昔よく通った居酒屋の店主は、店が混んできてテンパってくると、カウンターで飲んでる客に雑用を手伝わせるというムチャな人物でした。
オイもよく手伝わされたのですが、その中でも印象に残っているのが、潮汁の仕込みです。
その日は大宴会が入っているとかで、飲みに行く予定でもなかったのに店主から「手伝って」と連絡をもらいました。 報酬は「一仕事終えた後の飲み代は全部タダ」というものでした。
店の前には発泡スチロールの箱が何段も積み上げられていて、その中はすべて小ぶりな鯛の頭でした。 大鍋に湯をわかし、 鯛の頭へザザッとかけて、流水で洗いながら頭についたウロコを丁寧に取り除きます。 これがまた、流水の中でも熱くて大変なんです。
その作業を何十個分もやらされ、作業を終えた後はしばらく手の感覚が変になりました。 「働いた分以上に飲んでやる」と息巻いていると、しばらくしてオイの目の前にも潮汁が差し出されました。
一口ススれば海が広がります。 潮汁とはよく名づけたものだと感心しながらも、「この辺でシメにしてくれ」という店主の悲痛な叫びも聞こえてくるようでした。
鯛のアラを用意します。 鯛の頭にはホホ周辺にウロコがありますので、 丁寧にかいておきます。 身の食べ方は、天然鯛を食べるをどうぞ。
鯛の頭が大きすぎる場合は、次のように包丁で叩いて食べやすくします。
まずは縦半分に割りまして、
結構固いので注意してください。
半分になったら胸ビレ部分を切り離します。
頭は下あごから真っ二つにし、
目があるほうの部分をさらに半分に、
下あご部も半分にします。
さきほど切り離しておいた胸ビレ部も半分にします。
これで頭を細かくできました。 人数が多い場合はこのように叩きますが、少人数で楽しむ場合は土鍋で、鯛の頭を丸ごと煮て作ったりもします。
鯛の頭に塩をふりかけて二時間ばかり置き、その後熱湯を回しかけて汚れやウロコを取り除きます。
湯をかけるとウロコが立つのでとりやすくなります。 流水で洗いながら、ウロコが残らぬよう仕上げます。
きれいになったアラを昆布と共に鍋へ沈めて弱火にかけます。 沸騰直前に昆布を引き上げ、
浮いてくるアクを丹念にすくい取ります。 このまま2、30分ほど煮続けます。
味付けは塩だけで行います。 塩が効きすぎるのはよくないものですので、味見をしながら慎重に塩を加えます。 お好みで仕上げに日本酒をたらし、 即椀に盛り、木の芽等浮かべていただきます。
鯛のアラに塩を振り、熱湯をかけて流水であらいながら汚れを取り除き、昆布と共に煮る。 アクをすくい、塩で調味する。
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11/08/31