「都会の魚屋、乾物屋の店先でなにが不当な扱いをうけているかといえば、鮭の頭である」
と檀さんは書いておられますが、まったくの同感ですね、ここ長崎でも同じです。
さすがに檀流クッキングが書かれた頃のように、鮭一尾分が30円では売っていませんが、 鮭の骨一匹分でも250円ぐらいです。
「骨に250円も出して買うのもなのかな〜」と、思うかもしれませんが、鮭の骨には楽しみが沢山あるんです。 早速鮭骨を満喫しましょう!
1、まずは鮭の頭、骨をぶつ切りにします。 頭だけでも良いですが、 骨全体があれば、さらに良いダシがでます。 塩鮭の場合は塩出しをしておきます。
鮭の頭を鍋に入れ煮立てます。 その際出し昆布も入れておきましょう。
2、そしてボルシチよろしく、 なんでも野菜をほうり込んでまいります。 ジャガイモ、ダイコン、玉ねぎ、人参、長ネギ、キャベツと、色々入れて煮込むのです。 カブとかですね。
3、しばらく煮込みます。
4、酒粕を用意して、 すり鉢で味噌と混ぜ合わせます。 今回赤味噌、白味噌を混合しました。
5、煮汁で、酒カスと味噌を溶かしこみ、鍋に戻せば完成です。 何てまろやかな口当たなんでしょう!
酒の肴にヒズのナマスほど美味しいものはない。 〜 檀さん 〜
1、ヒズとは、鮭の頭の軟骨部分です。 これを酢漬けでいただきます。 できれば頭は一塩してあるものが良いものですが、 今回はサーモンば食らうの残りで、 生のままだったので、軽く塩をしてしばらくおいたものを使用しました。
2、半分に割った頭からヒズを取り出します。 写真の点線部分、ちょうど目の上あたりから鼻先にかけて、 透明な骨が見えます。 これが氷頭(ヒズ)なんです。 丁寧に軟骨部分を取り出して、紅白ナマスと混ぜ合わせるというテもありますが、 今回は檀さんの好みでヒズを皮ごと切り取りとります。
3、これが取り出したヒズです。 ちょうど氷砂糖のような見た目で、 ひとつの頭からは、ほんのチョットしかとれない貴重な部分です。
4、取り出したヒズを酢に漬けます。 漬けこむ時間は30分ぐらいですが、 自分好みで、かじりつつ確かめながらちょうどイイ頃合を探り当てます。
酢から取り出し、器に盛り付けます。 コリコリした歯ざわりが、なんともうれしいおつまみでした。
以上サケのヒズ漬と三平汁でした。 三平汁は酒カスを使うところがモノ珍しく、ここんとこ我が家では頻繁に作って食います。 とろけた鮭の頭がうまいのなんの。 やっぱり鮭は偉大であります。
ヒズは、いささかびっくりした料理なのですが、こんなおつまみが居酒屋さんでサッと出されたら、 嬉しさこの上ないといったかんじです。
軟骨と、皮の間のトロけた部分がたまらん具合です。 しかしこんな料理があるなんて、生まれてこのかた知りもしませんでした。 無性に誰かに食べさせて、ビックリさせたいという衝動にかられます。
英語では海に下るものをサーモン(salmon)と呼び、 一生を淡水域で過ごすものをトラウト(trout)と呼びます。 でもこの中にもイロイロな鮭がいるので厳密な分類とは言えません。 ちなみにイクラはロシア語で卵の意味です。
鮭の頭の軟骨からプロテオグリガンという成分がとれるそうです。 保湿性や体の細胞の強化などの機能があるのだとか。(08/09/15:日経流通新聞より)
これってまさにヒズの事ですよね?
吉田健一『舌鼓ところどころ』にこうあります。
米の中で一番旨い部分が固形物の限りでは酒粕になり、 それにさらに粕汁に入れたものの味や養分が加わるのであるから、これが我々の体を喜ばせるのは当たり前である。
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