昔、正月よく家に遊びにきていた親戚がおりました。
そのおじさんは、いつも一升瓶を2本提げてやってきます。 中身は自家製の「どぶろく」で、皆に飲んでもらっては、その感想を得て次の仕込みに活かすという生活を生き甲斐としておりました。
今でこそどぶろくの存在を知っておりますが当時私は、はじめ何か甘い飲み物だと勝手に思い込んでいたんです。 だって牛乳みたいな色をしているじゃないですか。
大人達がグラスにドクドク注いでは、ガバガバ飲んでいるのを横で見て、いつか一口舐めてやろうと狙っておりましたらチャンスが来ましてね。
皆が競艇に出かけたスキをみてコップに注いで飲んでみたんです。
少し甘くて、どこかシュワっとしており、なんだか顔が火照って眠たくなってきました。
これが私と酒とのファーストコンタクトだったのですね今思えば。
結局そのまま寝てしまい、気がついたら翌朝で、何が起きたのかわからなかったのをよく覚えています(笑)。
あらかじめ言っておきますが、これはあくまでも実験です。 味噌やら醤油、酢の造り方を勉強している一環でありますので「自家醸造は禁止なんだぞ!」みたいなご指摘は不要です知ってます。
さて。
どぶろくを構成しているものは限りなくシンプルです。 ごはんに米麹、ドライイーストに水。 たったこれだけしか必要ありません。 もしも万全を目指すなら、あとはこれに雑菌の繁殖を防止する乳酸(今回だとレモン汁)があればカンタンに作れます。
今回、温度を一定に保つ目的で愛機ヨーグルティアを用いましたが、30度前後を保てる環境があればどんな方法でも結構です。
まず容器にごはんを入れたら水を注ぎます。 ごはんはぜひ炊きたてを使いたいですね。 だから熱々しておりまして、この温度を下げる目的でかき混ぜます。
次いで米麹を加えてまた混ぜて、ドライイーストを加えます。 あのパンの発酵に用いる粒子ですね。
仕上げにレモン汁をたらして準備完了です。 今回は29℃で8時間保温しました。
なぜ29℃に決めたのかというとその辺が酵母、つまりドライイーストが活発に動き回る温度帯だからです。 これが40℃以上になってしまったら酵母は逝っちゃいますから注意が必要です。
だから日本酒は寒い時期に仕込むんですね。
今回8時間保温しましたが、2時間経過したあたりで内部を観察してみると、すでに酵母がプクプク活動しておりました。
4時間もすると、アルコールの匂いが漂ってきまして(ハート)。
まさかこんなカンタンに作れてしまうなんて思いもしませんでしたよ。
利き酒形式で味をみてみると(口に含んで鼻から空気を吸い込みながら舌の上で転がした後排出)、ほのかに甘く、かすかな酸味が見られました。
度数はかなり低めです。
続いてせっかくなのでサラシを当てて濾してみました。 すると甘味が少なくなり酸味が引き立つようになりました。
個人的な感想としては、どぶろくは濾さずに粒のまま飲んでこそ、はじめてどぶろくの味なのだと思います。
ぜひ皆さんもお試しください! といえない所がツラいですけどね、いやはや勉強になりました。
19/03/14