鮭の皮のおいしさを初めて知ったのは、
子供の頃に親父の食べかけていた幕の内弁当に入っていた塩鮭を、 親父が席を外した隙に盗み食いした時でした。
桃の皮のおいしさを初めて知ったのは、
仲良くなった山梨出身の女子大生が「皮ごとかぶりついてください」という手書きのメモと共に送ってくれた、たわわな桃でした。
鯖の皮のおいしさを初めて知ったのは、
結婚する前に付き合っていた彼女が作り置きしてくれていた茹で鯖を、深夜帰宅して温めもせずにラップを破って手づかみで食べた時でした。
さて「しめさばの皮」って何の事でしょう?
しめさばを作る際はご存知のように、薄皮をむいてから切りますね。 今話しているのはあの皮の事ではないんですよ。
しめさばをあとは切るだけの所まで整えたら皮を三、身を七の割合で厚みをそぎます。
その、皮のほうだけを使って刺身にするんです。
薄くなった皮さばを、今度は3ミリ幅に糸作りして器に盛り、上から醤油でなくポン酢をたらします。
そしてかたわらにはワサビ、ではなくおろし生姜をそえて、いただきます。
もちろん七の、身の方は別の方法で食べます。
ほぐして細巻の芯にして、シメにつまんで喜ぶのです。 肉も魚も、骨や皮に近い部分の肉がいちばん美味しくなるよう神様は創りました。
その美味しいところ取りをしたのが今回ご案内した「しめさばの皮」だったという事です。
19/02/20