こだわりの食材ばかりを取り扱うスーパーで、豚の網脂を前にどうやって調理しようか悩んでいたときのことでした。
さっきから視界のスミに黒い塊が見え隠れしているのです。 場所柄、黒い物体は食材のハズです。 いやしかし黒い食材ってのもなかなか珍しいな、と普段ならば興味がわくのですが如何せん網脂のことで頭が一杯です。
網脂の答えが見つからなかったので一度ブレイクしようとその場を離れることにしました。
その際、チラッと横目で黒い物体を見てしまいました。 そこで再び足が止まってしまったのでした。
黒い物体は、烏骨鶏(うこっけい)だったのです。
烏骨鶏の存在は知っておりましたが、このように食材として目にするのは初めてのことでした。 真っ黒です。 今度は、 このウコッケイを使って何を作ってやろうかなあと悩みはじめてしまったのです。
しばらく考えた後、とりあえず網脂と一緒に烏骨鶏を買って帰ることにしました。
これが烏骨鶏(うこっけい)です。 まるで普通の鶏を赤ワインに1ヶ月漬け込んだかのように真っ黒です。
台湾産のもので、重さは1キロぐらいでした。 中国江西省泰和原産で、栄養価が高い鶏です。 詳しくは食材辞典>烏骨鶏をご覧ください。
ウコッケイといえどもニワトリの一種です。 とりあえず鶏のさばき方のようにバラすことにしました。
鶏はしょっちゅうさばいているのでワケないです。
これに衣をつけて唐揚げにしたらかじってみてビックリ! で面白いだろうなあとも考えましたが、今回は烏骨鶏のスープを作ってみることに決めました。
うこっけいのブツ切りを鍋に入れ、水をヒタヒタに加えます。 火にかけて、沸いたら一度湯を捨てて、再度水を張りなおします。
鶏がらスープをとる要領で、 気長に3、4時間クツクツ煮込もうと思います。 烏骨鶏の風味をモロに感じ取りたいために、ショウガとネギの青い部分以外は何も加えておりません。
アクが浮かんでくるのでこまめにすくいとりながら、立ち上る香りを楽しみます。
※スープをスッキリ澄ませたい場合は、鍋を直火にかけずに蒸し器に鍋ごと入れて蒸します。
肉がボロボロ柔らかくなった頃には黄金色のスープが抽出できているハズです。 一口ススってみるとまさにチキンスープの風味です。 でもどことなく滋味にあふれている感じがするのは烏骨鶏だからでしょうか。
塩だけで味を調えて、いざ食卓へ。 黒い皮、黒い身、黒い骨に家族は初め戸惑いましたが、いざ食べてみると美味しいスープだということをすぐに理解してくれました。
中国では冬から春にかけて烏骨鶏のスープをよく飲みます。 薬膳スープで様々な生薬を烏骨鶏と一緒に鍋に入れ老酒をたらし、蒸し器でじっくり蒸すのです。
生薬には次のようなものが用いられます。
そのときの体調にあわせて各種生薬を使用します。
更新日:23/03/19
公開日:10/05/01