頻繁に飲みにいってると、たまに「かなりの焼酎マニア」なんていう人物と同席することがあります。 人にはさんざんアレはどうだとか、これはどうだとか、アドバイスや講釈をまくしたてるくせに、オイが一言でも、 「そういえば、この前飲んだ明るい農村という芋焼酎、それおいしかったですよ。」なんていうと、 驚くべき反応スピードで、「ボクは実際に自分の舌で確かめたモノでないと飲みません買いません。 人の言うことは 信用しません。」なんていわれる。
オイとしては話の流れ上、ただ最近飲んだ焼酎の感想を述べただけであって、なにもべつにあなたにその焼酎を「買え」だとかナントカ 言った覚えはないのであるが、やはり焼酎マニアというぐらいだから、自分の舌には絶対の自信をもっているのでありましょう。 ちなみに その焼酎マニア氏、この明るい農村のことももちろんご存知で、「美味いけど特別ってワケではない。」なんていう評価をサラリと下していました。
オイとしてはこの明るい農村の、具体的にどの辺が素晴らしくて、香りがどうとかこうとかいうボキャブラリーや知識は持ち合わせてはおりませんが、 とにかく飲んだ感想は、「オイ好みでウマイ」というだけであります。 農村が明るい。 なんだかイイネーミングじゃないですか。 農耕民族としては、なんだか力がでるじゃーないですか。 「オイ好み」だったら、別に有名な焼酎でなくともなんでもよいのであります。
もっとも、市販されているということは、ある程度有名だということになるわけで、採算度外視して、蔵元が趣味で作っているような焼酎というのはその存在を 知りようがなく、結局ものすごくウマイ焼酎というのは、ある一部の人をのぞいては、味わいようがないということにわるわけですが。 そんな焼酎、 近くにないかな。
余談。 その焼酎マニアの話。 彼は、食べるものにもこだわる。 曰く、「プロが作った料理しか、基本的には口にしない。」 のだそうな。 うーんなんとも浮世離れした人物でありますな。 とにかく、「家に遊びにおいでよ。 手料理ごちそうするからさ。」 なんていう誘いにはもちろんのこと参加せず、なんと自分の嫁さんがこしらえた手料理さえ、ギリギリなのだそうな。 ましてや、 嫁さんのお母さんの手料理なんていうのはもってのほか。 いろんな理由をつけて、絶対口にしないのだという。
で、あるからして、ご飯を食べる際は必ずお店へ行かねばならぬということらしい。 しかも、あんまり庶民的なものは食べないそうな。 なるべく、 高級そうだったら、和洋中は、とくにこだわらないのだそうな。 自炊大好きなオイとは、まさに対極にある人物。 なかなか面白いね。 しかし、あなたとオイがいまこうして話しているお店は、オイが行くぐらいだからそんな高級なお店であるはずがなく、店主自らが「ココは気取ってくる 店ではない。 大いに騒げ。」と言っているとおりの、庶民が触れ合うお店である。 なんで、あなたは今、ここに居るの?
その後その焼酎マニア氏は、オイの間髪入れないお酌と、当り障りのない相槌によりだんだんと気分がよくなってきたらしく、無名の焼酎をガバガバ飲みだす。 そして、近くに座っていた、なんでも税理士関係のおじさんと、口論になり、白熱。 年長者を年長者とも思わないタメ口で、某判定疑惑のボクサー並みの イカツイ物腰で怒り、無名の焼酎をあおり、ダウンしたのである。
「くやしいグスン。。 おれだって大変なんだよグスン。 わかんないだろうけどグスン。」と、オイの隣で寝ながらすすり泣くのである。 その後、オイは近くのビジネスホテルに連絡し、タクシーにマニアを放り込み、また飲み屋に戻って、明るい農村の話で店主と一杯やったのである。