酒粕を、数年間寝かすんです。
すると酒粕は、黒く耀映して得も言われぬ複雑な風味を帯びます。 それに野菜を漬けこんだのが、黒粕漬でありまして、先日初めて食べて腰をヌカしました。
「漬物が洋酒に合う」
といえば「ウソ!」と思われるでしょう。 ところがこの黒粕漬、グラッパシェリーテキーラベルモット、ウイスキーやブランデ・・・合いすぎますどれにも。
黒光りしている粕床から一切れつまみ上げては「お、ミョウガだ」としげしげ眺めて口中へ入れ、目を閉じて味わっては酒をクイと飲るんです。 二晩もそうすれば、もう黒粕漬の袋は空になりますが、お楽しみはこれからです。
残った酒粕をつまんでいて、ハタと思いついてしまったんですよね。
「これでハヤシライスを仕込めば旨いのではなかろうか?」
と。
山形県鶴岡市にある老舗のつけもの処、本長さん渾身の逸品が黒粕漬けです。
酒粕をフライパンに入れてそこへ赤ワインをドボドボ加え、温めながら練るんです。
するとすぐにトンロりしてきますから、そこへ刻んだタマネギを加えてグツグツ煮、別途炒めておいた牛肉を合わせたらもう完成したようなもの。 酒粕で味はシッカリ決まってますからあとは醤油やウスターソース、みりんなどで甘辛風味をつけるだけです。
トップの写真はタマネギと肉をあえて加えていないプレーンタイプでありまして、これでも十分コクある風味が醸せます。 粕漬け自身も少しのけておいて、 器に盛り付けてから「カレーライスの福神漬け」みたいにトッピングしています。
百年以上にわたり伝統製法で漬物を作り続けておりますところ、トマトの甘酢漬け等新感覚の製品作りにも、精力的に取り組んでおられます。
三年熟成の黒粕漬、勉強になりました。
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15/12/09