先日上京した折、マークしていた老舗のおでん屋が二軒ありました。 ところが滞在最後の夜にいざ向かうとお休みだったんですどちらも・・・。
仕方なし地団駄踏みながら帰路につきましたが、どうしても「おでんモード」が抜けなかったもので、長崎の老舗おでん屋を目指しました。
そのおでん屋の存在は随分昔から知ってはいましたが、なかなか足を運ぶ機会がありませんでした。
澄んだアゴダシがピシッと効いたおでんで、ダシ色からは想像できないパンチある風味が多くの客を虜にしています。
ということで、焼きアゴを「ウソ!」というぐらい大量に用いてダシをとります。 昆布、干しシイタケと共に半日水に浸しておいたものを火にかけるのです。
昆布は沸騰寸前に引き上げた後、弱火で30分煮出します。
ダシをこし、みりん、薄口醤油をひとたらし、後は塩を主体にして好みの味に仕上げます。 とにかく澄んでるダシを目指します。
あとはこのツユでおでんだねを弱火でじりじり「いじめ煮」すればできあがりです(おでんをご参考にどうぞ)。 今回用いたのは、玉子、コンニャク、大根、 イカ天、ボウテン、ゲソ天、手羽先、肉団子、アゴ天です。
おでんを食べる際、「ひと椀につき盛るのは三品まで」という暗黙のルールが存在しています。 五品食べたい時は、ひと椀にテンコ盛りせずふた椀に分けて見栄えがするよう、おでんにストレスを与えぬよう留意します。
三品食べきり、どれ次は何をつまもうかとワクワクしますが、この際椀に残るダシは潔く捨ててしまいます。 そしてまた澄んだスープを張りなおし、そこへタネをよそいます。 自慢のツユが濁ってしまっては、おでんとして台無しなのです。
老舗独特のたねが面白いんです。 まずごぼう天なのですが、 おでんでごぼう天といえば、練り物ですよね普通。 それが老舗では、本当にゴボウの天ぷらが出てきます。
ごぼうをささがきにして水にさらし、水気を切ってから小麦粉をまぶしつけ、水で溶いたざっくりした天ぷらです。
これをカリッと揚げればごぼう天です。 おでんはさておき塩を振ってそのままつまめばもう、ビールにはたまらんものです。
店ではごぼう天の注文がはいると、おもむろに大皿のごぼう天をつまみあげ、おでん鍋に一分浸してから引き上げ、供されます。
これが旨い。 ややしんなりとした衣はでもカリパリさを忘れず芯があります。 なのに噛めばダシがジワアと溢れるぬる燗には最適のアテになります。 からしのみならず、 柚子胡椒や七味でもイケます。
シメにはぎんなんとわかめを注文します。
ごぼう天同様、注文が入ってからおでん鍋に浸し、わかめは二分、ぎんなんは三分で引き上げて、たっぷりのダシと共に椀に盛ります。
まさかおでん屋でこんな素敵な汁物がいただけるなんで驚きです。 シメと書きましたが、呑んでる最中でもチョイチョイ肴になります。 完
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13/10/05