鮭児をご存知でしょうか。
その名の通り「鮭の児」になります。 なんと今回、鮭児を手に入れることができました! どうして「なんと」なのかというと、鮭児は超高級魚だからです。
まさか自分で購入できるわけありません。 どうやって入手したのかというと、それは正月に年始まわりをしている時でした。
とある年配の男性宅におじゃましました。 その人は食べることが大好きで、よく色んな食材を頂戴しています。 その日は熱燗をやりながら、ちょうど生麩の話を聞いていました。
玄関でチャイムが鳴り、北海道から宅急便が届きました。 男性が開けてみると、中から鮭児がでてきた、というわけです。
ちょうど小型の鮭のようでいて、普段見慣れたサーモンとは顔が違います。 体も小さくほっそりとしていて、ウロコが黒光りしています。 カチコチの、冷凍状態です。
これまでに鮭児を見たこともありませんし、一体どこで鮭児と判断すればよいのか戸惑いますが、宅急便の伝票の備考欄にしっかり「鮭児」と書いてあったのです。
これまでの人生において、あらゆるものを食べてきたその男性も鮭児には興奮しています。 横でみていたオイも相当興奮しました。
早速切って食べてみようという話になり、包丁を握ったのはなんとオイだったのです。
そして男性宅から帰る際、頼みこんで、尻尾の部分(1/4ぐらい)を貰ってきたというわけです。
鮭児(けいじ)についてネットで情報収集しました。 まとめてみると、次のようになります。
以上が鮭児の特徴です。 顔とか体つきで見分けることはおろか、幽門垂の数をあたってみたところでも100パーセント鮭児である確証ではないということになります。
ちなみに幽門垂とは手許の図鑑で調べてみるとブリをおろす際によく見かけるたくさんヒダのあるアレ(内蔵)でした。 とてもじゃないけど数える根性はありません。 よりまして、信頼できる団体の発行する「鮭児証明書」が唯一のよりどころになりそうです。
もっとも、今回鮭児を丸ごと一本をおろしてみましたが、内蔵は抜かれてあり、証明書もありませんでした。 なので鮭児だと断定してしまうのは少々気が引けるのですが、 これまでの経験により、おそらく年配男性宛にニセ鮭児が送られてくることはまずないと考えられます。
ということで、オイが尻尾をもらってきた鮭は鮭児だということで以下話を進めてみます。
一本何万もする鮭児をまさか塩をふって焼いて食べるわけありません。 刺身です刺身。 上の写真はおろしたての鮭児を切り分けて、 まさにつまもうとしている寸前の一枚です。 鮭児の顔、全体像も撮影しておきたかったのですが、場の雰囲気的に無理でした・・・。
鮭を生で食べると寄生虫がどうこうという話がありますが、鮭児を送った本人に男性が電話で確認したところ「生で食え」ということだったので刺身にしました。 一旦冷凍すると大丈夫だとかいう話のようです。
「全身がトロ」といわれる鮭児だけあって脂がのってもうたまらん! という感想を口にしてしまいそうでしたが、 普段食べている養殖物のサーモンの脂は凄まじく、 おそらく「脂のノリ」だけで判断するとサーモンに軍配が上がります。
それでは何が違うのかというと、身の香りが素晴らしいです。 フルーティーな、なんちゅうかこう、まるでメロンの薄切りと刺身を一緒に食べているような甘みと香りがします。
一口食べ、二口つまみ、時には醤油をつけて、そのまま、天井を見上げて味わっているふりをしながら、うつむいて納得しているようなそぶりをみせながら、次から次に刺身を食べました。 食べなきゃソンですもん。
※もちろん塩を振って焼いても美味しいです。
刺身にする際すきとった皮は、焼いて塩を振ってからつまみます。 アマダイを食べてからというもの、 魚のウロコの妙味に目覚めてしまってウロコ付きでそのまま焼いています。 鮭児のウロコだからバカになりません。 たぶん1枚1円ぐらいするハズです。
なんと言えばいいのでしょうか、ちょうど腹骨をすきとる際に腹の脂が乗っている部分を切り取らざるをえません。 そこに皮をまきつけて、串刺しにして炙って食べました。 たしか美味しんぼにこういう調理法があったように記憶しています。
ヒレをしばらく干してから、よく炙って盃に入れ、熱燗を注ぐとヒレ酒になります。 ひれ酒はなにもフグだけのものではありません。 鮭児のヒレ酒ですから、一杯4,000円ぐらいするかもしれません。
やっぱり骨は焼いてつまみます。 鮭児の骨ですからたぶんひとつで・・・もういいか。
めふんをご存知でしょうか。 めふんとは、鮭の腎臓(背ワタ)を塩漬けして作る珍味です。
魚の腎臓は中骨の下、ちょうど図の黒い部分になります。 せっかくの鮭児ですからムダにできません。 腎臓を取り出してめふんを作ってみます。
※めふんとはアイヌ語で「魚の背ワタ」を指すそうです。
腎臓を丁寧に取り出して、塩をふります。 塩を多くすれば腐りにくくなりますが、当然塩辛くなります。 カンをたよりに塩をまぶしつけて、清潔な瓶に入れて冷蔵庫で保管します。
2〜3年たったものが食べごろとなります。 めふんは白鮭のものが最上とされるそうですから、鮭児のめふんはきっとおいしくなると思います。 さて2、3年後に乞うご期待!
鮭児を調べている際に立ち寄ったさしみ鮭の丸亀のさしみ鮭があまりにも美味しそうだったので取り寄せてみました。
刺身というか、軽く塩をした冷凍の切り身で、切り分けてから生でつまみます。 醤油はつけずにレモンをしぼりこんでから食べると、ちょうど生ハムのようでした。 美味しいです。
09/2/5