座右の書のページでターさんから教えていただいた『強火をやめると、誰でも料理がうまくなる!』という本を読みました。
名前通りの「強火で焼くからイカンのです」という内容でありまして、強火好きなオイとしましては目からウロコの内容でした。
詳しくは本を手に取っていただくのが一番なのですが、強火をやめると具体的にどうなるのか、ハンバーグを例に説明します。
ハンバーグの作り方といえば、普通こんな感じがだと思います。
これが今回、大分違います。 まずタマネギなのですが、
なんと、冷たいフライパンにタマネギのみじん切りを入れ、油を上から回しかけてから弱火にかけます。
熱いフライパンに乗せてしまうと、素材が一気に縮んでしまいその結果、 水分や旨味が流れ出て、タマネギが水っぽくなってしまうらしいのです。
鍋に油を引かず、上からかけることにより、油が素材全体にまんべんなく行き渡り、 コーティングしてくれるんです。 なので素材に急激に熱が伝わることが抑えられ、旨味の流出も少なくなります。
なんだかタマネギが油っぽくなるような気もしますが、油は高温のものに吸着する性質があるので、 仕上がった際には、素材にではなくフライパンに油は移るのだとか。
まずは肉のみに塩を加えてよく練り、粘りを出します。 この際は手を使わずに木ベラでこねるのがポイントです。 その理由は、手の温度が肉に伝わるとつながりにくくなり、脂肪が溶け出して本来の粘りが出ないうちにベトベトになってしまうから、だそうです。
木ベラでこねるのはなかなか力がいりますが、旨いハンバーグのためです、せっせとこねました。 途中ですりこ木に持ち替えて作業したら、能率が上がりました。
※羽根つきギョウザにも応用できる技術です。
よく混ぜて粘りがでたところで、タマネギやパン粉、卵等おなじみの面々を加え、今度は素手でこねていきます。 しばらくすると肉は白っぽくなり、すごい粘り気がでてきます。
ちなみにこの際加える塩の量は、材料全体の重さの0.8%です。 0.8%という微妙な値は、素材から水分が流出したり、 逆によけいな水分が入りこんで水っぽくなったりするのを防止します。
これは肉のみにあらず、魚や野菜にも言えることらしく、なんでも人間の体には、体内の塩分濃度を0.8〜0.9%に調整する働きがあるそうです。 だから0.8%という塩分は、本能的に旨いと感じてしまう濃度なのでした、へぇー。
小判型にととのえたタネを、なんと油を引いた冷たいフライパンに乗せ、焼きはじめます。 火加減は弱火〜弱中火です。
強火で焼くから、肉汁が流出してしまうんです。 表面はこんがり焼き色がついているのに中は生だったり、外が焦げて中がパサポサだったりするのは、強火で加熱するからなんです。
強火で一気に焼くと、細胞の収縮率が高くなり、細胞の中に水分や旨味をとどめておけなくて、外に流れ出てしまうというわけです。
弱中火なら加熱の速度が遅いので、細胞が急激に縮むことなく、旨味も水分もしっかり閉じ込めます。 その結果、柔らかくてジューシーなハンバーグになるんです。
フタはしません。
フタをしてしまうと、フライパン内の温度が上がり、加熱の速度が速くなり、ふっくら焼きあがらなくなるからです。
弱火でじっくり加熱すれば、表面に焼き色がつく頃には、中までしっかりと火が通ります。
ちなみに焼いている際、最初に出てくる水分は、アクや肉の臭みなのでキッチンペーパーで吸い取ってしまいます。 後ほどひっくり返しますが、その際もはじめに出てくる水分はアクなので、やはり吸い取ってしまいます。
肉の厚みの半分以上が白っぽくなり、表面に焼き色がついた頃ひっくり返します。
反対側も同じように焼いていきます。 裏表合わせて10〜13分程度焼き、 表面を木ベラで軽く押すと、透明の肉汁がにじみ出てくれば焼き上がりです。
ハンバーグを取り上げ、バルサミコ酢を空いた鍋に入れて中火にかけます。 半量になるまで煮詰め、塩で調味します。 バターを加えてかき混ぜ乳化させ、ハンバーグにたらします。
ナイフで切っても肉汁が出ないのに、いざ噛むと、口の中で肉汁があふれるんです。
塩気もちょうどよく、ふっくら旨いハンバーグステーキを作ることができました。 上で焼き上がりの確認時、木べらで表面を押してみましたが、 その時の肉汁のにじみ出てくる量が今までのハンバーグと大きく違っていました。 ハンバーグを焼くならば、弱火に限ると納得した次第です。 皆さんも是非一度お試しください!
12/06/25