久しぶり中洲のクラブへ遊びに行ったら、面白い肴が出てきました。
キュウリの乱切りに、何やら粉が振りかけてあります。 一口つまめば、薫りはこちらが探さなくとも向こうからやってきました。
我が味覚史上の事件であります。
いくつもの味が舌上で跳ねまわり、あまりの美味しさに私は遠いアイルランドから来た人のように、新鮮に驚いたのです。
すぐさまこの粉末の正体をお姉さんに尋ねましたが、ほら穴に声を投げ入れたように応答はありません。
ナッツの味とガラムマサラ……急きょ近くの焼き鳥屋と餃子屋に出前の注文を取り、それらが到着するまでアルマニャックを呑みながら、しばし腕組みして岩のように押し黙ってこの正体が何なのかを考えました。
「あ、それ買ってきたモノばい。 バリお客さんに評判の良かけんさ、最近出すごとなったとさ」
と教えてくれたのは店のママでした。
ぜひパッケージを見せてくれとお願いしたら、もう捨ててしまって無いのだと言います。 そこでキュウリに振りかける前の状態を見せるよう希望したら、小皿に入れて持ってきてくれました。
…見えん。
最近老眼が進行し、小さなフォントや調味料の粒子が見えないんです。 あいにくココにはハズキルーペも置いてませんし、スマホで接写し、後日改めて確認する事にしたんです。
もちろん餃子も、焼き鳥もこの粉を振りかけてかじると絶句する程美味しかった事は言うまでもありません。
翌朝、旬のスイカのようにズッシリ重たい頭を持ち上げ昨晩撮影した写真をしげしげ観察しました。 すると謎の粉末の正体が明らかとなったのです。
誰だか存じませんが、よくぞこんな調合思いついたものです。 目視で確認できる素材はクミンとコリアンダー、白ごまにクルミです。
そしてこの塩気は岩塩で間違いありません。
さらにあともうひとつ、もっと何か別の香ばしさが…あ、アーモンド!
解析を終えた私は早速試作に取りかかったのでした。
試行錯誤する事12回。 ついに絶妙なる配合のスマートソルトを我が手中に収めたのです。
まず岩塩とアーモンドをミルグラインダーに入れてブン回し、粉末にしてしまいます。 そしてあたり鉢に移したら、他の4つの素材を加えて軽く潰し混ぜるだけでございます。
おおよそ合わない料理は無いハズですから、日々の食卓にお役立てください。
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20/03/28