おでんがとっても恋しい季節になりましたね。
さて、おでんの中でたまに見かけるロールキャベツでありますが、いつものように肉々しく作ってしまっては、タネのみんなと仲良くなれません。
普段は自分が主役ですからスープの中にデンと沈んでいればよいローキャベも、 おでんの中では「種のひとつ」として皆と調和しなければなりません。
そこでやや控えめなロールキャベツを仕込む必要が生まれます。
まずキャベツです。 外側の大葉ではなく、巻いている葉の中ほどあたりの小ぶりで綺麗な葉を選んで塩湯に通します。
肉を巻けそうもない小さな葉や、破れている葉は別途分けて湯通しにします。
塩、胡椒をしてよくこねるにとどめます。 刻みタマネギ等用いると甘味がついてしまいますから刻んだ小ネギを少々練りこむ程度にしておきます。
おでんらしく居座ってもらう為に、巻き終わりはカンピョウで止めたいです。 あらかじめ水で戻しておきましょう。
キャベツを広げてひき肉を乗せますが、この際たっぷり肉をくるむのではなくいつもの半量程度に抑えます。
「それだとでも巻いた姿が格好良くないでしょう」
ご心配なく。
肉の上へ、のけておいたくずキャベツをまとめて乗せるのです。
そしていつものようにくるめば変哲もないロールキャベツの姿となります。
あとはローキャベを鍋に並べてカツオダシを張り、薄口醤油を少々たらしたら、フタをして弱火で30分煮込むだけ。
いくつかはぜひ、半分に切って供したいものです。 断面をご覧になるとわかるように、キャベツの中身はひき肉半分、キャベツ半分の割合となっています。
これぞこのローキャベの秘密であり、口にした時軽快な歯ごたえを感じるのは中身が全肉ではなく半野菜だからこそ生み出せる食感なのです。
おでんの淡いおつゆにはあの、肉肉としたジュウシィなボリュームは不相応でありまた、その他のタネとお近づきになるにはこのコンサバティブな巻き方こそが不可欠なのです。
「おでん風味のロールキャベツ」を作るのではなくあくまでも「おでんのロールキャベツ」であるためには肉々しさではなくこの、キャベキャベしさこそ必要なのです。
更新日:23/02/19
公開日:18/11/18