まだ小学校低学年の頃でした。 夜、ロードショーが放映されていて、なにやら男がパンを牛乳でグズグズにして大騒ぎしている光景が目に飛び込んできました。 当時は何のことだかサッパリわからず又、全然興味もなかったので寝てしまいました。 それが、かの名作「クレイマー、クレイマー」だと知ったのは、10年以上経ってからのことでした。
次の日、キッチンで姉が呼ぶので向かうと、事もあろうに昨日のグズグズパンを作っていました。 姉はフライパン片手にテンパりまくり、真っ黒こげのグズグズを皿にのせました。 当時、姉の命令は絶対でした。 「食べろ」と差し出されたときのショック、マズさは鮮明に覚えています。
今でこそ姉は自称「家庭料理家」を名乗り、嫁ぎ先でその腕を振るって喜ばれておりますが当時はひどいもんでした。 テレビで料理がでると、すぐにそれをマネて作り、失敗しようがどうしようがそれを弟に食べさせて感想を聞いてくるのです。 「どうだった?」
どうだったもなにも、食べる前から料理の異様な姿に失敗作だとすぐに見破っていましたが、それを食べないわけにはいかず・・・今思えば大変な幼少期でした。 もしかするとこの体験も、オイが自炊に目覚めたキッカケのひとつなのかもしれません。 「こんなマズいもん食わされるんなら自分で作ろうっと」みたいな。
姉の作った 料理 物体で、とりわけヒドかったものを3つ挙げてみましょうか。
まずはポテチにツナ、マヨネーズを混ぜてドロドロにして、それをビスケットにはさんで揚げるか焼くかしたものです。 話だけ聞くと悪くない気もしますが、
当時姉が作ったそれは国家が騒めくほどの破壊力がありました。
次はチョコレートで肉をくるんだ団子で、それを食べた次の日に日射病になったことを覚えています。 その黒い塊が、何故日射病を誘発させる力を持っていたのかはおそらく現代医学でも解明できないでしょう。
そして最後の一品。 口に出すのもおぞましい一品です・・・・・・うーん、想像しただけでテンションが下がってきました。 もしかするとそれは、文字にしただけで人を不幸にする何かを秘めているのかもしれません。 このような危険物を全世界に向けて発信してしまうのはいかがなものでしょうか。 一社会人として発表を自粛させていただきます。
気を取り直してフレンチトーストです。 春休み、ヒマそうにしていた長男と一緒に作りました。 いつも娘とばかり料理しているのでたまには男同士で好き勝手やるのも悪くないと思います。
簡単な話です。 卵一個に対し、牛乳を一瓶分ぐらい混ぜ、好きなだけ砂糖を加えます。
マグカップで作ってみようとも思いましたが、グズグズになってテンパってしまっては、それが息子のトラウマになり、未来永劫語り継がれる一族の失態になってしまう恐れがありましたので、 十分な容量のバットを用いました。
よく混ぜた牛乳液に、少々イカれた食パンを浸します。 液が十分染みこんだ頃、 たっぷりのバターを引いたフライパンで両面こんがり焼き上げればもうフレンチトーストのできあがりです。
焼きたてでも、冷めても美味しいものです。 息子のために一枚焼き、どれ味見をしてみようとかぶりついたところやけにおいしくて、あわててもう一枚自分の分を焼きました。 しかしこれほどまでに簡単な料理を、どうして姉はあんな恐ろしいものに仕立てあげてしまったのでしょうか? 今から電話して聞いてみます。
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10/04/05