愉快な関西人のおじさんと、弾丸台湾旅行へ行ってきました。
止めてというのにホテルの部屋で焼肉を始めて火災報知機を鳴らしたり、立ち飲み屋で地元の人にちょっかいを出して乱闘になったりとたまったモンじゃありませんでしたが得るものはありました、台湾料理は日本人と親和性高いですね。
なかでも恐れ入ったのが、変哲もない古びた食堂で出された料理の数々で、日本でもよく目にする品々にも関わらず、どこか手の入れようが違っており新鮮で、なるほどその手があったかと大変勉強になった次第です。
ページトップの画像は豚足です。 こないだ書いた記事とよく似た「ほぐしタイプ」であり、こちらはホンノリおでん風味がついておりました。 好みで唐辛子系の薬味を振るようなっておりますが、出汁のささやかな旨味はまさに日本のおでんであり、つい辛子が欲しくなりました。
見た目はごく普通の手羽先の唐揚げが、どうしてこんなに旨いのだろうと頭を抱えましてね。
日本にもよくあるしっかり味がついたタイプなのですが、どこかしら異なるのです。
ビールをグビグビ飲みながら手羽をガジガジかじっては、何が違うのかを考えます。
厨房には老夫婦がいるだけで、客から注文が入るまではまるで彫像のようピクとも動かずパイプ椅子に腰かけています。
いざ注文が来れば、主人はのそりと立ち上がり無表情のまま手際よく調理をし、それを女将さんが無言のまま客に差し出す、というスタイルです。
三皿目の手羽を注文した時、ある事に気づきました。
私は店に行くといつも、厨房の仕事がいちばんよく見える席に着くようにしてまして、それが功を奏しましたね。
店主は手羽の注文が入ると足元の冷蔵庫から大きなバットを取り出して、その中に入っている手羽の山を注文分取り分けて揚げはじめます。
バットの中を見るとこの店の手羽は、小麦粉をはたいて揚げるだけのシンプルなものでなく、しっかり下味をつけるタイプです(味からしてもそうですが)。
一般的に唐揚げは、事前に衣である片栗粉(もしくは小麦粉はてさてコーンスターチ)を下味と一緒に揉みこんでおくものと、揚げる間際に片栗粉をまぶすものがありますが、この店では事前にもみ込むタイプでした。
と、思っていたら違ったんです。
なんとこの主人は、事前も事後も、片栗粉をまぶしているのでした。
「片栗粉ぐらいで何をそんなに……」と云うなかれ。
この「粉ダブル」こそ手羽先の美味しさを生み出すヒケツだったのです。
下味の際に片栗粉を揉みこんでおき、揚げる間際に再度まぶす事により厚みのある衣が生まれ、かつ極めてクリスピーに仕上がるからこそ手羽の美味しさを増長させているのです、しかも冷めてもカラリとしたままだという。
衣付けは事前か事後の一度だけ、という杓子定規な考えでは決して生み出せない技に、深く敬意と感動を覚えた次第です。
手羽には骨に沿って一刺し包丁を入れておくと火が通りやすいですね。
手羽をボールに入れ、おろしニンニクとショウガ、砂糖と塩、胡椒。 そして醤油に卵を割り入れよくもみます。
そしてまず第一の片栗粉を入れてまたもんで、3分置いて味をなじませます。
揚げる間際になったら手羽を取り出し別途片栗粉をくまなくまぶしつけ、180度の油で3、4分揚げます。
つまり台湾の店主は第一の片栗粉の段階まで調理を済ませて冷蔵庫で保管しておき、オーダーが入ったら随時手羽を取り出しては第二の片栗粉をはたいては揚げる、という手法をとっているのです。
この何て事のないひと手間が、最高の手羽揚げを生み出す妙技だったのです。
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19/09/04