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唐揚げの真実
唐揚げの真実

唐揚げの真実

スモールビジネスを創めたらいつの間にやらプチ成功し、地元ではちょっと知られた企業となって名刺にCEOとか記している人物はあなたの周囲にもいませんか?

私の近辺にはチラホラそのような人物がおり、そのまま地道に成長を続けている会社もあれば、次第に先細りになっていった所もあります。

その後者の方でたまに見受けられるのが、何やら悟りを開いてしまうケースです。こういう時はかならず向こうから連絡がありまして、不思議な事を熱く語り出します。

やれ「宇宙人とコンタクトした」とか「何とかという神から啓示を受けた」だの「この水を飲めば難病が治る」といった話ですね。

これを聞かせられる度「そっちに行ってしまったか……」と残念な気持ちになり距離を置くようになるのですが、つい先頃わたし、真理に気が付いてしまったのです。

大丈夫ですそっち系の話ではありませんのでちゃんと帰ってきてくださいキチンとご説明いたします。

私が得たのは、唐揚げの、真理です。

東京でスイーツショップを営む友人から、今地方に出張に来てるんだと連絡がありました。 いつもならば彼は夜な夜な街を徘徊してはご当地グルメに舌鼓を打つのを楽しみとしておりますが、何でも取引先から夜間外出禁止令が出ているそうで、コンビニ弁当を買ってホテルに帰っては、ポツンと食事をしているそうです。

今じゃ仕方ないですよね。

ただ一言彼に申し上げたのは「食に携わる者として、そればかりじゃつまらんやろが」という意見です。 スーパーもあるハズですしデパチカの生鮮売り場でも良いじゃないですか、食材を買い求めては、包丁も火も必要のない料理をホテルの部屋で楽しむ事だってできるハズです。 現に私たまにそういう事してますし。

と言えば返ってきたのが「だってコンビニの弁当美味しいじゃん」というという感想で、しかも今食べているのは唐揚げ弁当だと主張するのです。

たしかに美味しいんですよねコンビニの唐揚げは。

私もよく飲んだ後コンビニに寄ってはいつのまにか唐揚げを一袋買っており、帰ってかじりついてはウマーしたりしています。 そこでコンビニの唐揚げ研究をしてみよう、この夏のテーマは唐揚げだ!

と何社かの唐揚げを買ってかじりついては分析を開始したのですが…改めて食べるとどれも根本はソックリな味なんですよね。 再現もなにもいざ再現するのは簡単ですが、何か一気に醒めてしまいました。

そこで逆を行くという発想が下りてきたのでした。 唐揚げにとって、本当に必要な物は何なのだろう? そしてその素材だけを用いて唐揚げを作ってみたらどうだろう。

そして誕生したのが本作です。

これまでにも各種唐揚げを公開してまいりましたが、今回のが一番、というか国中探してもこれ以上シンプルな作り方は無いハズです。

でも。

圧倒的に美味しい唐揚げですこれは。 試してみてそうでなかったら一体どこが不満足なのかを説明してください私に。 こう断言できる程、満足ゆく仕上がりです。

普通唐揚げというとまず肉問題がありますね。 モモが一番だの骨付きこそ正義とかムネ肉はちょっとねえ…といった感じで。 ズバリ今回の唐揚げに関しては、胸肉が一番しっくりくる調理法です。 胸の淡泊な味から甘味を引き出してしまうのです。

そして調味料。 ニンニクとショウガをおろすとか、白胡椒と黒胡椒を混ぜるとか色々皆さん試されまずが、薄口醤油一本でまいります。 用いる食材をどんどん減らしてゆき、一体どのへんで味のバランスが崩れてしまうのかを十日間に渡って試しましたが、


最後に残ったのは生姜汁ぐらいで、あとの調味料は入れても入れなくても、事みりんに関しては揚げる際に焦げちゃったりサクサク食感を妨害したりとむしろ害のほうが大きかったくらいです。

つまり変哲もない醤油、しかも薄口こそが、味加減そして揚げ上がりの色味に関しても最上だという結論に至りました。

最後に衣となります。 薄力粉、米粉、さらにはミックス、唐揚げ専用粉とありますが、片栗粉です片栗粉。 歯でかじったときのサクシャク感はこの粉以外では生まれません。

作り方

肉は一口大に。 できれば若干いつもよりも小ぶりに切り分けた方が良いですね。 これをボールに入れて薄口醤油をたらしたら、30回手でしっかりもむんです。 これは老舗風唐揚げでもやった工程ですが、あれにはみりんが入っていますからね。

もんだらそのまま5分置きます。

今回の分量で作ると醤油の汁気を切る必要はありません、肉にほとんど吸収されてしまいます。 片栗粉をドサッと入れてまぶしつけたら、あとは180度の油で4分揚げるだけ。

私達はこれまで唐揚げに手を入れすぎていたのです。

そしてぜひ付け合せに用意していただきたいのが大根おろしで、沢山おろして醤油をひとたらしして唐揚げの脇に添えておけば、唐揚げをかじってはおろしをもぐもぐ、そして唐揚げにまぶしつけてはカブリ、と楽しく食事を摂る事ができます。

この唐揚げは大根おろしと無性に合うのです。 でもただおろした大根を添えておくだけでは何か合わず、醤油をひとたらししているからこそ、調味に醤油だけしか用いていない唐揚げの味と共鳴するんですね、あー不思議。

あっちへ行っちゃった彼らもうっかり戻ってきちゃう味ですこれは。 食べた人は絶対、調味に醤油だけしか使われていないという事実に気づきません(検証済)。

レシピのツボ

  • この唐揚げは大根おろしとすっごい相性が良いんです。

20/08/01


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