長崎では例年よりも早めに梅雨明けし、毎日熱い日が続いております。 梅干をいつ干そうかとタイミングを見計らっている今日この頃ですが、こんな暑い盛りは冷たいものを食べるに限ります。
やっぱ、そうめんでしょう。
市販のめんつゆも結構ですが、自作しためんつゆは、やさしい味がします。
ひやしそうめんやザルソバを食べる際のめんつゆは市販品を買い、活用するのが一番手っ取り早いですし、いざ作ろうと思い立っても、出汁をとり、 それにミリン、醤油を加え、味をととのえればそれで終わりです。
唐突ですが「かえし」をご存知でしょうか。
かえしとは、みりん、砂糖、醤油を合わせたもので、主に関東地方の蕎麦屋さんなんかで用いられる「つけ汁のもと」になるものです。
このカエシが非常に有用なので、今回わざわざめんつゆの作り方というページを作ろうと考えたのでした。 それでは早速作り始めてみましょう。
鍋にお気に入りの醤油をドボドボと注ぎこみ、火を入れます。 醤油がかるく温まってきたら、そこへ砂糖を加えます。 かきまぜながら、砂糖を溶かし込みます。
今回、1、8リットルの醤油に、砂糖300グラムを投入しました。 これはお好みによっても違ってくると思いますので、一度作ってみてから増減するとよいかと思われます。 ちなみに冬場は砂糖多めで作ったほうがしっくりくるようです。
当然の話ですが、醤油、砂糖そのものにこだわると上等のかえしができます。 今回は愛用しているチョーコー醤油のハイグレードな濃口醤油と、 砕いた氷砂糖を用いています。
砂糖を加え、ゆっくりと混ぜながら完全に溶かします。 氷砂糖を使ったって、割合簡単に溶けてしまいます。
※醤油を煮立てると焦げ臭みがでたり、醤油の香りがとんだりして台無しになるのでご注意ください。
砂糖が溶けたところで、みりんを加えます。 今回の場合、400mlのみりんを加えました。
醤油、みりん、砂糖、それぞれの分量が多いので、少しドキドキします。
上の割合だと「商売する気か!」という分量なので家庭的に直すと次の通りです。
醤油450cc + 砂糖75g + みりん100cc まずこれで仕込んでみてください。 画像はまさにその割合です!
みりんを加えてから軽く沸いたら表面のアクを気の済むまでとり、火を止めます。 十分冷めてから、冷蔵庫で保管しておきます。
はいこれにてかえしの完成、といいたいところですが、かえしを作ってすぐは、味がなじんでいません。 ですのでこのまま冷蔵庫で2、3日置いて、味をなじませましょう。
煮ているので保存がききます。 冷蔵庫で1ヶ月はもつと思われるので、めん好きな方は多めに作っておくとよいでしょう。
さらには保存しているうちに味がなれてきて美味しくなっていくし、 肉じゃがやぶり大根を作る際にこのかえしを使えば、 間違いなく美味しいです。 なんかのサギかな、と思える程いいことずくめなのです。
あとは出汁さえ作れば、そうめん、そば、うどんがいつで食べれます。
※ アクはキッチンペーパーを使うときれいにとれますが、乾いた木ブタをかぶせてとる方法もあります。
それではかえしを使い、めんつゆを作ります。
昆布とカツオブシで出汁をとりますが、使用するカツオブシの分量は、10リットルの水に対して、 1.5キロです。
数字だけ聞いてもピンときませんが、普段お味噌汁なんかを作るときに使用する分量とは比べものにならないカツオブシの量です。 水が多いからとかじゃなく、水に対するカツオブシの分量がすごいんです。 目の前に1.5キロのカツオブシを盛ると、あまりの多さに卒倒してしまいそうになります。
どこかで読んだのですが、蕎麦屋さんが使うカツオブシの分量はハンパじゃないそうです。 それを目指して1.5キログラムという分量を用いました。
昆布を引き上げたあとカツオブシを山ほど投入し、弱火で静かに12、3分ぐらい煮出しましょう。
ダシガラになったカツオブシの山を前に、なんだかバチがあたりそうな気もしてきますが大丈夫。 かつおぶしの佃煮を作ればいいのです。 しかもその際にかえしを使えば美味しいですよ。
ちなみに家庭的な分量になおすと、水1リットルに昆布10cm角一枚、かつおぶし150gとなります。 この割合でもかつおぶしは相当な量ですけどね(笑)。
※パンチを出すために厚切りのカツオブシを湯の量が半分になるまで何十分も煮出したりする作り方もあります。
かつおぶしたっぷりのダシを、寝かしておいたかえしと合わせます。 かえしと出汁の割合は、つけ汁にするのか、 かけ汁にするのかで違ってきます。
たとえば冷やしそうめんの「つけ汁」を作る場合、 かえし100mlに、ダシ300mlを合わせます(お好みによりかなり違ってきます)。
温かいうどんに張る「かけ汁」を作る場合は、かえし100mlに、ダシ700mlを合わせたりします(お好みによりかなり違ってきます)。
かえしとダシの割合は、何度かトライして自分好みの味を見つけ出してみてください。 ちなみにオイはかけ汁を作る場合、薄口醤油でかえしをこしらえておいて、透明感のあるつゆを目指したりします。 いわばかけ汁専用のかえしを作るわけです。
※つけ汁用に作ったつゆを辛汁、かけ汁用に作ったつゆを甘汁と呼びます。
かえしと出汁をあわせればそれでよい、というわけではありません。
あわせたあとに、湯煎しなければならないのです。 湯煎とは、火で直接熱する代わりに、容器に入れて湯の中で間接的に熱することで、お酒の燗をするときの方法です。
あわせたつゆを、1時間ばかり湯煎すると、こなれた味になります。 これにてめんつゆの完成です。
めんつゆも冷蔵庫で2日ぐらい置いておくと馴染んでさらに美味しくなります。
昆布とカツオブシの出汁をとる際に、干ししいたけのダシを加えておくのが好きですオイは。
干ししいたけの主成分はグアニル酸で、昆布のグルタミン酸との相乗効果は絶大です。 単体で使うより何倍も風味がよくなります。
上質のみりんをつかえばかえしの味がグッとよくなります。 今回は乾物屋さんで購入した白扇酒造の「福来純 三年熟成本みりん」 を使いました。 このみりんをショットグラスにでも少し注いで飲んでみてください。 相当なモンですよこれは。
以上のカエシをこしらえてから出汁とあわせる手法が面倒くさい場合や時間がないときは手っ取り早くつゆを作ります。
昆布とカツオブシでとっただし汁3カップを温め、砂糖小さじ1、みりん小さじ1、薄口醤油大さじ2を加え、煮立つ寸前に火を止めます。
かけ汁よりも濃厚に作ります。 昆布とカツオブシでとっただし汁200ccを温め、砂糖大さじ山盛り1、みりん大さじ2、濃口醤油大さじ3を加え、煮立つ寸前に火を止めます。
江戸の蕎麦は並切りべら23本と言って3センチ幅の蕎麦生地を23本に切り分けます。 すると蕎麦一本は1.3mmとなります。
辛汁(つけ汁)、甘汁(かけ汁)を作る際には昆布を用いず本枯節と濃口醤油のみで仕込みます。 理由は濃口にはグルタミン酸が多く含まれているから昆布の代わりとなるからです。 一方関西のつゆは薄口を用いる為昆布が必要となります。
蕎麦が出来上がる前につなぎとして呑む酒をこう呼びます。
08/07/18