと もちつきをしようではありませんか! ちょっとさみしいけれど楽しいような気もします。
すりこ木をふり下ろしながら調子よくついていたんです。 意外と早く餅らしくなってきたことに喜びさえ感じていたところでした。 「オイー、かもめ食堂のDVDどこ?」と嫁が話しかけてきました。
オイは餅をつきつつ嫁のほうをみて「あーほらそこんとこにさガシャン……」すり鉢は大破しました。
オイの大事なすり鉢はあっけなく割れてしまったのです。 これから先どうやってゴマをすればよいのでしょうか。 どうやって山芋をすれというのですか…。 苦楽を共にしたすり鉢は逝ってしまいました。
原因はよそ見したことによるすりこ木とすり鉢の直接衝突でした。 餅が一方に片寄ってしまったのです。 うーん残念な結果に終わってしまいました。 これにてひとり餅つき終了。 結論:家で餅はつけません。 外で杵と臼を用いて大勢でやるか、もしくは餅っ子を使ってくださいおわり。
というわけにはいきません。 ここで終わってしまってはすり鉢はどうなるのですか。 きっと無念に違いありません。 餅になりかけていたモチゴメには無数のすり鉢の破片が飛散しており食すのは危険です。 新しくモチゴメを買いに走りました。
気を取り直してあくる日、またモチゴメを蒸してさあ、今日は何を使ってもちつきをしようか…うーん、トレイでよいのでは?
今回はスチール製のトレイに蒸したモチゴメをあけ、つくことにしました。 これなら割れる心配もありませんし。
昨日のようによくこねて、やはりすりこ木でつきはじめます。 トレイが以外にもつきやすくて気に入りました。 ものの5分もペッタンペッタンやっているうちにだんだんと餅らしくなってきたのをキッカケに 興奮してゆき、すりこ木一本ではラチあかねえ、もう一本! と両手にすりこ木を持ち、ドカドカドカドカとつきはじめました。 ペッタンが今までの倍ということになりますからこれがまた爽快で、 まるで演奏中の鼓童のように一心不乱に吼えながらすりこ木をふり下ろしました。 秘めていた野生の本能に火がついたようです。
ただただ餅をつくだけでは餅が広がってつきにくくなり、つきムラがでてしまうので、時折手にぬるま湯をつけてもちを返してやらねばなりません。 この役目をする相方のことを白取り(相取り、手取り ともいう)といいます。 オイの場合、ひとりでついているので自分で頃合を見ながら手取りを行います。
モチゴメの粒が完全になくなったらつきあがりになります。 今回はおよそ10分程度でつきあがりとなりましたが、あまりダラダラつきすぎるとコシがなくなってしまうそうなのでご注意ください。
※以上の要領でもちをつくことができますが、結構体力が必要です。 筋トレのつもりで行うとよいでしょう。 今回使用したスチール製のトレイは、ベコベコになりました…。 餅つきは相当な衝撃が加わるということが判明しましたので、ウス、キネの代わりに使用する道具は大事にしているものを使用しないようにしてください。
つき上がったもちはすぐまさお湯で濡らした(もしくは打ち粉をふるう)パットにとり、人差し指と親指をワッカにしてもちをつまみとり、丸めます。 できたてのもちをちぎって色んな食べ方をすると、 今までの苦労が忘れられますよ。 多少粒が残っていようが、きれいに丸められなくても、ウマイものはウマイです。 ページトップの写真のように、焼けば外パリ中モッチリで幸せであります。
※西日本ではもちが丸く、東日本では四角いそうです。 1kgのモチゴメでおよそ40個の丸い餅ができました。
完成した餅が多すぎる場合は、密閉してから冷凍保存しておくと便利です。 切って、凍ったままでもきれいに焼くことができます。
ようやく完成した餅をどのように食べるか。 まさに多種多様な食べ方があります。 まずは砂糖醤油で焼いた餅をパクリ。 そうそう、こんな味。
焼いた餅に醤油を含ませて海苔ではさんでガブリ。 間にチーズやバターを挟みこんでも美味です。
出来立てのもちをに納豆をかけて食べるとすごく合います。
餅自体の味がよくわかります。
娘が好きな食べ方です。 きなこと砂糖をまぜておいて、それをつきたての餅にまぶして食べます。
美味しんぼにのってた食べ方で、赤味噌にネギ、カツオブシを混ぜ込み酒、醤油で味つけしたものです。 餅が酒の肴になりました。
モチをカラリと揚げて、塩をふりかけたり、もみじおろしで食べます。 お正月すぎの固くなった鏡餅でも揚げると美味しく食べれます。
冷凍しておいた餅を柱に切って、豚バラの薄切りをぴっちり巻きつけて、十分熱したフライパンに油を引かず、弱火で転がし焼きます。 塩、胡椒を振って食べたり、ポン酢も合います。
とまあひとりでモチをついて食べてみるのもよいかと思われます。 美味しい食べ方を見つけ次第、追記していきます。 皆様も是非、餅つきを楽しんでみてはいかがでしょうか (すり鉢は割れる恐れがありますあと大勢でやるほうが楽しいし楽です)。 ちなみにひとりでモチをつくキッカケとなった本は、 津村喬氏の「ひとり暮らし 料理の技術」、 うえやまとち氏「クッキングパパ」、NHK「食彩浪漫」でした。 いずれも家庭でモチをついておられました。
水もちといって、モチを水に漬けて空気を遮断し、カビを防ぐ方法がありますが、水っぽくなってしまうのが難点です。
一番簡単なのは冷凍保存です。 自然解凍するともとの状態に戻ります。 モチの量が多い場合は、練りがらしと共に保存するとよいです。 練りがらしの香気成分には殺菌作用があるので、 長い間カビをはやさずに保存できます。
ちなみに昔はモチのカビは毒ではないといって削って食べていたそうです。
餅を切る際大根を切りながら行うと、刃の入りがスムーズです。 大根の水気で摩擦を減らせるのも事実ですが、大根には澱粉を分解して麦芽糖に変える酵素、アミラーゼが含まれているという事を考えても理にかなった方法です。
大根おろしはご飯や餅の消化を助ける作用からして、なかなか良い先人の知恵かと納得です。
08/01/21