ひとくちに「しめさば」と言いましても様々な仕込み方があるものですが、このところ立て続けにちょっと面白いしめさばに出会いましてね、おおよそこんな感じでした。
「しめさば」を注文したのに刺身のようなシメサバが現れまして辟易しながらつまんだところ、ちゃんと酢じめになってたんです。
中身はてんで生なのに、はてどうやって〆たのだろうか・・・と思いめぐらしていたところ「こうやりました」と教えてくれました。
バッチバチのサバをおろして塩をまじない程度振り、間髪おかずに酢で〆ます。
その酢の使い方が面白く、まずキッチンペーパーを酢で濡らし、それでサバをくるみこんでからラップをかけ、冷蔵庫で半日寝かせます。
すると身の内部には酢は入らず、表面だけに酢の効いた摩訶不思議な「しめさば」となるのでした。 「酢に関しても経済的ですし」と店主は言います。
※鯖の外側を凍らせて酢に漬けると、外側だけ酢漬けになる不思議なしめ鯖となります。
次いでは京都の老舗に教わった秘伝です。 秘伝と言いながらベラベラ教えてくれましたし「広く公開しい!」との事でしたので記します。
昔京都では新鮮な鯖は入手難だったそうです。 そこでガッツリ塩をしたサバを運んできてはシメるという文化が生まれました。
まずはおろしたサバに、ガッツリ岩塩を振ります。 なぜ岩塩なのかといえば、しっかり水気を抜いてくれるのに、身に塩気は染みこまないからです。
半日置いたら今度は精製塩と、焼き塩を合わせたもので塩漬けします。
身を押したら固くしまり、汁気がにじまなくなったら次に行きます。
山ほど塩を使いましたから、塩抜きしないと使い物になりません。 薄い塩水に浸して塩抜きをします。 この塩抜き加減が職人技であり、 言葉では言い表せぬ「経験と勘にたよる作業!」ということでしたが、途中一度水をかえ、三時間浸しておいたら良い塩加減となりました。
あとは好みの加減酢に浸すだけです。
個人的にはあまりなじみがありませんでしたが、シメサバは乾燥防止の意味合いも込め、白板昆布でくるみます。
白板昆布とは昆布の黒い表皮を丹念に削り取った昆布の中心です。 しめさば以外にも、ササミを巻いてつまんだりするのもお勧めです。
白板昆布はそのままでは固いので、戻す必要があります。 好みにもよりますが、酢2と水8を合わせた液に5分浸し、水気を切って用います。
バッテラにしようと思ってたんですがね、あまりにも旨いんで、そのままつまんじゃいました。
さばを生〆や、モロ〆で味わう。
15/03/27