最近はメディアも人々もSNSこそ世界の全てだ、と言わんばかりにそこで起きている事だけが事実であるかのようにふるまっていると、個人的に感じています。
でもSNSは、広大なウェブ空間のごく一部でしかありません。
妻にこう話すと何の事やらわからずポケーとしますが、現代の人々にとってはそんな概念は必要ないのかもしれません。
私もSNSをいくつか利用してはおりはするものの、やや距離を置くというか、どちらかというと消極的な使い方をしていました。
たとえば Instagram においては、サイトで使うにはハバカラレル、ボツ画像を投稿する場所として。 Twitter ではメモするほどでもない、それこそごく個人的なつぶやきをたまにポストする場所、という位置づけで。
Twitter の面白さを教えてくれたのは小池一夫さんでした。
ある日フォローと共にリプライをくれた小池さんは、私の抱いていたSNSの場の空気感とは違いとても温かく接してくれて、まるでリアルで会話しているような感覚がありました。
それから毎日小池さんに会う為にTwitterを訪れるうち、アカウントの輪が広がり、いつのまにか好きになっていたんですその場所を。
Instagram においては親しい友人が海外へ移住してその近況を日々ポストするようになった事につられ、彼に見てもらうための力の入った一枚を上げるようになり、気がつけば楽しくなっていたというのが実情です。
今ではどちらも欠かせない場所となっています。
宇野千代さんを教えてくれたのは、たかの朱美さんという Twitter で知り合った方でした。 座右の書をツイートしたところ、「宇野千代さんの『私の作ったお惣菜』もオススメですよ」と教えてくれたのです。
早速夢中になって読んだ私は、宇野千代節の効いたいくつかの料理を、実際作ってみましてね。
それをまとめたのがこのページになります。
どの項を開いても宇野さんは「私の生まれ故郷は山口県の岩国なのです」からはじめる強い郷土愛を持ちます。
それに感化され「私の生まれ故郷は長崎県の島原なのです」と以降レシピを案内する度冒頭でそう述べようかとも思いましたが、
私にはまだその力が無い事を自覚したので、いつかそう語れる日が来るように、コツコツ日々精進して生きようと気持ちを岩国寿司のように固く引き締めたのです。
一見普通の胡麻和えですが、酸味が効いているのが宇野流です。 しかも白菜は白い部分だけを用いるという贅沢さ。
宇野さんは酒を飲まないと書いてらっしゃいましたが、この手法は酒飲みのそれであるところから、近い方にかなりの左党が存在したのだろうと考えます。
真冬のズッシリ重たい白菜で作りたい所です。
この存在こそ知ってはいましたが、実際作ったのは初でした。 自分好みの具材を取り入れて焼けば楽しいでしょう。 グシャついても仕上がりはしっかりまとまってくれるので、思い切りよく焼いてみましょう。
この本で一番驚いた料理がこちらです。 牛肉の味が染みたレンコンがこれほどまでに美味しいとは。 出合いものとはこの事ですね。
「新じゃがの薄い皮は、フキンでこすりながら落とすのですヨ。 包丁でむいていたら食べる所が無くなっちゃうワヨ」という宇野さんの知恵につい、祖母の事を思い出して目頭が熱くなってしまいました。
豚の脂を抜いてサッパリしかも柔らかく仕上げる優れた調理法です。 宇野さんが気力に満ち溢れているのは食べるものが若いからでしょうか。
傑作です。 揚げたかぼちゃに塩を振ってつまむだけでも十分美味しいですし、蒸すという調理法の可能性を感じる一品です。
宇野さんのネーミングセンスに脱帽(笑)! バズる強い言葉です。 真のすき焼きに野菜は必要ないのです。
この本の中で一番好きな料理はコレ!これです私。
つまりカカ煮なのですが、鰹節を粉にしてこんにゃく全面にまぶしつける所が粋です。
以上です。 夏が来たらあと一品追記して、この本を本棚へ戻したいと考えています。
20/04/29