愛すべき塩たち
愛すべき塩たち

塩加減ひとつでかなり味が違ってくるものです。 世界で年間2億トン以上の塩が作られています。

塩

塩とは

塩の成分である塩素ナトリウムは多くの生物にとって必要不可欠な物質。 天然には岩塩として存在。 また、海水の主成分である。


塩の歴史

塩の歴史

塩の製法は、メソポタミアからエジプト、ギリシア、 ローマへと伝わった。 ギリシャで塩は「味がずっと変わらない」ことから、約束の証とされた。 フランス料理の「ソース(sauce)」は、 ラテン語で塩を意味するサル(sal)に由来する。


塩の種類

塩の種類

  • 精製塩:海水から電気と膜を使って塩化ナトリウムだけを取り出したもの。 塩化ナトリウムの純度が高く、それ以外の成分はほとんど除去されている。
  • 輸入塩:岩塩や天日塩。 一部海塩もある。 メキシコ、オーストラリア、中国製が多い様子。
  • 再生加工塩:メキシコやオーストラリアなどから輸入された岩塩、天日塩などを一旦海水で溶かし、塩化マグネシウムなどを加えて再生加工したもの。
  • 自然海塩:海から直接くみあげ、水分を蒸発させた塩。 成分をまったく調整しない塩で、自然海塩と書かれている。

塩の特製

塩の特性

  • 酸化防止作用:0.5%程度の塩水は、大気中の酸素による食品の酸化と変色を防ぎ、食物中のビタミンCの酸化も防ぐ。
  • 浸透圧作用:野菜や魚に塩をふって、水分をしみ出させる。
  • 酵素停止作用:リンゴを褐変させるポリフェノール酵素の働きを防止する。 青菜を茹でる時にはクロロフィルの退色を防ぐ。
  • たんぱく質溶解作用:1〜2%の塩水は、たんぱく質を溶かす作用を持ち、小麦粉をこねるときに食塩を加えると粘りが増し、魚等の練り製品では弾力を増す。
  • たんぱく質凝固作用:5%以上の塩水はたんぱく質を凝固させ、卵を加熱調理するときに使えば身じまりが良くなる。 サトイモのヌメリ成分も凝固させる。
  • 細胞軟化作用:食塩水は沸点が100℃以上と高いので、野菜類の細胞膜を柔らかく茹で上げる。
  • 防腐効果:10%以上の塩水は食品中の水分を脱水して雑菌の繁殖を抑える。 食品の加工、保存に適する。 薄い塩水の殺菌効果は少ない。
  • サラダの語源:ラテン語のsal(塩)からきた。 その昔、サラダに塩をかけて食べたところから料理としてのサラダの確立した。
  • サラリーの語源:ローマの役人や兵士たちに給料として支払われた塩(サラリウム:ラテン語で塩の支給の意)は、今日の英語で俸給を意味するサラリーの語源となっている。

塩の料理用語

塩の料理用語

  • ふり塩:魚を塩焼きにする時、あらかじめ塩を振ってしばらく置くことにより水分と臭みを抜き、魚肉を引き締める。
  • 化粧塩:魚を焼く直前に塩を振って焼いたら焦げにくく、塩も白く浮かんでキレイ。
  • ひれ塩:身の厚い魚を丸焼きにする際ヒレに厚く塩をつけて焼けばヒレが焦げずに焼き崩れない。
  • 塩じめ:新鮮な魚に塩を多めにまぶすと、脱水とともにたんぱく質を固める。 酢じめ前に行うと良い。
  • 立て塩:魚介類を3〜4%の食塩水で洗う。 真水で洗うと旨味が抜けて水っぽくなる。 切り身魚には向かない。
  • 塩干し:魚を干すとき、水分を早く蒸発させ、腐敗やカビの発生を防ぐため立て塩するか、薄く塩を振って干す。
  • 塩抜き:濃く塩漬けした魚や数の子の塩を抜くとき、1〜2%の塩水に漬ける。 呼び塩、迎え塩という。 1.0〜1.5%の塩水を使い塩出しすると、塩出しの速度をさほど遅くする事なく、内部の塩をゆっくり引き出すのにも効果的。 真水だと表面の塩ばかりが抜けて水っぽくなる。
  • 塩もみ:大根やきゅうり等を刻んで、塩かけて揉んで野菜の中の水分を早く取り去る。
  • 塩ゆで:熱湯に塩を少量入れて、濃度1.5%程度にして茹でる。 青菜の色は鮮やかになり、サトイモのヌメリはとれる。

肉や魚を焼く際に塩を振るのは

肉や魚を焼く際に塩を振るのは

肉や魚に塩を振ると、素材の表面付近の水分にこれが解けて濃い塩水状態になる。 これを薄めようと内部の水が表面に引き出されてくる(浸透圧)ので、肉が締まって型崩れせず焼きやすくなる。

