友人と最後に会ったのは、この感染症の始まる直前、ちょうどランタンフェスティバルの飾りが街中できらめきだした頃でした。
なので都合3年間は顔も合わせずメールでたまにやり取りするだけでしたが、
やはり実際会うと違いますね、何がオンラインミーティングだよ、て感じです(笑)。
これといって目ぼしい落ち合い場所の候補もなかったのでその友人にお願いすると、なじみの焼肉屋を予約してくれました。
十年に一度の寒波の迫る中、地図を見ながら急いで店へ向かうと、すでに彼は中で座っておりました。
「食べ飲み放題が安い店だから、それをお願いしとこうと思ったけど、オイくんは飲む時そう食べないからね、アラカルトで行こう!」
さすがは友です。 早速乾杯をしては、久しぶりに深夜まで痛飲した次第でしたがこの焼肉店、正直肉に関しては大して特筆すべき点が見つからなかったものの、事海鮮に至っては素晴らしい品質で、
肉はそっちのけで魚介類ばかりを注文して焼いてつまんでおりました。 中でも惚れてしまったのが、今回の牡蠣のアルミホイル焼きでありまして、
これまでアチラコチラで、幾度となくそれを口にしてはきましたが、今回のものが最高でした。 「料理はシンプル生なら尚良し」を身上としている私にはピッタリの調理法で、都合三回おかわりをしては、そこの女将さんに「ホイルの舟」の作り方を詳しく教えてもらったのでした。
飲んでいると、何て事ないものに感動したりするものでして。 今回の舟もまさにそれで、まずアルミホイルをたたんで枡形の箱をこしらえるワケです。
詳しくは動画を見ていただくとして、酔っていると、こんな簡単な舟の作り方がまったく理解できずに「なんでホイルをたたんだだけなのに液漏れしないの!」と興奮しては、女将に迷惑をかけた事かと今思っています…。
よく広島のお好み焼き屋で牡蠣焼きを注文すると焼いて、この舟に乗せ差し出してくれたりしますよね。
で、ホイルで無事舟を作れたら中に牡蠣をふたつ横たえます。 どんどん積んでも火は入りますが、それだと牡蠣が入っているのか、遠目で見たパグ犬が密集している様なのか判別つきにくくなるからひとまず二個、入れる事が重要です。
そして好みの日本酒をトクトク注ぎ、レモンの切れ端を乗せたら塩をかすかに振り、あとは熱源の上に乗せるだけです。
呑みながら眺めていると、やがてホイルの上面に湯気がユラユラ立つのが分かるでしょう。 そして牡蠣は次第に丸みを帯びてプックリしてき、あたりに磯の薫りが漂いはじめるでしょう。
そしたら何となく箸でつかみ上げ、気の済むまでしげしげ眺め回した後口に入れます。
その美味しさといったら、あなたならこれ以上語らなくてもきっとご理解いただけるかと存じます。
今回生食用の牡蠣を用いていますが、その理由は「半生でつまみたいから」で、この辺はお好みでしっかり火を入れるなりなさってください。
胃にスルスル収まってゆきますから、ぜひおかわりを沢山用意した上挑んでくださいますよう、お願いしておきます。
公開日:23/02/01