玉ねぎ、ピーマン、そして魚肉ソーセージ。
これが子供の頃婆ちゃんが作ってくれたスパゲッティの具、でした。 味付けはケチャップ一本だったハズです。 そもそも婆ちゃんは、ナポリタンを作っているという意識すらなかったのだと思います。 スパゲティはこうやって食べるものだと。
好きでもなく、かといって嫌いでもないメニューで「あ、今日はスパゲッティか」程度の感想しか持っていなかったように記憶しています。
ところがある日「ミートソーススパゲッティ」という激ウマな食べ物がこの世に存在することを知ってしまい、 これまで食べていたスパゲッティは一体何だったんだと驚いたのでした。
これがオイの中におけるスパゲッティの夜明けでありまして、それからというもの、 週末になると缶詰のミーソソースを買ってきては、温めて、茹でたパスタにからめて食べるという生活をするようになりました。
「婆ちゃんの作るスパゲッティなんて、ケチャップまみれやんか!オイのはひき肉の入っとるもんねひき肉の」と、 自分があまりにも美味しくミートソースが作れるもので、少々天狗になった時期もあるようでした。
先日子供を床屋に連れて行った折、目の前にある喫茶店のショーケースに、ナポリタンがありました。
そういえば、お店でナポリタンを食べたことが今までにないように思い、二人で食べてきました。 紛れも無い、ナポリタンとしか言いようのない味がしました。
つい懐かしくなってしまったので、オイの独断と偏見によるナポリタンを掲載させていただきます。
玉ねぎ、ピーマンのせん切り、野菜はこれだけです。 この2つは必須であり、なおかつこれ以上他の野菜を加えてはならない気がします。
ウインナーでなく、何の変哲もない魚肉ソーセージを用意することがポイントです。 ナポリタンのタンパク源をたった一人で引き受けるが、魚肉ソーセージに課せられた大切な使命なのです。 間違ってもムキエビとかアサリなどをうっかり使ってしまわないようにしましょう。
具を炒める前に、スパゲティを茹ではじめます。 「アルデンテ」とか一切無用です。 ただ食べれるような柔らかさになるまで茹でればそれでいいんです。
フライパンに油を多めにひいて、魚肉ソーセージの薄切りを、 まるで揚げるかのごとく炒めます。 魚肉ソーセージのフチが、うっすらキツネ色になるまで炒めることがポイントであり、ここだけはどうしても譲れないところです。
これが旨いナポリタンを作る生命線だと思っています。
魚肉ソーセージがいい感じになったところでタマネギ、ピーマンを何も考えずにドサッと加えまして、しなっとするまで炒め合わせます。
ためらいもなくトマトケチャップを回しかけてください。 具は一気に赤く、染まるでしょう。 間違っても手作りのケチャップなどを使ってはなりません。
バターをひと塊投入してから、
茹でたてのスパゲッティをドカッと加えます。 すかさず炒め合わせましょう。 するとみるみる赤く染まっていくはずですからここで何本かをススってみると、 もうちょっとケチャップを入れたほうがいいかなとか、これでよしとかいう判断ができます。 ちなみにオイは、ただただ色で判断しています。
皿に山盛りにし、パセリを散らしたりとか、粉チーズを振ったりとかは一切しません。 それなのに、 これがまたおいしいんですよね熱々でも冷めてても。 これぞオイの中のナポリタンです。
以上、オイなりのナポリタン・スパゲッティの作り方でした。
ナポリタンにはウマイマズイを通り越した何かがあると思います。
「ナポリタンはスパゲティにあらず、ナポリタンという食べ物だ!」 と、どこかで聞いた事のあるようなセリフを付け加えて終わりにします。 ご清聴を感謝いたします。
11/02/22