肉は焼く直前、魚は30分ほど前に塩を振るようにする。 塩の量は肉で1%、魚は2%くらいがよい塩梅。


なにしろ塩は生きる上で必須の物質なワケです。 世界的に見て、河川、海岸や、岩塩等の塩産地中心に文明が発展したことからも昔から塩が人類にとって大事なものだったということがわかります。

デパートの塩売り場に行くと、もう選び放題でどれを選んでよいのかわからなくなるほどです。 それぞれの塩に、それぞれの売り文句がありますからね。 オイが常備している塩は以下の通りです。

海人の藻塩

海水とホンダワラを煮詰めて作る古代製塩法で作られたもの。


粟国の塩

よく知られた沖縄は粟国島、沖縄海塩研究所が作る塩。


伯方の塩

よく知られる塩。 料理の他、まな板や食器を洗ったりする際にも使用するとよいと袋に書いてあった。 その他の塩と混ぜて使用。


モンゴル岩塩

肉料理、主に鶏肉によく使う塩。 布巾にくるんでハンマーでガツンと砕いて使う。  ちなみに日本に岩塩は無いらしい。 岩塩は海水が蒸発したものが堆積してできる。


クレイジーソルト

サラダにかけたり肉にかけたりと色んな用途に使えるスパイス入りの塩。


さくらおしを

さくらおしを

アンデス山脈から削り取った岩塩。


以上の塩をバランスよく混ぜ合わせて使います。「塩は混ぜなアカンで」と、オイの行き付けの料理屋さんに教わりました。

と、いうことで、そろそろ塩も自作してみようかって思う今日この頃、自作しました。 塩の作り方 →


塩の逸話

塩の逸話

三代将軍・家光が大久保彦左衛門に尋ねた。 「天下一の美味は何であるか。」「塩でござりまする。 塩があれば鳥でも魚でも飯でもいくらでもたべられます。」と彦左衛門。 さらに家光はこう尋ねる。「では天下一の悪味はなんであるか。」彦左衛門:「塩でござりまする。 ほかのものはいくらでも食べられますが、塩は一さじも食べられませぬ。」

という話。 TVで見た似たような話で、こんなのもあります。

A氏:「この世で一番マズい食べ物はなにか?」 B氏:「おからであります。 味もそっけもなくて、ポサポサでございます。」 A氏:「ではこの世で一番ウマい食べ物はなにか?」  B氏:「おからであります。 調理法によって、いかようにも味付けができまする。」


塩のルール

塩に新ルール

塩は1997年に専売法が廃止され、2002年に完全自由化された。 グルメ志向を背景に、 輸入品や小規模国内産があふれ、あいまいな表現、根拠のない表現がされることもあった。

食料塩公正取引協議会に加盟する製造、販売会社は2010年4月21日までに商品の包装や広告を切り替える。 加盟社で市場の95%を占めるので、購入時の物差しとして有効だと言われる。 (2009/1/22朝日新聞より)


塩の効き方

季節による塩の効き具合

同じ分量の塩を魚に振ったとしても、夏と冬では効き方が違ってくる。 夏は塩の回りが早く、冬は遅くなる。


白い黄金

白い黄金

塩が採れない地方の人は、高い代価を払いよそから買おうとした。 塩漬け魚、肉が食生活の重要部を占めていた北欧では、特に貴重だった。 まさに白い黄金。 長きにわたって塩は石油にも似た地位を占めていた。

君主は石油と同じよう、塩に重税をかけた。 フランスの塩税は1790年にようやく廃止された。


塩について

  • 1997年に専売法の廃止されて、その後2002年の完全自由化により様々な塩の巷にあふれとるとばい。 なにせ日本は四方ば海で囲まれとるけんね。北海道から沖縄まで塩作りラッシュさ。
  • 化学的には化学式NaClの化合物。
  • 人間は塩なしでは生きられないといわれる一方、過剰摂取は体に悪影響をあたえる。 高血圧や胃癌をひきおこす恐れがあるともいわれる。
  • 敵に塩を送る。
  • 塩はすべての味の基本。
  • お汁粉の甘さを引き締める。
  • 酢、ダシ(イノシン酸)と塩を一緒に使うと塩味が穏やかになる。
  • 油を大量に使う料理は塩気をあまり感じない。
  • だしをとった際に塩をひとつまみ入れておくと、鰹節からでたうまみ成分が再びカツオブシに吸収されるのを防ぐ。
  • 魚をゆでる際に塩をひとつまみ入れておくと魚のうまみを逃がさない。
  • 塩の中にいり米を入れておくといつでもサラサラ。
  • 工業的に精製した高純度のNaClに比べて、海水を干したものはカルシウムやマグネシウム、カリウムなど様々な塩を含有している。 陰イオン、陽イオンで塩が生じるが、 不思議なことにイオンの組み合わせで異なる味がする。
  • 世界の塩の3分の2は岩塩。

手ばかりの目安

塩ひと握りで大さじ2。 ひとつまみで小さじ1/4。


05/09/22


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