ぬか漬けや味噌漬けはよいものですが、 粕漬けだって負けてやいません。 なにしろ酒のカスに漬け込むのですから。
日本酒にはうまみ成分が幾千も含まれているそうです。 たぶんカスだって似たようなものです。 それらの成分がじっくり素材に染みこんでゆく様を想像するだけでもう一杯酒が飲めそうな気がしないでもないです。
ひとくちに酒粕といっても、板状になってるものやボッテリとしたものなど様々です。 呼び名についても地方によってイロイロとあるようです。
そうしましたらですね、まずはスーパーにでも出かけていって、とにかく何かしらの酒かすを買ってきてください。
ちなみに今回は板状の酒かすを使用しますけれど、一体これをどこで入手したのかというと、行きつけの酒屋さんになります。
知る人ぞ知る銘酒の酒かすが何気に一枚3、4百円ぐらいで売られていたのでした。
すぐさま封を開けて、酒粕を取り出し、日本酒を注ぎ込んで柔らかくしておきます。 三平汁に用いたようなボッテリとした酒粕を使う場合、 日本酒を入れすぎるとドロドロになっていまいますので加減してください。
日本酒を混ぜ込むやいないや、立て続けにみりん、砂糖、塩少々を加えてよく練りこみます。 これにて粕床の完成です。
ちなみに我が家は甘めが好みなので、砂糖は多めに使います。
粕床に何を漬けるのか? それはあなた次第です。 今回は野菜室に横たわっていたキュウリとナスを漬けこみます。
どちらもザッと水洗いしてからよくふいて、大きい場合は適当に切り分けておきます。 粕漬けにする前に、軽く塩をしておいてから漬け込む手法もありますが、 そんなことはどうだっていいんです。 洗った野菜をそのまま粕床に漬けこみたいと思います。
ポリ袋に粕床を入れ、その中にキュウリとナスビを潜りこませます。
密閉し、冷蔵庫に入れておいて、次の日からはもう食べられるハズです。
酒粕を軽くぬぐい、切り分けてからつまみます。
4、5日も漬け込むと野菜はしんなりとして酒粕ファンにはたまらない風味に仕上がるでしょう。 ページトップは茄子の粕漬けで、一昼夜漬けたものです。 こちらはきゅうりの粕漬けで、 7日間漬けこんだものです。 お好みの漬け加減を探してみてください。
粕漬けにできるのは野菜だけではありません。 魚だって同じです。
粕床に軽く塩をふった魚の切り身を漬けこめばよいだけの話です。 今回は冷凍庫から見つけだした塩鮭の切り身を5日間漬けこんでみました。
生魚の切身の場合、塩を振り、しばらく置くと水気がじんわり出てきますので、それをキッチンペーパーでふき取ってから、漬け込むと生臭くなりません。
魚のみそ漬同様、焼く際には十分注意してください。 酒粕はすぐに焦げてしまいます。 だからといって酒粕を丁寧にふき取ってしまっては、せっかくの粕漬けが台無しになります。
何とか上手に焼き上げてみてください。 なんてことない普通の塩鮭が、おごちそうに生まれ変わっているはずです。
※マナガツオやブリも粕漬けにすると旨いものです。 さらに粕床に味噌を混ぜこんでから漬けるとみそ粕漬けになりますよ。
09/06/02