正直言うと、あまり得意じゃないんですよねパイって・・・なんかお菓子みたいじゃないですか。 と、思っていたんです。
ところが歴史をひもとけば、パイって元々保存食なんですよ。
パイ皮は、必ずしも食べる為のモノではなかった、と。 パイ皮の第一の役目は中身を焼き、保存し、それを持ち運ぶのに便利なケースとして活躍する事だったのです。
中世のイギリスでパイ皮が発明された事により、調理済の料理を安心して保存、輸送できるようになりました。
イーストで膨らませた小麦粉のパイ生地でパイケースは作られて、調理済の肉や魚、野菜を詰め、上から溶かしたバターやラードを注ぎ、パイ生地のフタで密閉するという完璧な容器だったのです。 気密性が高く、しかも持ち運びしやすいパイ皮のおかげで中身はしっとりと、しかも清潔に保たれたといいます。
「まず小麦粉とバターを切るように混ぜて・・・」
なんてやってなかったハズです当時。 そこでパイは保存容器でもあった、という視点から、野趣あふれる作り方でパイ生地をこねはじめます。
ボールの中へ小麦粉、油、水、塩を入れて混ぜ合わせます。 どうしてバターを使わないのかというと、ズバリ手間だからです。 サラダ油ですサラダ油。 さらにイーストすら入れてません。 そのほうが仕上がりが堅パンっぽく歯ごたえあって好きなんです。
ものの10秒でもこねたら、
すんなり生地はまとまります。
ハイこれにてパイ生地のできあがり! 寝かせたかったらそうしますが今回すぐに使います。
ではさっそくパイを焼いてみます。 今回イギリスの定番家庭料理のミートパイをこしらえます。
生地を二等分してコロコロのばし、型をスッポリ覆うまで広げます。
こんな感じで型にかぶせて、フォークで突いて所々空気穴を作ります。
ここへひき肉とタマネギを塩、胡椒して炒めたものを敷きつめます。 もちろん、詰め物は何だって良いんですボローニャソースとか。
とにかく「食べる保存容器」ですから。
あとは残りの生地でフタをして、また穴を開けておきます。 余分な生地は取り除き、
再度まとめこねて、好きなようにデコレーションとして活用します。 あとは200度のオーブンで30分焼けば、素朴なミートパイのできあがりです!
※よく表面に卵黄を塗ったりしますけど、何しろ保存容器ですから。 余計な気遣いは必要ないのです。
サックサク!
思わず見入る造形はハム屋さん作。 氏によると、レストランのパイは幾重にも生地を折り重ねて焼くのでミルフィーユ状に。 こちらは上と同じ製法で作られています。
薄い小麦粉の層が幾重にも重なるように作られたものはフレンチ・パイクラストといい、団子状のもったりした生地、つまり今回みたいな製法をアメリカン・パイクラストといいます。
都市部はどこも、ホテルがとれないそうですね。 福岡もまったく空いてないし・・・。
17/02/18