「こんにゃくは焼いて喰うのが正しい」
ひとかじりした瞬間頭の中に活字でこう浮かびましたね。 何でしょうこの質感、まるでカルビ、しかも上カルビですこれ。
「○○こんにゃく」というレシピはよく目にしますけど、そのほとんどが「こんにゃくで代用しました♪ヘルシー!」的なこんにゃくを「低カロリーである」という一側面からしかとらえていないものばかりです。
でもこのカルビは、コンニャクでしか醸し出せない食感・・・もう、コンニャク以外の食品では代用する事ができない確固たるカルビとしての地位を築いた絶品と言えます(太字長)。
なんちゅうんでしょう、フツーの板こんにゃくを買ってきます。
封を開けてキッチンペーパーで包み、30分ばかし寝かせます。 これは水気をとるためと、こんにゃくを室温に戻すためにそうします。
5ミリ幅に端から切ります。 5ミリでなくても構いませんが、薄すぎるとカルビ感が失せます。
ここで最大のポイントです。 こんにゃくの表面へ格子状に包丁で切れ目を入れるのです。 包丁をハスに、薄く入れていくんですチマチマ。
この作業はこんにゃくが多くなればなるほと非常にストレスを感じる作業であり、つい脳が反乱を起こしそうにもなる場面ですが、この手間はきっと、後にあなたを至福のひと時へといざなうでしょう。
切れ目を入れ終えたら両面に塩、胡椒を振ります。
焼いてまいります。 フライパンをよく熱し、続いて胡麻油を引きます。 すかさずこんにゃくを並べてジャアジャア焼きはじめます。
火力は中火〜弱火が良く、つい気が急いで強火でガンガンいっちゃうと、美しい焦げ目はつきません。 家事の傍ら焼けば問題なしです。
10分ぐらいですかね、いじらずじっと、焼いてれば、ひっくり返すとアラ綺麗な焼き目がついています。
全部かえして、さらに10分焼くんです。 この際刻みニンニクを2、3カケラ分放りこんで一緒に焼いておくとその香気がこんにゃくに移ります。
さて両面焼けました。 この頃になるとこんにゃくはやや縮み、四隅が丸まりいかにもカルビ然とした大きさ、重量、箸のつまみ心地になっているハズです。
ガマンしたらなりまぬさあ、一枚つまんでみてください。 こんにゃくのハズなのに噛んだら「カリッ」とし、なのに内部はモッチリしとるのです。
ここで完成としても良いっちゃ良いんですがまだ先があります。
甘辛ダレをこしらえます。 醤油大さじ1、ミリン大さじ2、赤味噌小さじ1、水小さじ1を合わせます。
味噌が溶けにくいですけどがんばって一体化させます。
じりじり焼けてるこんにゃくの上からタレを回しかけてジャーッといわせ、あとはタレが煮詰まるまで火にかければ完成です。
仕上げに胡麻油をひとたらしと、ひねりゴマを散らせばサイコーです。
肉の代用なんかじゃありません。 コンニャクってこんな素晴らしい食感を持ってたんだ!と目からウロコ必至です。
酒にモロ合いますし、ご飯の上にコンニャクを敷き詰めて、カルビ弁当をこしらえてどこかピクニックに出かけましょう。
そして昼時になり弁当を開けばもうこれ、上カルビ弁当です。 冷めてなお、その食感と風味は衰えず否、この場面でなら牛肉すら超える、奇跡の一番星なんです。
こんにゃくはカルビだったのだ、という話。
15/07/04