「食べ物の好き嫌いはない」と断言できますが、高野豆腐だけは子供の頃苦手でした。
お袋の作る煮しめにはかならず高野豆腐が入っていて、 「今日こそは!」とつまんでみますが「ジンワ」という特有の食感がダメだったんですねえ。
上質の出汁を用いて作ればしみじみ旨いもんだと知ったのは、それから大分経ってのことでした。
今回はまず、高野豆腐をじっくりと煮て含め煮をこしらえ、その後何品かに派生させます。
これが調理前の高野豆腐です。 凍り豆腐とも呼ばれます。 右の小さなカケラは自作の高野豆腐でありまして、豆腐を冷凍庫に入れて凍らせた後に取り出して解凍しています。 干せばより本物に近くなると思います。
高野豆腐をしばらく水に浸して戻します。 市販品の中には戻さずそのまま煮汁に放り込むよう指示されているものもありますが、 今回半分に切り分けたかったから戻しました。
昆布とかつおぶしで出汁をとり、 醤油、塩、みりん、砂糖などを用いて薄く味付けをします。 この中に、戻した高野豆腐の水気を切りつつ加えまして、ゆっくりと気長に煮ていきます。
今回かつおぶしを贅沢にドッサリ加えて抽出した出汁で煮ています。 食べた人に「美味しい!」と言わせる含め煮のコツは、この出汁にあると思っています。
2時間ばかり煮て、高野豆腐が煮汁をたっぷり吸い込んだところで火を止めて、そのままできるだけ長時間浸しておきます。 これぞ含め煮です(ページトップ画像)。
口に含めばじんわりと、鰹の効いた出汁がにじみ出てきて素敵です。 含め煮を肴に一杯やるのもいいもんです。
含め煮 、若者にとってはパンチが皆無かもしれません。 そんな時は、含め煮を焼くんです。 煮汁をよく切った含め煮を、胡麻油で各面コンガリと色よく焼きあげます。
仕上げにラー油をポトリと落とせば、ビールにも合ってしまう高野豆腐になるんです。
個人的にはこれが一番おすすめです。 煮汁を切った含め煮に、 あたかも揚げだし豆腐を作るかのように片栗粉をまぶしつけ、 キツネ色になるまで揚げるだけです。
上から含め煮の煮汁をかければできあがりです。 一口かじれば「カリリ」という心地よい食感の後に、中からじんわりと肉汁があふれてきます。 いや肉汁ではありませんね、そういえばこれ豆腐でした。
※煮汁をかけるか否かはお好みでどうぞ。
子供の学校給食に出る一品です。 含め煮をさいの目に切り、溶き卵と合わせて焼くだけです。 半熟程度のところで仕上げに上から煮汁をジャーッとかければご飯によし、酒によしの一皿になります。
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11/05/12