日々色んなジャンルの飲食店にお伺いしておりますが、一番好きなのはやはり居酒屋ですね。 前世は居酒屋だったのではないかちゅうほど、居心地良くて心が静まります居酒屋は。
こないだ久しぶりに友人の経営する居酒屋に行ってみたんです。
近年特有の対策もキッチリ行われた店内は、ささやかにお客で賑わっておりさすがは人気店だなと感心し又、新たなメニューもズイと増えておりました。
酢納豆。
酢大豆は老舗の定番ですが納豆とは聞いた事ありませんね。 一体どんなのでしょう興味津々で注文すればいかにも居酒屋スタイルで納豆が出てきました。
一口つまむと……納豆にポン酢がかかっているだけでした。
とりわさ醤油麹漬け。
酒飲みとしてはかなりソソられるネーミングです。 勇んで頼めば出てきたのは低温調理されたムネ肉をガーゼにくるんで蕎麦つゆの「かえし」に浸して半日置いたものでした。 飲めますがちょっと、なんちゅうかこう普通のとりわさで結構です。
麻婆軟骨。
新鮮ですよね初めて聞きました。 どんな感じなのか大方想像しながら注文すれば出てきたのはいかにも麻婆然とした軟骨煮込みでした。
軟骨の他に鶏皮としめじを一緒に味噌風味で炊いてますが…いまいち辛味に欠けていますそして、軟骨のコリッとした食感と皮としめじのグニュとした質感がハーモニーとなっておらずバラバラです。
どうしたカッチャン(店主)よ!
なんでも、いずれにおいても現段階では完成形でなく、お客の反応を見ながら微調整してゆきたいという所存であるらしく「文句ばかり言うな」と返しながら日本酒一杯の量を減らして差し出してくるほどヘソを曲げた彼でした。
家に戻りながら、一番モノになりそうだった麻婆軟骨について熟考していた所、たぶんこう作ると美味しいだろうなぁ、というイメージがまとまり、あくる日それを試してみたら、アラとても素敵な麻婆が完成してしまいました。
この麻婆の事はまだ彼には話していませんが、本麻婆を生み出すキッカケとなってくれた友に感謝しています。
鶏の軟骨ですね。 これには二種類ありまして、今回用いるのはヒザのほうです。 ササミ付近の軟骨でも試しましたが、断然ヒザのほうがまとまりよく食感もステキでしたよ。
その軟骨に小麦粉をまぶして、叩き潰したニンニクと一緒に油で炒めてまいります。 この際弱火で、時々転がしながらくまなく全面カリッカリに炒めるのがポイントです。 「塩を振ってつまんだらさぞ美味しかろうなあ」という状態になるまで炒めるのです。
続いて鶏のひき肉を加えて炒め合わせます。 牛でも豚でもなく、この場合は鶏です鶏で統一するのです。 あっさりした鶏ひきは軟骨に旨味こそ供給はするもののそれ自体は主張せず、縁の下の力持ちとしてこの料理を引き立てます。
豆板醤をドサリと加えてからめあわせます。 一気に麻婆らしくなりましたね。
これまで無数の麻婆を作ってきましたので、こだわろうと思えばいくらでもそうできますが、最小限の仕事で麻婆を生み出す所に今回熱意を注いでいます。
豆板醤の塩味を落ち着かせる為に砂糖を加えて混ぜ合わせると、かすかなトロミが生まれます。
そして日本酒をたらせば、小気味よい音を立てながら鍋はグラグラ沸き立つでしょう。
仕上げにニラを入れ、手早く混ぜ合わせるとオイ式麻婆軟骨の完成となります。
このままでも十分美味しいですが、いわばこれはプレーンですので花椒を散らしたりラー油をたらしたり五香を振っても良いでしょう。
ぜひお試しください久々の自信作でーあります。
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21/03/20