ザ・酒の肴

ザ・酒の肴

友人が営んでいる料理屋のテイクアウトメニューの仕込を手伝っておりましたしばらくの間。

今後の店の経営を心配してのサポートでしたが、意外や思っていたより多くのお客がテイクアウトしてくださるのですね有難い事に。

ふたりで嬉し泣きしました。

手の空いてる時はカウンターに腰かけて普段の品書き等眺めていたところ、これまで彼の店で食べた事のないメニューを発見しましてね。

年頭に考案した新作だといいます。

ナッツのチーズあえ

と聞けばありふれた品のように聞こえますが、そこはさすがの若い頃、嵐山の某ッチョーで修業しただけあってささやかなオリジナリティを織り交ぜている作り方でした。

営業が終り、一緒に呑んでる時に食べさせて、とお願いするとサッと作ってくれましてね。

なるほど、隠し味にキャラメルが入っているのを見破りました。

ところが!

いかんせん彼は酒をそう嗜まない男でして。

真の酒呑みのキモチがよく分かっとらんとです。 もうね、いっちょん美味しゅーなか!

圧倒的にパンチが足りない……彼の人柄に溢れる優しすぎる味…そこで急遽手を入れてみればそう、呑兵衛が欲しいのはこういう味なのです。


キャラメル・ナッツの作り方

クリームチーズとキャラメルを苦心しながら時間をかけて練り合わせてありましたがそれだと綺麗なジャイアンみたいに違和感あふれる味でした。

もっと尖った要素が欲しいのです。

そこでキャラメルを小鍋に入れたらブランデーをたらして火にかけよく溶かし、そこへクリームチーズを入れて練り合わせる、というようにやりました。

そしてナッツをからめるだけですが、あともうひとパンチの必要性を感じまして。

そして黒胡椒をガッツリ、ガッツリ振って提供する、という手法が誕生したのです。

あんなにボンヤリしていた味がクッと締まり、ハイカラというよりはむしろモダーンな風味にまとまったのでした。

ようやく彼の店も通常営業に戻ったそうで、このナッツの出足を聞いてみれば「まあまあ」とかなんとかナマイキな事を言っておりました。

※先日SNSにこちらをポストしておいたところ、お酒をまったく飲まない方にも喜ばれているという事が分かりました。 黒胡椒のかわりに塩を振るようにして、お茶受けに楽しんでるそうです。


さて。

中部地方でワインの輸入業を営んでいる友人から久しぶりに連絡がありました。

必要以上にマッチョで黒くて髪テカテカで原色のネクタイ締めて名刺は厚さ3ミリの鋼鉄製で世界各地を飛び回ってはワインの輸入業と言ってるクセにカカオとか仕入れてきて日本のパティスリーに卸して回ったりしている鼻持ちならない人物ですが、私は彼のガッツにみなぎる所が好きです。

そんな人でも落ち込んで引き籠ってしまうほど、今回の事態は深刻です言うまでもありませんが。

あれこれ励ますよりも、そっとしておくのがいちばんだと思いまして。

近いウチにまた呑もうとだけ言っておきました。

そういえば以前、彼がカンボジアからの土産にくれた、生胡椒の塩漬けのビンがまだ棚に…ありました。

生の胡椒なんてなかなか見る機会がないので珍しがってつまんでいたら、みるみる食べ尽くしそうになりモッタイナイから奥に隠していたんです。

噛めばホロッとした食感でほのかな塩気があり、キチンとホットな薫りです。

夜中起きてひとりでグラッパを呑みながら黙々つまんでおった所、もしかするとコレって市販の黒胡椒を使ってもできるのでは?

と考え即試したらやっぱり再現できました。

世にも珍しい黒胡椒の塩辛です。 ぜひ試してみてください、そのまま食べても、肉やチーズにトッピングしてもまことに使い勝手の良い珍味ですから。

再現度100です。 作ってすぐよりも、何日か置いたほうが胡椒の食感が良くなるでしょう。

黒胡椒の塩辛の作り方


そうしましたらまず水に塩を溶かします。 分量で約6%の塩分濃度です。 その半分でも試しましたがピンときませんでしたからこれは絶妙の塩加減です。

で塩水にホールの黒胡椒をパラパラ入れて弱火にかけ、30分煮つめてそのまま冷まし、黒く染まった汁ごと胡椒を容器に入れて冷蔵庫で保存します。

つまみたくなったら楊枝を胡椒に刺してパクッ。 スプーンで胡椒だけを救ってステーキにパラッ。 もうベンリすぎやろこれ。

塩・胡椒をいっぺんにできる技を我らは手にしたのです。


レシピのツボ

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20/05/17



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