今月の頭頃でしょうか、テレビを見ていた家内が「いーなー!」と叫んだのです。 ケンタッキーのオリジナルチキン食べ放題!というニュースに心打たれた模様です。
火がついた家内は即買いに走りムシャついておりましたが、その時フと「ケンチキって家で作れないのかなあ」と彼女はつぶやいたのでした。 気持ちはわからんでもないのですが、 幼い頃から慣れ親しんできたケンチキは、どう考えてみても作るものではなく買うものです。
でも話は膨らみ、なんと今年の娘の自由研究のテーマは「ケンチキを自分で作ろう!!」に決定! という運びになり、急きょオリジナルチキンの解析をしなければならないハメになったのでした・・・。
やるからには徹底してヤリます。 今回のためにオリジナルチキンを毎日かみしめて味わい、一週間にわたり研究しました。
これこそがフルオリジナル「オイ流ケンチキの作り方」の全貌です。
鶏肉は是が非でも骨付き鶏を使いたいところです。 骨があるのとないのでは味や質感が全然異なるからです。
かぶりつきながら骨と身を分ける作業すらも、オリジナルチキンの味のひとつなのです。
丸鶏を買ってきて、自分でさばくのが最良ですが、難しい場合は手羽先や骨付きモモ肉を用意します。
丸鶏をさばく場合は、いつものように骨を避けながらおろしていくのではなく、包丁で骨を叩き切りながら分けます。 頭の中でこれまでに食べてきたオリジナルチキンの形を思い浮かべつつ、食べやすい大きさに切り分けるのです (鶏のさばき方)。
ブツ切りの鶏を器に入れて、水をヒタヒタに注ぎます。 そこへまじない程度の酒をたらしまして、
蒸します。 蒸す時間は30分〜1時間程度です。 どうしてここで蒸したのかというと、KFCのCMで「プシュー」と蒸気が立ち上る釜が出ますよね、あれがうらやましかったからです。 何でもあれはケンタッキー独自の高温高圧調理だそうで、手前の圧力鍋を使って同じように揚げてみようかとも思ったのですが、危険を感じて断念しました。
そこで蒸し器で蒸して、蒸気だけでも立ち上らせたのでした。 もっとも、オリジナルチキンの、かじるとホロホロ崩れるあの身の質感をかもし出すためには、生肉にただ衣をつけて揚げるだけでは不十分だと感じたからでもあるのですが。
ちなみにあらかじめ蒸しておく事の恩恵として、揚げる際に火の通りを心配する必要がなくなり、さらに極上のチキンスープを得ることができます。 一石二鳥とはまさに本件の事であります。 蒸しあがったら即肉を引き上げるのではなく、そのまま安置して冷まします。 これは海南チキンライスと同じくチキンをふっくらジューシーに仕上げたいためです。
これぞ七日間手さぐりを繰り返して編み出した、オリジナルの漬け込み液です。 普段調味料の分量なんて記しやしないぷちぐるですが、 今回ばかりは忠実に再現したいがために、1グラム単位で各分量を決めました。 次の通りになります。
これからをボールに入れ、よく混ぜ合わせます。 全卵57グラムとありますが、これはM卵一個分の量で、若干前後するかと思います。 牛乳は、その卵と同じ分量使いたいところです。 又、小麦粉の量に幅を持たせてありますが、これは仕上がりの質感の好みに個人差があるためです。 小麦粉60グラムよりも70グラムのほうが衣に厚みが出ます。 個人的には70グラムで作るほうが好きです。
ニンニクとショウガを加えたのは、檀流を志す者として、この二つははずせないからです。
又、ケンチキといえば11種のスパイスで知られますが、ここでは家庭での作りやすさの面と、あまり必要性を感じなかったので、入手しやすい黒胡椒一本で勝負します。
※ KFCの秘密はスパイスの調合にあると思われがちですが、実際の味付けには塩と胡椒、グルタミン酸ソーダが使われているに過ぎなかった、とジャーナリストであるウィリアム・バウンドストーン氏は語ります。 真の秘訣は、圧力鍋で揚げる事にある、と。
ケンチキといえば、揚げる前に粉(フラワー)をまぶしつけて肉同士をかち合わせてパーン、とやるので有名です。
なので今回も揚げる前に小麦粉をまぶします。 小麦粉(適量)に黒胡椒10グラムを混ぜ合わせておきます。
肉が冷めたらスープの中から引き上げて、よく水気を切ってから用意しておいた漬け込み液に浸します。 できることならば一時間ぐらいは漬けたままにしておきたいところですが、 一刻も早く「家ケンタ」を楽しみたい事だと思いますので、からめるだけでも構いません。
漬けこみ液から肉を引き上げ、今度は粉をまんべんなくまぶしつけます。
あとは180℃の油でカラリと揚げるだけです。 あらかじめ蒸しているので火の通りを心配する必要はまったくありません。
揚げ色については「ちょっと色が薄いかな」という程度で引き上げたほうが、あとでしっくりくる色に仕上がります。 ここでバッチリ色をつけてしまうと、後で黒々してしまいます。
揚げあがるやいなや、油を切って天ぷら紙で肉を包みます。 どうしてこういうことをするのかというと、ケンチキって、カラリとしているけどややシットリした衣というイメージが個人的にあるからであり、 揚げあがりのカラリとした様よりも、紙で包んでしばらく蒸らしたほうが、見た目がグッと本物に近くなるからです。 これは我ながらいい事を思いついたなあと思います。 食べる際紙を開いてかぶりつく所もいかにもっぽい演出ですしね。
これは鶏モモの一部です。 なかなか本物に近い見栄えだと思います。
息子が好きな部位です。
紙を開くと湯気が立ち上り、手ですんなりと引き裂けるぐらい柔らかいチキンでなおかつジューシー。 それなのに衣はカラリとしていてまさにケンチキ風味です。 個人的には味の再現もいい線いってると思います。 是非、今度の休みにでも作ってみてください。
以上、オイ流ケンタッキーオリジナルチキンの作り方でした。
更新日:23/01/31
公開日:12/07/18