「あじの塩焼き」を見るだけで「ゴクリ」と喉が鳴る方も少なくないかと思います。 あじの塩焼きもまた、日本人のソウルフードといっても過言ではないでしょう。
見るだけで味を思い浮かべることのできる一品ですが、いつもの塩焼きも、 ちょっとした工夫で見違えるように美味しくなるものです。
塩焼きにするにしろ、新鮮な魚を用いることが、美味しい塩焼きを作るコツです。
ウロコをかいて、エラ、ワタを取り出し、必要ならばゼンコを取り除いてください。 動画もありますのでこちらも参考にどうぞ→魚の三枚おろし。
※アジにはゼンゴ(稜鱗-りょうりん-)というトゲトゲしたウロコが、 両側面に一列約70個ほどついております。 好みによってはこのゼンゴの一番トゲトゲしたしっぽ付近の部分だけ、 庖丁でそぎ取っておくのです。
ワタを抜いて水洗いした後、表面へナナメに切り込みを入れます。 火が通りやすくなり、 焼きあげた際に格好良い模様となる効果がありますが、別に入れなくなって結構です。
あじに串を打ち体をくねらせておくと、いかにも新鮮な魚を用いた塩焼きに見えます。 あじの目付近から串を打ち、 縫い付けるように尾のほうまで串を通します。 頭と尾がピンと上を向くよう串を打てば、格好良いものです。
串を打つ打たないもお好みでどうぞ。
焼く直前に、魚の水気をよくふいてから、たっぷりと多めに塩を振ります。 各ヒレには化粧塩をとりわけたっぷりとまぶしつけ、ピンとさせておきます。 化粧塩だけは是非やっていただきたいです。 塩焼きの「旨そう度」がグンと跳ね上がりますから。
尾ヒレと中骨だけが残された塩焼きの食べあとがあったとします。 そのヒレについている塩加減を見れば、 旨い塩焼きだったんだろうなあと推測がつきます。
※化粧塩:魚を姿焼きにするとき、焼き上がりを美しくしたり、焦げないようにしたりするために尾やヒレにまぶす塩のことです。 貝の殻にまぶすことも。 飾り塩や鰭塩ともいいます。
それではあじを、焼きはじめましょう。
とその前に、コンロの両脇にレンガをふたつ並べまして、その上に焼き網を置いてください。 魚を焼く際は「強火の遠火」が鉄則なのです。 網に魚を置く前に、十分熱しておかないと、皮が網にくっつく恐れがありますのでご注意ください。
心配な時は魚の表面に薄く酢を塗っておくと上手に焼く事ができるようになります(酢によって皮の蛋白質を変性させ金属との反応力を失わせる)。
まずは盛り付ける時に表面(上)になるほうから焼きはじめます。 目安としては表を6、裏を4といった割合です。
いったん網の上に魚を置いたら、むやみやたらに動かさないようにしてください。
時折網自体を動かしながら、火の当たり具合を調整しつつ焼いていきます。 時折かがみこんで、火の当たっている面を観察してみてください。 皮にまんべんなくこんがりと焼き目がついた頃、裏返します。
ちなみに焼いている最中、あじを上から金属フタで覆うと、熱がこもって蒸し焼き風に火が通りますよ。
魚を裏返すのは、一回きりです。 なので最初の片面を焼く際に、十分焼き目をつける必要があります。
何度もひっくり返してしまっては風味が落ちますし、生焼けのまま裏返しますと、網に身がくっついてしまい、見るも無残な姿になってしまいます。
こうして書くと、なんだかムズカシイような気もしますが、そんなことはありません。 片面に美味しそうな焦げ目がついたら裏返し、 同じように焦げ目がつくまで焼けばよいだけの話です。 今回裏表合計で15分間焼きました。
焼きあがったら金串を抜いて頭を左に、腹が手前になるよう器に盛り、 レモン、大根おろしをそえていただきます。
※金串は冷める前に、回しながら引き抜いてください。
11/05/22