「くわいって変なヤツだなあ。 これどうやって食べんの?」
と、スーパーでクワイを見かけるたびにいつも思っていました。 その独特の姿形には「どうせ大したことないでしょう」という一種の偏見さえありました。
ところが、水上勉の土を喰う日々にクワイの網焼きについて書かれてありまして、つい食べてみたくなったのでした。
くわいとはそもそも何なのか? 中国原産の水生多年草で、古くから水田で栽培されている植物です。
今回焼いて食べるのは、クワイの地下茎になります。
七輪に火をおこし、丸のままのくわいをのせて焼くだけです。
焼き色がついた頃皮をペリッとむき、かじりつきます。
シャクシャクした歯ざわりと栗に似た風味があります。 塩をちょこっとつけながらいただきます。
くわいの網焼きは等持院の酒好きな老師の大好物だったそうです。 以上くわいの網焼きでした。
水上さんはこのように書いておられます。
いまのテレビ番組の料理など、めったに見ないものの、時に目に入って驚くことだが、くわいなども皮は包丁でむかれる。
しかも、そのむき方は、子供の綿入れ羽織、着るものまるごとはぎとるみたいで、身はほんの小さなものになる。 これが上品らしい。
もちろん、炊きあわせ用なのだろうが、見た目は芋だかなんだかわかりゃしない。 しかも、くわいでもっとも、にがみもあって、甘みのある皮にちかいあたりが捨てられるとあっては、もったいないのだ。
また、くわいの皮ほどうすいものはないのである。 小芋の皮むきもこれに似ている。
〜中略〜
テレビ番組の板前さんは、包丁を器用につかい、小梅ぐらいの大きさまでむき、厚い身を捨てて平然としている。 これでは芋が泣く。
というよりは、つい先ほどまで、雪の下の畝の穴にいたのだ。 冬じゅう芋をあたためて、香りを育てていた土が泣くだろう。 香り、そう、味といってもいい。 土にうめておけば、 ビニール包みに入れておくよりは、いい香りはのこるものなのである。
09/03/06