先日北海道に行った際、おみやげを物色していたところ「塩鮭」を見つけました。 今「塩鮭を見つけた」と書きましたが、実は塩鮭ではありませんでした。 「寒風干し」というものだったのです。
寒風干しとは、塩をした魚を寒風にさらして熟成させたものになるそうで、 オイが塩鮭と見間違えたものはなんと、生でも食べられるとのことでした。
早速購入し、スライスして生でつまんでみたところ、 これは「極上の生ハム」にも似た風味でした。 普通に焼いて食べても美味しかったです。
買う際に、寒風干しとは一体どうやって作るのかを詳細に教えてもらったので、 試しにアジで作ってみることにしました。 成功のあかつきには、鯛や鰤でも作ってみようと計画しています。
今回、たまたま新鮮なアジが目についたので、これを使うことにします。 ウロコをかいて、ワタを抜き、きれいに流水で洗ってから、たんまりと塩をまぶしつけます。 腹の中にもしっかりと塩をしてください。
「魚の肌に塩をすりこむ」と教えられたので、せっせと魚に塩をこすりつけました。
塩をふった魚を、冷蔵庫で1週間ばかり寝かせます。
1週間が経過しました。 冷蔵庫から魚を取り出して、丁寧に水洗いして塩を落とします。 そして水気をしっかりと拭き取ってから、干すわけです。
「寒風干し」という名の通り、寒風の下で干すのが当たり前ですが、そう言われましても季節は春です。 だから今回のは厳密に言うと「春風干し」になるわけです。 夏場に仕込むのは少し難しいかもしれませんね。
干す際は、腹の中もしっかりと乾燥するよう割り箸などでつっぱりをして腹を開いておきます。 今回金串で目刺しにして干しましたが、 高橋由一の有名な油絵「鮭」のように、エラから荒縄を口に通して吊るし干しにしておくと「絵」になります。
干しあがるのに要する時間は風土や魚種によっても異なります。 今回8日間干しました。 魚を指で押し、「少しカチッとしているけれどやや弾力あり」というぐらいがベストだと思います。
干しあがったら三枚におろし、好みの厚みにスライスしてつまみます(ページトップ画像)。 皮面をサッと炙ってからつまむと香ばしさがプラスされ、よりいっそう酒が進みます。 ウイスキーにも合うんです。
※レモン汁をたらすのもおすすめです。
ちなみにこれが、今回おみやげに購入した鮭の寒風干しです。 やはりこれも皮面を炙ってからつまむとよいです。 飲み会の席で出してみたところ、一瞬で消えました。
石狩川口物のはらす(あばら身)の味は絶対他にない、と味覚極楽にありました。
生きているような鮭一本に二合程度の塩をふり、塩俵に包んで1週間寝かせておいてから食べるそうです。
寒塩びきというものもあり、これは身のしまったものを薄切りにして、生でそのままつむものです。 寒風干しと同じものになるのでしょうか。
11/05/11